60代の「貯蓄2,000万円以上」世帯はどれくらい?

では60代の貯蓄現在高階級における世帯数についてみていきます。実は各年代一定数の貯蓄「100万円以下」世帯が存在しており、一方で貯蓄「4,000万円以上」もいます。ではどれくらいの世帯数なのでしょうか。

60代の貯蓄現在高階級における世帯数(10万分比)

100万円未満:1,928世帯
100~300万円:1,431世帯
300~500万円:1,441世帯
500~700万円:1,617世帯
700~900万円:1,243世帯
900~1,200万円:1,624世帯
1,200~1,400万円:1,059世帯
1,400~1,600万円:773世帯
1,600~1,800万円:892世帯
1,800~2,000万円:727世帯
2,000~2,500万円:1,657世帯
2,500~3,000万円:1,321世帯
3,000~4,000万円:1,810世帯
4,000万円以上:3,804世帯
総数:2万1,327世帯

「100~2,000万円」までは200万円ごとに掲載しています。貯蓄「2,000万円以上」は500万円ごとのデータしかなく、「3,000万円以上」は1,000万円ごと、そして「4,000万円以上」となっています。

そのため単純比較はできませんが、もっとも多い世帯は貯蓄「4,000万円以上」となっています。次いで「100万円未満」となっており、貯蓄格差があることが分かります。貯蓄2,000万円以上の世帯は、60代全体の4割程度ということになります。60代の平均貯蓄額は2,000万円を超えていますが、分布をみてみると、かなり多くの世帯が貯蓄2,000万円を達成している…というわけではないといえるかもしれません。

まとめにかえて

金融審議会の報告書によると、高齢夫婦(夫65歳以上妻60歳以上)の毎月の収入(主に年金収入)は20万9,000円。これに対して支出は26万4,000円となっており、その差額の毎月の赤字が5万5,000円となっています。これが仮に老後30年間続くとなると、

5万5,000円×12カ月×30年=1,980万円

となり、約2,000万円となります。もっとゆとりある老後生活などを考えると、もう少し老後資金が必要となります。今回は60代の平均貯蓄額をみていきましたが、世帯分布をみると貯蓄100万円以下世帯も一定数いるようです。人生100年時代といわれて久しいですが、老後資金はまとまった額が必要となるため、長期的な視点が重要になってきます。早めに老後生活を見据えた資産形成をしていきたいですね。

参考

「家計調査報告(貯蓄・負債編)―2019年(令和元年)平均結果―(二人以上の世帯) 第8-30表 各種世帯属性,貯蓄現在高,貯蓄・負債現在高の差額階級別世帯分布」総務省統計局
『金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」』金融庁
「みんなはいくら貯めている?20代~70代の貯蓄と負債の状況」LIMO

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

尾藤 ちよ子