新型コロナウイルスの一連の報道で、よく「エビデンス」という言葉を耳にするようになりました。エビデンス(evidence)とは、「根拠」あるいは「証拠」という意味。もともとは医療分野でも多く用いられていました。報道では「そのコロナ対策にはデータの裏付けがあるのか」という文脈で、エビデンスという言葉を使っていることもよくあります。

実は経営・マーケティングの分野では、以前から「データ駆動型経営」という考え方が注目を集めています。今回は来るべきデータ駆動型社会のカタチや、注目を集めるデジタル庁について考えていきます。

データ駆動型経営あるいは「データドリブン(駆動)経営」と呼ばれる、この考え方の本質は、「ビッグデータを質的データ・定性データ化し、そのデータに基づいて経営的な意思決定を行うこと」です。この考え方の特徴は、データ分析をもとに、判断や決定などの次のアクションを起こす一連のプロセスをつくりあげることです。

従来のデータ分析は、たとえば事業課題ごとに仮説をたて、仮説に基づいた検証・分析が中心でした。データ駆動型経営が注目される背景は、電子メールや検索履歴、XML、SNS、音声、画像など、これまでのデータ分析の対象外であったデータ(非構造化データ)も、AIの進化によって取り扱いが可能になりつつあることがあげられます。

日本型経営は「KKD」、政治もテクノロジー音痴

データ駆動型経営に対して、従来の経営スタイルをKKD経営と呼ぶことがあります。これは経験(K)、勘(K)、度胸(D)の頭文字から命名されています。ここで日本のコロナ対策を連想する方もいるかもしれませんね。ザックリ言えば、巷を騒がすバスワード「DX」(デジタルトランスフォーメーション)も、このデータ駆動型経営のための方法論としてとらえることも可能です。