コロナ禍の長期化にともない、はたらきざかりの世代を取り巻く「仕事」「お金」の事情は、見通しが立ちにくい状況が続いています。

この漠然とした不安感をきっかけに、家族の長期的な将来を見据えたマネープランを立て直している、というご家庭も多いでしょう。

定年の延長、年金受給スタート年齢幅の引き上げ、そして崩れつつある終身雇用制。現役世代が直面する「老後」は、先輩たちとはまた少し違ったものになるかもしれませんね。

とはいえ「60代」は、しばらく引き続き多くの人にとって「定年退職」を迎え年金生活に入る「老後のスタート」時期であることは確か。

今回は、老後生活の入り口となる幕明けとなる60代のお金事情を深掘りしていきます。

60代の平均預貯金額は?

総務省の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2019年(令和元年)平均結果-」では、各世代の平均預貯金額が示されています。そのうち、60代の平均額は以下の通りです。

60代(60~69歳)の預貯金平均額・・・1464万円

60代になると、お勤め先からの退職金や親族からの相続といった、ある程度まとまったお金が入る世帯もあるかと思います。そうした収入がこれまでの預貯金にプラスされたことで、預貯金が1000万円を超えるケースもあり得そうです。

「60代で貯蓄がない世帯」はどの程度いるのか

先ほどの預貯金の平均額をみて、「60代の多くはそれなりの預貯金額を持っていそうだ」いうイメージを持たれた人もいらっしゃるでしょう。

ではここで、金融資産を持たない世帯を含めた「年齢別金融資産保有額」をもとに、60代の金融資産保有額もみてみましょう。

60代の金融資産保有額(金融資産を持たない世帯を含める)

全体の平均:1635万円・中央値:650万円

(【参考】50代:平均1194万円、70代以上:平均1314万円)

前後の世代の平均値と比較しても、60代が最も多く資産をもっている状況がうかがえました。

さて、ここまでご紹介してきたのはあくまでも平均額。平均額だけをみると、すべての60代がお金に余裕のある状態であるかどうかは分かりません。

次では60代世帯の貯蓄額の分布に関する数字をながめていきます。