銀行員が語る「失敗する経営者」 夢ばかり見て、足元が見えなかった人

会社勤めの時に結婚した奥さんは、Aさんが転身したあともついてきてくれました。ペンション経営などまったく素人なのに、奥さんは一生懸命勉強して、少しでもAさんのサポートをしようと陰で頑張っていたそうです。

地域や同業者との付き合いが全くなかったAさんに代わり、奥さんだけはご近所付き合いも続け、実は上述した同業者の援助も奥さんの人柄あっての話でした。

また、信頼できる部下もいました。「信頼して部下に任せる」と言えば聞こえがいいですが、Aさんの場合はすべてを部下に丸投げだったにもかかわらず、ペンションを切り盛りしてくれていました。

しかし、そうした私の思いに反し、予想通りAさんには「他人の家庭に口出ししないでください」とピシャリと言い返されてしまいました。

おわりに

夢を追うのは素晴らしいことですが、ときには足元を見て、自分の実力や身の丈を知ることも必要です。そして、人への感謝はもっと大切です。夢だけを見ていては、周りで自分を気にかけてくれる心やさしい人たちがいることにも、なかなか気が付けません。

Aさんが、奥さんや同業の方々など周りの人ともう少し手を携えることができていたら、違う結末になっていたのではないでしょうか。

Aさんは、ペンションを失った後もそこに留まっています。これを愛着か、それとも執着と捉えるかは、人それぞれだと思います。Aさんが幸せならそれもいいでしょう。

もしかしたら、彼は今も夢を追い続けているのかも知れません。

OneMile セミナー

加藤 隆二

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執筆者

勤続30年の現役銀行員。金融ライター。
銀行員として数え切れないほどのお客様と会い、相談に乗り、一緒に悩んだ経験では誰にも負けない自信があります。
取り組んでいく記事も、そんな一介の銀行員目線で書いています。