国家公務員の退職金、勤続年数でどれくらい違う?

内閣人事局によると、「国家公務員の退職手当の支給水準については、退職給付(退職手当及び年金払い退職給付(使用者拠出分))の官民均衡を図るため、おおむね5年ごとに行う民間企業の企業年金及び退職金の実態調査を踏まえて見直しを実施」しているとのことです。

計算方法は、

基本額(退職日の俸給月額×支給割合)+調整額

となっています。この「支給割合」とは、退職理由や勤続期間により異なります。

ここでは、2018年度中に退職した人の退職金について、勤続年数別にみてみます(グラフ参照)。

国家公務員(行政俸給表(一)適用者)の退職金 勤続年数別(内閣官房の資料をもとに筆者作成)

国家公務員では、勤続30年を超えたあたりで退職金2,000万円に達している人が多いようです。この点については大企業の総合職(大学卒)と似ていますが、そこから最終的に定年まで勤めあげてもそれほど大きな変化はありません。一方大企業の総合職は2,500万円を超えます。

まとめにかえて

「大学卒の会社員」といっても企業規模で退職金事情はかなり異なるようです。また同じ大企業でも、総合職と一般職では状況が違っています。一般職は定年まで勤めあげて、平均退職金は1,800万円ほどです。総合職であれば、勤続30年で平均退職金は1,800万円を超えます。

中小企業においては、そもそも退職給付制度がなかったり、あっても退職金2,000万円に達する人は少ないのかもしれません。大企業の一般職より平均退職金は低くなっています。

国家公務員の退職金は、勤続10年未満だと100万円にも達していませんが、その後は大企業の大学卒の総合職と同じような上がり方をしていきます。最終的にもっとも退職金が高いのは大企業の総合職(大学卒)のようです。とはいえ、2,000万円に達するのは勤続30年。会社員生涯のほとんどの時間を費やして、1つの会社のために頑張り続けた人がもらえるもののようです。そして国家公務員も同じ、ということなのでしょう。

【参考】

「令和元年退職金、年金及び定年制事情調査」中央労働委員会
「中小企業の賃金・退職金事情(平成30年版)」東京都産業労働局
『金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」』金融庁
「退職手当の支給状況」内閣官房(平成30年度)
「公務員と会社員の退職金、どれくらい違うの?」LIMO
「厚生年金や国民年金をみんな、いくらもらっているのか」LIMO

尾藤 ちよ子