グラフで見る「大企業の退職金」

では、より詳しく大企業の退職金をみてみましょう。

中央労働委員会の資料をもとに筆者作成

中央労働委員会の資料をもとに筆者作成

中央労働委員会の資料をもとに筆者作成

会社都合/自己都合による差は確かにありますが、総合職/一般職の差ほど大きくありません。総合職/一般職の退職金額の差は、どの学歴もだいたい勤続20年くらいで広がってきています。大学卒がもっとも総合職/一般職の差が大きいですね。

まとめにかえて

金融審議会の報告書によると、高齢夫婦(夫65歳以上妻60歳以上)の毎月の収入(主に年金収入)は20万9,000円。これに対して支出は26万4,000円となっており、その差額の毎月の赤字が5万5,000円となっています。

5万5,000円×12カ月×30年=1,980万円

となり、約2,000万円となります。

大企業の退職金は、2,000万円以上もらえる人もいるようですが、総合職か一般職かで大きな違いがあります。

定年時の退職金額をみてみると、大学卒の総合職/一般職の平均退職金の差額は700万円以上、短大・高専卒の総合職/一般職の差は450万円以上、高校卒の総合職/一般職の差は550万円以上となっています。総合職と一般職は業務内容や責任の重さ、転勤の有無などが異なりますし、出世の仕方も違いがあるでしょう。それが退職金に表れていると考えられます。

【参考】

「令和元年退職金、年金及び定年制事情調査」中央労働委員会
『金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」』金融庁

尾藤 ちよ子