あまり知られていない現実~「未遂」でも苦しむ心~

今もまったく思い出さない訳ではない…

その時からもう数十年が経過し、現在は結婚もして3人の子どもを育てる主婦として暮らしている筆者ですので、男性への恐怖心というものもかなり薄れています。それでも、あの時の出来事を忘れることはありません。

そして、まだ幼い娘には過剰かも…と思うほどに、警戒している自分がいることに「ハッ」と気が付く場面もあります。

きっと、この筆者の体験は「大したことない」部類に含まれるでしょう。実害がなく未遂だったわけですから。でも、その後の生活にも影響を及ぼしたという事実は筆者の心に残っています。

事件があってから落ち着くまでの数年間…他に目を向けて自分を飛躍することもできたかもしれない時期に、恐怖と戦い、自分を保つことだけに全神経を使わなければいけない状況になってしまった…その年月はとても苦しいものでした。

未遂だからといって、実際に目に見えない傷を負っていないからといって、人の心の傷まで何事もなかったことにはできないと思うのです。もっとも良いのは、誰もこのような思いをしないこと、このような卑劣な行為がなくなること、です。

もし今苦しんでいる方がいたら、せめて「大したことじゃない…なんて、無理に自分を抑えなくていい」「あなたは何も悪くないし、恥ずかしい存在でもない」ということをお伝え出来たらと切に願っています。

(※性犯罪は未遂であっても犯罪です。「男女間における暴力に関する調査(平成29年度調査)」によると、「無理やりに性交等された被害の相談の有無」において「相談しなかった」が56.1%となっています(男女総数)。誰かに話すことは非常に困難を伴いますが、伝えることで変わる現実もあります。「未遂」であっても110番、または可能なタイミングで信頼できる人や窓口に相談しましょう)

『性犯罪被害相談電話(全国統一)「#8103(ハートさん)」』警察庁

参考

「男女間における暴力に関する調査(平成29年度調査)」男女共同参画局
「性犯罪被害者等の支援」男女共同参画局

白藤 さつき

参考記事

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執筆者

国内大手パソコン周辺機器メーカーに正社員として13年間勤務。お局道まっしぐらと思いきや、自分でも予想外に結婚。その後、さらにまさかの子だくさん母(長男・次男・長女の3兄妹)となる。長女出産後、正社員時代に鍛えたタイピングの速さを武器にWebライターへ。「心に伝わるライティング」を心掛けています。