次世代自動車においては、 CO2排出削減を目的として、世界中の自動車メーカーで電気自動車への取り組みの動きが活発化しています。しかし、それはリチウムイオン電池への充電・給電を通じて動力源とする電気自動車ばかりではありません。

欧州では商用トラックにおける新技術の取り組みが進んでおり、燃料電池車の取り組みの動きが活発化しています。

今回はダイムラーが発表した内容をもとに、欧州での商用トラックにおける燃料電池車の取り組みについてみていきましょう。

ダイムラーの燃料電池とその燃料補給についての取り組みの発表

リンデとダイムラートラックは2020年12月10日に、燃料電池を動力源とするトラックの次世代液体水素燃料補給テクノロジーを共同で開発することに合意したと発表しました。

この共同事業により、両社は可能な限り簡単にそして実用的に、水素による燃料補給プロセスを確立することを目指しています。

また、両社は 「sLH2テクノロジー」と呼ばれる液体水素をハンドルする新しいプロセスにフォーカスをします。この新しいアプローチにより、より高い貯蔵密度、より早い燃料補給、そしてエネルギー効率をあげることができるようになります。

両社は2023年にドイツで、最初の燃料補給ののプロトタイプビークルをパイロットステーションにて立ち上げること目指しています。

日本国内では、燃料電池車と言うと一部の乗用車とバスなどの利用が既に具体化されています。

日本の自動車メーカーはどう対応するのか

燃料電池車は、CO2排出がほぼないということで当初より期待されていた次世代自動車ではありました。

しかし、燃料供給体制の問題や水素ステーションの設備投資が巨額になるということなどから、その普及に関しては疑問がもたれる状況があったのは事実です。

もっともそれらに関しては、個人が燃料電池車を乗用車として利用するという目的を前提としているためで、燃料電池車が商業用トラックということになれば、水素ステーションの拠点も限定することで設備投資ができるプレーヤーが出てくるということも考えられます。

今後は、地域別そして利用者別、つまり個人ユースなのか、それとも商業ユースなのかによって、リチウムイオン電池を動力源とする電気自動車の開発をすべきなのか、液体水素を動力源とする燃料電池車を開発すべきなのかといった議論がさらに詳細にされてくると言えそうです。

参考資料

泉田 良輔