“298円均一”の低価格で人気の焼き鳥居酒屋チェーン「鳥貴族」。10月に開始された「Go To イート」キャンペーンでは、制度の穴を悪用したポイント稼ぎに利用され、「トリキ(鳥貴族)の錬金術」として不本意ながら知名度が上がりましたが、新型コロナの影響を免れているわけではありません。

2020年7月期末には長期借入金が増加した結果、自己資本比率が40%台から28.4%へ大きく低下。果たしてトリキは、コロナ禍を乗り切れるでしょうか。

コロナ禍対応の資金調達で「自己資本比率」が低下

帝国データバンクの「景気動向調査(11月)」によれば、新型コロナが流行し始めた今年2月以降、「飲食店」の景気動向指数(DI)は全産業の水準を大きく下回っています。10月に「Go To イート」などが始まっても飲食店DIの回復は遅く、特に居酒屋は繁華街立地の苦戦や宴会自粛によって厳しい状況が続いています。

鳥貴族(3193)は、2020年7月期の第3〜4四半期に、事業の継続性を担保するため手元資金として長期借入金を大幅に増やしました。自己資本比率の推移を見ると、2020年7月期第2四半期に42.5%だった自己資本比率は期末では28.4%にまで低下しています。負債が45億円近く増えてしまったことに加え、純損失の発生で自己資本が減ったことが原因です。