老後の生活にお金はいくらかかる?

前述のアンケート調査からは、生活費のために働いている60代が多い現状がみえてきました。では、老後の生活にお金はどのくらい必要なのでしょうか。

生活に必要なお金と収入の差

はじめに、総務省の「家計調査年報(家計収支編)2019年」をもとに、二人以上高齢無職世帯の消費支出をみていきます。無職世帯は年金を主な収入源にしていると考えられますが、収入から税金や社会保険料などを差し引いた可処分所得は、どの年齢でも消費支出を上回っています。

【60~64歳】

  • 消費支出:27万2,927円
  • 可処分所得:15万5,743円
  • 赤字分:11万7,184円

【65~69歳】

  • 消費支出:27万1,374円
  • 可処分所得:22万2,688円
  • 赤字分:4万8,686円

【70~74歳】

  • 消費支出:25万6,315円
  • 可処分所得:21万5,311円
  • 赤字分:4万1,004円

【75歳以上】

  • 消費支出:22万2,574円
  • 可処分所得:20万8,394円
  • 赤字分:1万4,180円

60~64歳には年金を受給していない人も多いとみられ、1カ月あたり11万7,000円ほどの赤字が発生しています。単純に計算すると、65歳までの5年間に発生する赤字は約700万円です。場合によっては退職金の多くを赤字補てんに注ぎ込むことになるかもしれません。

65~74歳になると赤字は4~5万円ほどに減少します。とはいえ、5万円の赤字が10年続く場合、単純計算すると600万円となり、60~74歳までの赤字累計額は約1,300万円に達します。75歳以上は赤字が1万5,000円ほどに縮小しています。

赤字分は預貯金などの資産を取り崩して補てんすることになります。一方、仕事で収入を得られれば赤字を出さずに済む可能性があります。