2020年4月、全国に緊急事態宣言が発令され、飲食サービス業や宿泊業、観光業などへの経済的な影響の深刻さが増して半年以上が過ぎました。その後は新規感染者数が緩やかになった時期もありましたが、現在はまた増加傾向にあります。1人10万円の特別定額給付金は支給されましたが、「10万円では、とてもじゃないがどうにもならない」という人の声がある一方、株式市場は日経平均株価が29年ぶりの高値を付けました。みんなの懐の実態はどうなのでしょうか。「生活保護」というと最後の砦と思っている人も多いと思いますが、コロナ禍でその数に変化はあったのでしょうか。直近のデータを見てみましょう。

生活保護受給世帯、高齢世帯が増加傾向

ここでは厚生労働省の『生活保護の被保護者調査(平成30年度確定値)』(2018年)から、過去にさかのぼって被保護世帯数と被保護実人員の推移をみてみましょう。

まずは被保護世帯数を1975年度から2018年度までの推移をみてみます(グラフ参照)。

「世帯類型別被保護世帯数(1カ月平均)」出典:厚生労働省『生活保護の被保護者調査(平成30年度確定値)』

バブル崩壊直後の1991年度(平成3年度)から1995年度(平成7年度)には大きな増加は見られないものの、その後は増加スピードを加速させ、2005年度(平成17年度)には100万世帯を超えています。リーマン・ショックを経てさらに増加傾向が続きますが、2011年度(平成23年度)あたりから増加幅はゆるやかになっています。2018年度(平成30年度)の被保護世帯数(1カ月平均)は163万7,422世帯で、前年度比は3,432世帯の減少と増加傾向が終わった年度でした。

ただ、高齢者世帯の増加傾向は止まっていません。少子高齢化でそもそも高齢者世帯が増加しているので、当然といえば当然の流れかもしれません。

次に被保護実人員を見てみます(グラフ参照)。