コロナ禍で転職市場にも変化が起きています。人材サービス大手のエン・ジャパン(株)が、転職コンサルタントを対象に行った調査「ミドルの求人動向」によると、42%が「2021年は35歳以上のミドルを対象とした求人が増える」と回答しています。

転職市場のメインターゲットは20代~30代といわれていますが、コロナ禍の影響で40代~50代の動きが活発になっているという調査結果もあります(※)今回は40代の転職活動の今に迫ります。

なぜ35歳以上の求人増加?その背景

上述のエン・ジャパンの調査を詳しくみてみると、「35歳以上の求人が増加する」と回答した人が考える理由ですが(グラフ参照)、

出典:エン・ジャパン「ミドルの求人動向」

「業態のシフトチェンジに伴う、経験者募集の増加」がもっとも多く41%となっています。次いで「景気回復の兆しが見えてきたため」が36%、「DX化を推進するため、スペシャリスト募集の増加」「若手人材の不足による、採用人材の年齢幅が拡大」の34%となっています。

基本的には40代の転職は「キャリア採用」で、今まで培ってきた経験や知識を生かした転職活動になるのが通常です。ただコロナ禍で、管理職の減給やリストラによる求職が増加傾向にあるということ、また若手の人材不足も影響して、運送業や飲食店に40代~50代が未経験で応募するケースが増えていると指摘する調査会社もあります(※)。

5月の転職市場は緊急事態宣言下ということから一時停滞。解除とともに転職活動に踏み切る人が増えたようです。その背景には、勤務先の倒産やリストラがあるようですが、企業側でも外国人労働者の減少や企業の業績悪化による採用難といった背景もあり、採用活動が活発化したようです。

現在も東京都などの一部地域で緊急事態宣言が出されていますが、5月の緊急事態宣言時よりも停滞感はない模様です。ただ20代~30代前半の若手は獲得競争が激しく、転職に対するハードルも低いため離職率が高い傾向にあります。

一方で40代~50代は離職率が低く、また社会的背景から応募が集まりやすい状況であるともいえ、積極的に40代~50代の採用を強化している企業もあるようです。とはいえ、全体的な転職市場の状況としては「求人数は前年と比べて20%ほど減少しているが、求職者は2倍となっている」と話す転職エージェントもおり、求職者にとって厳しい環境であることは変わらないようです。