先が見えないコロナ禍の影響で、将来に不安を感じる人も増えているようですが、その中でも多くの人が心配なのは、お金のことではないでしょうか。ただ「気づいたら、いつもお金がなくなっている」など、貯金ができずに悩む方も少なくありません。また「どう行動に移したらいいか、わからない」「お金のことをよくわからないので、毎月、毎年、同じことを繰り返してしまう」という声もよく聞きます。

 書籍『1日5分で、お金持ち』の著者で、月300万PV超の女性向けマネーサイト『Mocha(モカ)』を運営しながら、5000人以上の資産運用に関わってきたマネーコンサルタントの頼藤太希さんは、「日頃のお金との向き合い方を変えれば、お金は貯められます」と話します。この記事では同書をもとに、頼藤さんに、日常のお金の使い方で気をつけたい「おトクの罠」について、具体的に解説してもらいました。

節約したつもりなのに、無駄遣いになっている!?

 人は誰しも、「少しでも得したい・損したくない」と考えています。ですから、日々の買い物でも、なるべくお金を節約してお得になるようにしているはずです。

 しかし、そのことはお店側もよくわかっています。お店は「少しでもお金を使ってほしい」と考えていますから、あの手この手でお客さんにお金を使ってもらおうとしています。その中には、節約好きの人ほど損をしてしまう「おトクの罠」もあるのです。

 つまり「一見、お得に感じられるけど、実はそうでもない」という商品・サービスもあります。購入する際は、価格に見合った価値があるかをよく考えないと、お金が貯まっていきません。

「えっ、これも?」身近に潜む「おトクの罠」の例

「おトクの罠」は身近にあります。ここでは、そうした罠をいくつかご紹介します。

(1)半額セールの罠

 年末年始や夏冬のバーゲンなどにある王道の罠が「半額セール」です。「2万円の財布が半額セールで1万円!」などとなっていれば、これは安いと思うはずです。半額で1万円になっている財布と、定価1万円の財布なら、「半額で1万円」の財布を買う人のほうが多いでしょう。

 しかし、もしこの財布がはじめから1万円で売られていたとしたら、そもそもこの財布を買ったでしょうか。よほどの理由がない限りは、買わないのではないかと思います。つまり、本当に必要かどうかではなく、「半額になっている!」というお得感だけで買ってしまう罠なのです。

(2)3品で10%オフの罠

 「3品買うと10%オフ」「2品買うと2品目が30%オフ」など数字はさまざまですが、こうした割引もよくあります。たしかに、1品だけ買うのがなんだか割高のように感じられます。

 しかし、これも罠です。本来、1品だけでいいはずの商品を2品、3品と買うのは無駄ですね。お店側からすれば、多少割引してでも一気に2品、3品と品物が売れるのですから大助かりです。

(3)送料無料・駐車料金無料の罠

 ネットショッピングで、「5000円以上買うと送料無料」となっていることがあります。送料無料にしたいからと、なんとか5000円に達するように商品を追加した経験のある方もいるのではないでしょうか。

 しかし、そこまでして余計な商品を買うより、送料を払ったほうが出ていくお金は少なくなるものです。同様の罠に商業施設などの駐車料金もあります。「4000円以上の購入で2時間無料」といった誘い文句に不用意に乗ってしまうと、数百円をケチって数千円を損する結果になりかねません。

(4)食品のまとめ買いの罠

 肉や魚などを大容量のパックで買うと、小分けにしたパックよりも多少割安になります。しかし割安だからといって買っても、食べきれずにダメにしたり、たくさんあるからと普段なら作らないような料理で大量に消費したりすれば、結果的に損することになってしまいます。

(5)ポイントの罠

 買い物をしたときにもらえるポイント。お金のように使えるのでお得ですし、ぜひ活用すべきなのですが、ポイント欲しさに買い物をするのは本末転倒です。以前、コンビニのポイントを貯めたいからと、日用品をいつもコンビニで買っていた人がいました。ポイントはたしかに貯まるかもしれませんが、これでは割高な商品代を払っていることになります。

 これらの罠にかからないようにするには、買い物のときに、「自分にとって、本当に価格に見合った価値があるのか」をよく考えることが重要です。「見かけの価格」に惑わされないよう、注意したいところです。

筆者の頼藤太希氏の著書(画像をクリックするとAmazonのページにジャンプします)

「おトクの罠」以外にも気をつけたい、お金の無駄遣い

 ここまで紹介してきた「おトクの罠」以外にも、日常の中には「ついお金を使ってしまう罠」が多く存在しています。特にはまってしまいやすい「罠」を3つ挙げておきます。

(1)ネットショッピングサイトの「関連商品」

 Amazonなどのネットショッピングサイトでは、買い物や検索の履歴をもとにした「関連商品」や「おすすめ商品」が表示されます。たしかに気になるかもしれませんが、必要ないのに買ってしまっては無駄遣いです。ここでも「購入する前に、本当に必要か考える」ことが大事です。

(2)銀行の手数料やクレジットカードの年会費

 銀行のATMの時間外手数料やクレジットカードの年会費などは少額ですが、積み重なると大きな金額になってしまいます。現金は月1回まとめて引き出す、年会費のかかるクレジットカードは解約するなど、対策しましょう。

(3)コンビニ、ドラッグストア、自動販売機などのちょこちょこ買い

 なぜかお金が貯まらない!という人に多いのが、コンビニ、ドラッグストア、自動販売機などでのちょこちょこ買い浪費。1回の金額は小さくても積もり積もれば月1万円近くなってしまうことに注意です。レジ前に並ぶお菓子につい手を出してしまう人も多いと思いますが、本当に食べたいのか自問してから購入しましょう。

「気づいたら、いつもお金がなくなっている」状態を避けるためにも、こうした点を事前に知っておくことが役に立ちます。ここまで挙げたポイントを日常でも意識しつつ、「本当に必要なもの」を見定めて、しっかりお金を貯めていってください。

■ 頼藤太希(よりふじ・たいき)
株式会社Money&You代表取締役/マネーコンサルタント
日本証券アナリスト協会検定会員、ファイナンシャルプランナー(AFP)、日本アクチュアリー会研究会員、中央大学客員講師。外資系生命保険会社に勤めた後に、2015年に(株)Money&Youを創業。女性向けWebメディア『FP Cafe』や月300万PV、250万UUの『Mocha(モカ)』を運営すると同時に、マネーコンサルタントとして、資産運用・税金・Fintech・キャッシュレスなどに関する執筆・監修、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。『1日5分で、お金持ち』(クロスメディア・パブリッシング)など著書多数。

 

頼藤氏の著書:
1日5分で、お金持ち―――誰でもできる、お金の超基本大全

頼藤 太希