独立行政法人 日本学生支援機構(JASSO)は12月22日、企業の社員に対する貸与奨学金(第一種奨学金・第二種奨学金)の返還支援(代理返還)の返金方法について、JASSOへ直接送金を可能にしたことを発表しました。開始時期は2021年4月1日からとなっています。

今まで、各企業の社員に対する返還額の一部又は全額を支援する方法は、各企業から社員へ直接支援するだけでした。奨学金を利用する学生が増えていることを理由に、奨学金返還を支援する企業も増加傾向にあるといいます。一定の条件の下となりますが、直接JASSOが受け付けることが可能となりました。この制度を企業が活用することで、所得税が非課税になる場合があり、給与として損金算入もできるようです。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、新たに奨学金を検討している世帯もあるかもしれません。この制度導入が、若年者の負担軽減や学びへの意欲促進となることを願います。

今回は、奨学金の課題を考えることを目的に、返済が困難に陥っている人の相談内容について、延滞するとどうなるかを見ていきます。

そもそも奨学金制度、どれくらいの人がいくら借りている?

労働者福祉中央協議会(中央労福協)の「奨学金や教育費の負担に関するアンケート調査」によると、2018年の調査では「奨学金を利用した」と回答した人は34.9%となっています。2015年は28.4%と、6.5ポイントの増加となっています。年齢別にみると、39歳以下の奨学金制度利用者は46.9%と約2人に1人が利用しているといえます。

このうち、もっとも利用が多い奨学金が「日本学生支援機構(JASSO)・第二種奨学金(有利子)」の41.2%、次いで「JASSO・第一種奨学金(無利子)」が30.1%、「日本育英会・第一種・無利子」が16.6%となっています。70%以上がJASSOの奨学金を利用しているようです。ではその借入総額はいくらなのでしょうか。

JASSOの奨学金を利用した人(39歳以下)に借入総額を聞いたところ、平均額は324万3,000円(中央値:285.6万円)でした。2015年調査より増加しています(平均値:312万9,000円、中央値:274万9,000円)。このうち性別でみてみると、男性は331万5,000円、女性は307万6,000円となっています。男性の方が若干多いですが、これは大学院修了者が多いことが影響しているようです。