もらうのも一苦労…金額も減っている退職金

かつて退職金は、年金給付と同じくらい老後生活を支える重要なお金でした。しかし金融審議会の報告書によると、1997年の平均退職給付額(全規模)は3,203万円だったのに対して、2017年は1,997万円まで減少しています。1,200万円ほど減少していますが、さらに退職給付制度そのものがない企業が増えているといいます。

働き方が多様になっている現代。会社への忠誠心が「美徳」と考えられ、1つの企業に入社から定年まで勤めあげることが良しと考えられていた時代もありました。しかし今は多くの人が転職しますし、フリーランスをいう働き方を選択する人もいます。働き方の多様化は、多くの人が社会で活躍できるメリットがある一方、退職金の面から考えると、勤続年数が短かったり個人事業主となると厳しい面もあります。

勤続年数が長ければ、それだけ退職金が上がる傾向にありますが、まとまった金額になるのは勤続年数25~30年以上といえそうです。人生には様々なことが起こります。結婚したり出産したり、病気をしたり…本当に人それぞれだと思いますが、それでも働き続けられる人は案外少ないのかもしれません。

しかしどんな状況においても、資産形成はその人次第で継続できます。失業して収入が途絶えても、すべての貯えを使い切るわけではないでしょう。資産形成は早めに始めることが何よりも重要といいます。自身のライフプランに夢を持ちながらも、お金は堅実に蓄えていきたいですね。

参考

「退職金・年金に関する実態調査結果」(2018年9月度)日本経済団体連合会
「高齢社会における資産形成・管理」金融審議会市場ワーキング・グループ
「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」(2018年)厚生労働省
(調査対象:日本標準産業分類(平成25年10月改定)に基づく16大産業(製造業や情報通信業、金融業など)に該当する産業で、常用労働者30人以上を雇用する民営企業(医療法人、社会福祉法人、各種協同組合等の会社組織以外の法人を含む)となっています。ここからさらに、産業、企業規模別に層化して無作為に抽出した企業が調査対象です。
調査客体数は6405、有効回答数は4127、有効回答率は64.4%となっています)

尾藤 ちよ子