日本の義務教育である小中学校では一斉授業のスタイルが主流です。全員が同じペースで授業を受けて問題を解いていきますが、中にはクラスメイトの何倍もの速さで終わらせる子もいます。

実力があっての速さなのに、「先生がスタートと言う前から問題を解いていたんだろう」などと言われて傷つくこともあるようです。学力が高いことで、俗に「浮きこぼれ」と呼ばれる子どもたちはこの問題をどうクリアしていけばよいのでしょうか。

「浮きこぼれ」の悩みをつぶやく子ども

学力格差の問題がメディアなどで話題になるとき、たいがいは授業についていけない「落ちこぼれ」の観点です。しかし、クラスメイトより学力が高いことで授業中に目立ってしまい、嫌味を言われたり疎外感を感じる「浮きこぼれ」のケースもあります。

授業の理解や計算などが同級生よりも格段に速い子は、一見すると恵まれていますが、当の本人は悩みを抱えていることも少なくありません。特に地方の公立学校では、学力がある子に対して「勉強ばかりしている」と揶揄し、勝気な子からは「ズルしている」と理不尽に責められることも。

筆者が塾講師をしていた時、勉強ができることが原因で悩んでいる生徒に出会ったことがあります。ガリ勉タイプではなく、理解力が格段に高い子でした。他人から見れば何ともぜいたくな悩みかもしれませんが、当事者の悩みは深刻なものでした。

学校の授業がつまらないとは感じないものの、同級生からの妬みとも思える言動に心を痛めていたのです。「運動神経のいい子は褒められるのに、問題が解けると周囲から冷たくされるのは納得できない」とつぶやいていたのが印象的でした。