昨年、2020年からの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックに伴い、生活環境が一変したという方も少なくないでしょう。

また、この生活環境の変化を余儀なくされるなか、ご自身やご家族の人生そのものについて改めて見つめ直す機会と捉えている方もいらっしゃるかと思います。そこで今回は人生とお金の関係性についてお話ししていきます。

人生は有限、しかしいつ終わりを迎えるかはわからない

いきなり当たり前といえば当たり前のお話になりますが、どなたにでも当てはまることとして、人生は有限なものであって無限に続くものではありません。しかしながら、いつ何時終わりを迎えるのかということは事前に把握できるものではない、ということが大前提になります。

しかしながら、一つの参考値を知ることは簡単にできます。

厚生労働省「令和元年簡易生命表」によると、直近の日本国内における平均寿命は、男性81.41歳、女性87.45歳です。80歳時点での平均余命は男性9.18年(89.18歳)、女性12.01年(92.01歳)となっています。

巷間でよく耳にするフレーズとして「人生100年時代」といわれることもありますが、現在の日本国内は少なくともすでに「人生90年時代」を迎えているといえます。

ここで人生とお金の関係性で問題となるのは「長生きリスク」になります。もちろん、古来より長生き、長命長寿は良いこととされており、筆者もこの点について異論を挟むつもりはありません。ここでいう「長生きリスク」とは、各々の方の人生における寿命を迎える前に、お金の問題として資産寿命が尽きてしまうおそれを指します。

お金との付き合いは一生もの

「お金は汚いものである」、「人生はお金ばかりではない」、「金、金、金、金、と言うものではない」という一つの道徳的な観念があります。たしかにいわゆる拝金主義は褒められたものではないと筆者も考えます。

しかしながら、人生における社会生活を送るうえで、お金は切っても切り離せない存在であるのも事実です。

上記についてはバランス感覚が重要といえるでしょう。また、拝金主義に陥らないためにも、お金との付き合いは一生ものという点を踏まえて、ご自身やご家族の現状を踏まえた「転ばぬ先の杖」としての資産形成や資産運用が肝要といえるのではないでしょうか。

年代別で考える資産形成と資産運用の目安

以下ではあくまでも一つの目安ではありますが、各年代を追ってどのような資産形成、資産運用を考えていったら良いのか、ライフイベントも絡めて考えてみましょう。

まず、20代においては、収入を増やすための自己投資と支出を減らすための節約で収支差額を黒字にすることにより資産形成の源泉となる貯蓄をすることが肝要といえます。

次に、30代においては、各々のライフスタイルに応じて、結婚や子育てなどによるまとまった出費が発生する可能性があります。

そうした出費に対しては、20代の貯蓄や収入の増加分などで対応し、できる限り資産形成を止めず、貯蓄の一部を効率的に増やすために株式等を中心とした金融商品に積立投資する、という一連の流れを繰り返すことで資産形成をしていきます。

そして、40代~50代では、ある程度(例:金融資産1000万円以上)の資産形成を一つの目安として目指していきます。

資産形成ができたら、資産運用の段階に移ります。ここでは、資産形成の段階で積立投資によって、既にポートフォリオが組まれた状態が出発点になりますので、そのポートフォリオを見直し、近づきつつあるリタイア、老後生活に備えて株式等中心の積極運用から債券等中心の安定運用へ移行していくリバランスの作業を行うことになります。

その後、リタイアし現役世代から老後世代となる60代以降は、安定運用中心の資産運用を行うことで老後資金の取り崩しによる資産残高の減少を緩やかに抑えつつ、次世代のために相続対策を早期に実践していきます。

落ち着いて考える時間のある際、ぜひご自身とご家族の今後の将来について、本稿などもご参考いただきながらじっくりと考え、また、できることから実践していっていただければ幸いです。

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