大人の階段を上り始める中学生にとっては、目の前の高校進学が人生における最初の大きな岐路になると言えるでしょう。ただ、まだ自分の将来像がぼんやりとしている子も多く、進路を決めるときに「何になりたいか分からないから、とりあえず普通科」という選択をすることは珍しくありません。

しかし場合によっては、道を広げると思っていた選択によって、かえって高校以降の進路が茨の道になりかねないという問題に直面することもあるのです。

普通科という幅の広さが裏目に

一口に高校の普通科といっても、大学進学率がほぼ100パーセントという進学校から、卒業後は専門学校進学や就職、またはフリーターになる生徒が多い学校まで様々です。そして高校は義務教育を離れるため、教科書はそれぞれの学校のレベルに合わせたものになります。

筆者が以前、地方都市の塾で仕事をしていた時の話になりますが、高校進学を機に退塾した複数の生徒が、高校1年生の終わりや高校2年生になった時に通塾を再スタートすることがありました。

彼ら、彼女らの共通点は近隣の公立学校に進学したこと。そこは国公立大学や有名私立大学への進学が卒業生の1割強ほどという普通科の高校。通塾を再開した理由を聞くと、異口同音に「地元の国立大学を受けたい」と言うのです。

まずは学校でどういった勉強をしているか確認するため、教科書や使用している教材を確認。目を通したときに「大学入試センター試験(現在は大学入学共通テスト)を受けても志望校に進めるような点数を取ることは難しい」と感じました。

本人たちはいたって真面目なのですが、いかんせん学校で使用している教科書は基礎的な内容。全員が進学希望者で高校の大学進学コースに属し、補習教材も渡されてはいましたが、トップ校の生徒が学校で習うレベルとはかなりギャップがあるのは明らかでした。