老後資金を考えた時、年金と退職金が頭に浮かぶ人が多いと思います。そしてもう忘れ去られつつあるのでしょうか、2019年の「老後2,000万円問題」。老後に2,000万円の資金が必要との金融審議会の提言がありました。今回は地方公務員の退職金について、自治体別にみていきます。

地方公務員の退職金、どのように決まるのか

退職手当は各地方公共団体の条例によって定められていますが、国家公務員退職手当法に準じた制度となっています。

基本的な算定構造ですが、

  • 退職手当額=基本額+調整額
  • 基本額=退職日給料月額×退職理由別・勤続年数別支給率
  • 調整額=調整月額のうちその額が多いものから60月分の額を合計した額

(出典:総務省「地方公務員の退職手当制度について(資料3-1)」

基本額の「支給率」については、退職の理由や勤続年数により変わってきます。勤続年数は1年ごとに計算され、理由については「自己都合」「定年・勧奨」「整理退職」などで支給率が異なります。

地方公務員(全職種)の退職金の平均支給額

総務省の「給与・定員等の調査結果等(平成31年)」(2019年)から、平成30年度(2018年度)中に退職手当を支給された地方公務員の1人当たり平均支給額をみていきます。対象は、2018年4月1日から2019年3月31日までに60歳定年で退職した職員です。また個人情報保護の観点から、対象職員数が1~2人の場合は、支給額を公表していません。

まずは全職種の「60歳定年退職者の平均支給額」をみていきます。

都道府県(47団体)

全職種:2,210万円
一般職員:2,160万円
一般職員のうち一般行政職:2,180万円
教育公務員:2,240万円
警察職:2,190万円

政令指定都市(20団体)

全職種:2,160万円
一般職員:2,110万円
一般職員のうち一般行政職:2,210万円
教育公務員:2,240万円

市区町村(指定都市を除く1,721団体)

全職種:1,830万円
一般職員:1,820万円
一般職員のうち一般行政職:1,740万円
教育公務員(44団体):620万円

市区町村以外は2,000万円を超えています。もっとも高かったのは、都道府県と政令指定都市の教育公務員(2,240万円)です。もっとも低かったのは、市区町村の教育公務員ですが、調査件数が少なくなっていることが影響していそうです。

それでは、「一般職員のうち一般行政職」の退職金の平均支給額を、自治体別に詳しく見ていきましょう。