2020年10月30日に行われた、綜合警備保障株式会社2021年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:綜合警備保障株式会社 代表取締役会長 村井温 氏

2021年3月期第2四半期決算説明会

村井温氏:会長の村井です。はじめに、新型コロナウイルス感染症に罹患された方々とご家族のみなさまにお見舞い申し上げると同時に、亡くなられた方々に対し心から哀悼の意を表します。また、感染拡大防止に尽力されている関係者のみなさまに、深く感謝申し上げます。

コロナ禍の中でALSOKグループはこれまでと同様、企業や個人の安全確保に不可欠なサービスを幅広く展開しておりますが、新型コロナウイルス対策の商品や関連サービスも積極的に提供しております。

決算トピックス

ALSOKグループの2021年3月期第2四半期決算についてご説明いたします。ご説明する順番は、第1に2021年3月期第2四半期決算概要、第2に2021年3月期の業績計画、最後にALSOKグループの取り組みについてです。

2021年3月期第2四半期決算概要についてご説明します。3ページは2021年3月期第2四半期の決算トピックスについてです。第一に、今期第2四半期決算の売上面はM&A効果もあり、中間期ベースで10期連続増収の過去最高を更新しました。

第二に利益について、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期比で減益となりました。

第三に、本年4月に株式会社らいふホールディングスがALSOKグループに入り、介護事業の売上に貢献しました。

売上高・損益の状況【前年同期比】

売上高・損益の状況を前年同期比で示したものです。左から順に、売上高は前年同期比0.3パーセント増、売上総利益は1.8パーセント増、営業利益は2.4パーセント減、経常利益は4.6パーセント減、親会社株主に帰属する四半期純利益は5.8パーセント減となりました。

売上高・損益の状況【計画比】

売上高・損益の状況を計画比で示したものです。売上高は計画未達成となりましたが、その主因は契約収入が計画を下回ったことです。利益について、営業利益、経常利益は計画に未達となりましたが、親会社株主に帰属する四半期純利益は、計画を達成しました。なお、新型コロナウイルスが売上高に及ぼす影響は、ほぼ見込みどおりとなっています。

業務別売上高の状況【前年同期比】

業務別売上高の状況を前年同期比で示したものです。上から、セキュリティ事業は1.9パーセント減の1,730億円、綜合管理・防災事業は8.0パーセント減の302億円、介護事業は46.6パーセント増の199億円、その他は16.0パーセント増の26億円となりました。

各業務の詳細については、次ページ以降で説明します。

機械警備業務の状況

機械警備業務の状況についてです。機械警備業務の売上高は、契約収入が前年同期比0.5パーセント増、工事収入が2.5パーセント増、売却収入が9.9パーセント減のため、全体で前年同期比1.1パーセント減の848億円となりました。

機械警備業務の状況【法人向け】

法人向け機械警備業務の契約件数の推移についてです。法人向けの機械警備件数は、ライブの画像を確認する機能を標準装備した「ALSOK-G7(ジーセブン)」の販売を推進した結果、前年同期比で1.6パーセント増の53万8,257件となりました。

機械警備業務の状況【個人向け】

個人向け機械警備業務の契約件数の推移についてです。個人向けの機械警備件数は、「ホームセキュリティ Basic」や「HOME ALSOK みまもりサポート」を中心に、前年同期比2.3パーセント増の44万4,700件となりました。

常駐警備業務の状況

常駐警備業務の状況です。前期の大規模臨時警備の反動減や各種イベントの中止による臨時警備の減少により、常駐警備全体で前年同期比4.6パーセント減の556億円となりました。

警備輸送業務の状況

警備輸送業務の状況についてです。当社が管理するATMの台数は、前年同期比0.3パーセント増の約7万4,100台となりました。また、稼働している入(出)金機オンラインシステムの総台数は、前年同期比7.4パーセント増の約2万5,700台となりました。これにより、警備輸送業務の売上高は、前年同期比0.8パーセント増の326億円となりました。

綜合管理・防災事業の状況

綜合管理・防災事業の状況についてです。新型コロナウイルス対策商品の受注は堅調に推移したものの、大型工事の反動減が大きく影響し、全体では前年同期比8.0パーセント減の302億円となりました。なお、「AED」の累計販売台数は約20万2,000台となっております。

介護事業の状況

介護事業の状況についてです。施設の稼働率向上やM&Aの効果により、売上高は前年同期比46.6パーセント増の199億円となりました。

その他の状況

その他の状況についてです。その他セグメントには、情報セキュリティ関連、安否確認サービス、「まもるっく」などが含まれていますが、M&Aの効果を含め、前年同期比16.0パーセント増の26億円となりました。

業種別売上高・構成比の状況

契約先の業種別内訳と構成比のグラフです。一番右側のグラフが、2021年3月期第2四半期決算の実績を示しており、棒グラフの下から、事業法人向けは前年同期比2.9パーセント減の1,336億円、金融機関向けは1.7パーセント減の451億円、公共法人向けは3.7パーセント減の155億円、個人向けは23.9パーセント伸びて315億円でした。

損益の分析

各費用項目について前年同期比で示したものです。売上原価は前年同期比で約3億円減少しました。主な要因は、M&Aによる人員増で労務費が増加した一方、綜合管理・防災事業において、前年の大型工事の反動減により工事原価が減少したことによるものです。販売管理費は前年同期比で約14億円増加していますが、主な要因はM&Aによる人件費、のれんの償却、および租税公課の増加によるものです。

経常利益の増減要因(前年同期比)

2021年3月期第2四半期の経常利益の増減を、2020年3月期第2四半期と比較しました。2021年3月期第2四半期の経常利益は、セキュリティ事業の売上減少、および営業外損益によりそれぞれ4億円の減少し、前年同期比4.6パーセント減の164億円となりました。

経常利益(率)の推移

過去5年の経常利益と経常利益率の推移グラフです。2021年3月期第2四半期決算の経常利益率は7.3パーセントとなりました。

連結貸借対照表

貸借対照表の主な項目です。当連結会計期間における総資産は前期末比で235億円増加し、4,523億円となりました。M&Aの結果、のれんが115億円、リース資産等の有形固定資産が101億円増加したことが主な要因です。

負債の部は前期末比で150億円増加し、1,734億円となりました。支払手形および買掛金は68億円の減少ですが、短期借入金が137億円、リース債務等、その他固定負債が119億円増加したことが、主な増加要因です。

連結キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローについてです。営業活動で増加した資金は266億円、投資活動で使用した資金は216億円、財務活動で減少した資金は44億円です。

設備投資および減価償却費

設備投資および減価償却費についてです。2021年3月期第2四半期決算の設備投資は、57億円となりました。減価償却費は、主に新規受注に伴う警備用機器等により、79億円となりました。

2021年3月期 業績計画

2021年3月期の業績計画についてです。2021年3月期の業績計画を2020年3月期の実績と対比したもので、5月12日に発表した業績予想から変更ありません。

配当額の推移

配当額についてです。中間配当は、当初の予定どおり1株当たり35円とします。したがって、中間配当を含めた年間配当は1株当たり70円を予定していますが、新型コロナウイルス感染症拡大等による業績の変動があった場合は、変更する可能性があります。

ALSOKグループの取り組み

ALSOKグループが業績を拡大するために取り組んでいる新たな商品・サービスのご紹介や、最先端の技術を活用した取り組み、そして「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」への対応についてご説明します。

新たなサービス展開①

新たな商品・サービス展開について、「ALSOK-G7」を活用したサービスをご説明します。「ALSOK-G7」はライブの画像を確認する機能を標準装備した法人向けセキュリティサービスで、本年2月に発売しました。

こちらの「ALSOK-G7」に、3密防止機能を追加した「換気促進ソリューション」の提供を10月より開始しました。これは、「ALSOK-G7」に二酸化炭素濃度を測定する環境センサーを連動させ、店舗管理者や従業員に換気を促すメールを送信したり、換気扇などを自動制御するものとして、オフィスや飲食店、介護施設でのご利用を想定しております。

新たなサービス展開②

「HOME ALSOK みまもりサポート」を活用した地域の見守りサービスについてです。「HOME ALSOK みまもりサポート」は、地方自治体が進める「地域包括ケア」の充実に貢献する新しい見守りサービスで、緊急時のかけつけや火災・ガス漏れの監視などの基本機能に加えて、災害時に国や地方公共団体が配信する緊急速報メールを音声で読み上げる機能を追加しています。「みまもりタグ」と連携することにより、徘徊認知症高齢者の早期発見や、災害発生時の避難支援が可能となります。

新たなサービス展開③

コロナ禍における新しい生活様式をサポートするサービスについてです。コロナ禍にによりテレワークの普及が進み、会社外での情報セキュリティ対策が必要となっているため、一般家庭向けのサイバーセキュリティサービス「SECURIE(セキュリエ)」や「Soliton SecureDesktopサービス(ソリトンセキュアデスクトップサービス)」の提供を開始しました。 株式会社エムビックらいふでは、11月中旬からPCR検査など、3種類の新型コロナウイルス検査を開始する予定です。

最先端技術への取り組み①

最先端技術への取り組みについてご説明いたします。まず、ローカル5Gを活用した警備業務の高度化についてです。当社は、総務省の「地域課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」を受託しました。この実験は、テロ対策、不審者および歩行弱者等の早期発見を目的として、遠隔巡回・遠隔監視による警備力向上に資する新たなモデルの構築を目指してまいります。

最先端技術への取り組み②

AIドローンを活用した警備業務の省人化・効率化についてです。「東京スカイツリータウン®」内で、完全自律飛行ドローンの屋内実証実験を行いました。将来的にはAIドローンによる大型商業施設の自動巡回や、橋梁等の社会インフラの点検を行い、警備業務の省人化・効率化を目指してまいります。

最先端技術への取り組み③

自動運転車両の遠隔管制業務についてです。当社は、群馬県等が実施した「路線バス自動運転公道実証実験」に参画しました。本実証実験では、自動運転バスに設置されたカメラ映像を遠隔地から常時監視し、バス路線の周辺や車内の見守りを行いました。車内外の遠隔監視や緊急時の現場かけつけ等、自動運転車両が実用化される社会において必要とされる各種サービスの開発を、引き続き推進してまいります。

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会への取り組み

「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」への取り組みについてです。警備体制の実証実験が行われるなど、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」の開催に向けた準備が進んでおります。

ALSOKグループは大会が安全に運営され成功するよう、警備業界のリーディングカンパニーとして、引き続き警備業界一丸となって取り組んでまいります。私からの説明は以上で終わります。

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