夫婦共働き世帯と専業主婦世帯、支出が多いのは…

総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)―2019年(令和元年)平均結果―(二人以上の世帯)」から、夫婦共働き世帯と専業主婦世帯の家計収支をみてみましょう。

共働き世帯と専業主婦世帯の1カ月の実収入

  • 夫婦共働き世帯(有業者は夫婦のみ):66万3,030円
  • 夫のみ有業の世帯:53万7,388円

共働き世帯と専業主婦世帯の1カ月の実支出

  • 夫婦共働き世帯(有業者は夫婦のみ):47万27円
  • 夫のみ有業の世帯:42万4,535円

実収入-実支出は、共働き世帯は19万3,003円、専業主婦世帯は11万2,853円です。黒字率は、共働き世帯は35.9%、専業主婦世帯は26.1%と共働き世帯の方が貯蓄が増えている計算になります。ただし注意が必要な点があります。それは、住宅ローンの返済額については消費支出に表れない点です。持家率の高い共働き世帯、住宅ローンなどの住居費が支出を押し上げている可能性があります。

また消費支出を項目別にみると、「教育費」は共働き世帯は月2万3,710円、専業主婦世帯は月1万8,800円と、共働き世帯の教育費の高さが浮き彫りとなっています。子どもの進学費用も、もしかしたら共働き世帯の方が高いかも…と考えてしまいますね。

まとめにかえて

貯蓄を増やすためには、やはり収入を増やした方が良いのですが、今回の結果では専業主婦世帯の方が貯蓄額が高くなっていました。ただ、持家率をみると共働き世帯の方が高く、「持ち家の方が安心だ」と思う人の場合は、やはり共働きで収入アップを目指し、住宅購入費を捻出した方が安心した暮らしを送れるのかもしれませんね。

この結果から筆者が思うのは、「夫の収入が十分にあるから、専業主婦なんだよね」ということ。夫のみ有業の世帯の年間収入は688万円。夫1人で650万円以上稼げれば、専業主婦も視野に入るのか…?ただ、共働き世帯の年間収入は799万円。約800万円です。年間収入650万円じゃ足りない、と思う人が共働きを選択しているともいえます。「別に貧乏じゃないけれど…」ということだと思います。筆者の場合は、共働きでないとやっていけないのが実情なのですが…。

とはいえ、専業主婦世帯は減少傾向です。労働政策研究・研修機構によると、共働き世帯は1,245万世帯。一方専業主婦世帯は575万世帯となっています。家計のために共働きを選択する人もいるとは思いますが、理想の生活をするため、働きたいから…など、共働きを選択する人の理由は様々です。後悔のない選択をしたいですし、もちろん、どちらを選択しても貯蓄は必要ですから、引き続き工夫を心がけていきたいですね。

参考

「家計調査報告(貯蓄・負債編)―2019年(令和元年)平均結果―(二人以上の世帯) 第8-9表 妻の就業状態,世帯類型別貯蓄及び負債の1世帯当たり現在高」総務省統計局
「家計調査報告(家計収支編)―2019年(令和元年)平均結果―(二人以上の世帯) 第3-11表 妻の就業状態,世帯類型別1世帯当たり1か月間の収入と支出」総務省統計局
「図12 専業主婦世帯と共働き世帯」独立行政法人 労働政策研究・研修機構
「みんなはいくら貯めている?20代~70代の貯蓄と負債の状況」LIMO
「老後に本当は、お金がいくら必要なのか?」LIMO

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

【ご参考】年間収入とは

総務省統計局の「家計調査」における「年間収入」とは、世帯全体の過去1年間の収入(税込み収入)です。以下1~6の収入の合計金額となっています。
1. 勤め先収入(定期収入、賞与等)
2. 営業年間利益(原材料費、人件費、営業上の諸経費等を除く。)
3. 内職年間収入(材料費等を除く。)
4. 公的年金・恩給、農林漁業収入(農機具等の材料費、営業上の諸経費等を除く。)
5. その他の年間収入(預貯金利子、仕送り金、家賃収入等)
6. 現物消費の見積り額

尾藤 ちよ子