イオンディライト、1Qは減収減益 新型コロナウイルスによる休業やイベント中止・外出自粛が影響

2020年7月9日に行なわれた、イオンディライト株式会社2021年2月期第1四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:イオンディライト株式会社 代表取締役社長兼社長執行役員 グループCEO 濵田和成 氏

連結損益計算書

濵田和成氏:イオンディライトの濵田でございます。本日はご多用の中、当社説明会にご参加いただきまして誠にありがとうございます。説明会に先立ちまして、このたび九州地方において発生した記録的な大雨により被害に遭われた方々へ、心よりお見舞い申し上げます。

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九州から始まり長野、岐阜のほうまで被害が拡大する中、我々がお客さまのクライシスマネジメントを司る会社として非常に重要な役割を担っていることを、あらためて思い知らされました。今年は、残念ながら、このような災害がまだまだ起こり得るものと前提して、我々の体制もあらためて構築したいと考えています。

それでは、先行して開示した2021年2月期 第1四半期決算発表説明会の資料に基づき、始めさせていただきたいと思います。本日は、第1四半期の決算報告、本決算の説明会で開示した「2020年度対処すべき課題と対策」の進捗、その他の取り組みについて、順を追ってご説明します。

まずは第1四半期の業績についてご説明します。はじめに連結損益計算書です。当期は、新型コロナウイルス感染拡大防止を目的に、事業を展開する各国で実施された顧客施設の一部閉鎖や臨時の休業、イベントや外出の自粛要請などが影響し、売上高は前年同期比93.0パーセントの735億円となりました。

売上総利益は警備、建設施工の2事業が増益となりましたが、全体では前年同期比93.1パーセントの89億円となりました。販売管理費は前年同期比94.4パーセントの55億円となっています。これらの結果、営業利益は前年同期比90.9パーセントの34億円、経常利益は前年同期比90.5パーセントの34億円となりました。

親会社株主に帰属する四半期純利益は、旧カジタクの不正会計処理問題に伴う業績の遡及修正を行なった結果、法人税の還付を受けることができました。その影響により、前年同期比144.5パーセントの29億円です。

【ご参考】旧カジタクの業績を除いた損益計算書(同規模比較)

参考値として、旧カジタクの業績を除く同規模の比較についてご紹介します。次のページをご覧ください。旧カジタクの業績を除いた2020年度第1四半期の業績数値は、売上高で前年同期比93.6パーセント、売上総利益で前年同期比90.3パーセント、販売管理費で前年同期比95.4パーセント、営業利益で前年同期比83.5パーセントです。

新型コロナウイルス感染症拡大による影響

当第1四半期の新型コロナウイルスによる影響についてご説明します。次のページをご覧ください。当社は、期初に掲げた2020年度通期の計画数値において、新型コロナウイルスによる営業利益へのマイナス影響額を15億円と試算しています。これは、顧客施設の一部閉鎖や臨時休業などの影響が、上期いっぱい継続すると仮定した試算です。

これに対して、第1四半期の新型コロナウイルスによる営業利益のマイナス影響額は10億円程度となり、想定内の結果となりました。影響が発生した主な事象は、イベント自粛に伴う雑踏警備の受注減、旅行関連事業の売上減、顧客施設の閉鎖に伴う設備管理や警備、清掃といったビルメンテナンスの仕様の変更、資材関連の受注減、自販機の売上減、海外からの部品調達の遅延に伴う工事の受託減や延期です。

このうち、イベント関連事業については、新型コロナウイルス感染拡大に関していまだ予断を許さない状況が続く中、年度を通じて影響が発生していくものと見込んでいます。一方で、顧客施設の閉鎖に伴う支障や工事関連については、事業を展開する各国ですでに経済活動が再開していることもあり、現時点においては第2四半期以降のマイナス影響は縮小していくものと見込んでいます。

加えて、今後は年度を通じて、新型コロナウイルスの影響による施策の遅れを取り戻していきたいと考えています。

セグメント売上高

それでは、新型コロナウイルスによる影響も含めた、第1四半期のセグメント別の実績についてご説明します。まずは、セグメントの売上高です。次のページをご覧ください。先に述べたとおり、新型コロナウイルスの影響もあり、セグメント売上高は全事業で減収です。とりわけ自動販売機事業では、外出自粛要請や、主な設置先である商業施設の臨時休業などの影響により、飲料の売上高が大幅に減少しています。

また、サポート事業では、旅行関連事業を展開する連結子会社イオンコンパスの業績が、前年同期を大きく下回っています。

セグメント損益

続いて損益です。次のページをご覧ください。セグメント別の損益は、警備、建設施工で増益となっています。警備では、価格交渉を通じた単価の適正化と収益性の改善に取り組むとともに、入退店管理や閉店業務のシステム化を進めることで、収益性を改善できています。建設施工については、各工事の仕様や工程の最適化と、これらを通じた原価低減により収益性を改善し、増益となっています。

なお、設備管理、清掃、資材関連の収益性低下については、次章の「対処すべき課題と対策」で詳細をご説明します。

連結貸借対照表

続いて貸借対照表です。次のページをご覧ください。連結貸借対照表についてはご覧のとおりです。第1四半期は、前期決算に係る法人税、賞与および配当の支払に加えて、連結子会社エイ・ジー・サービスの株の追加取得を実施したことにより、総額50億円のキャッシュアウトとなっています。

これらにより、当期間は29億円の四半期純利益を計上しましたが、総資産は前期比51億円の減少、純資産は前期比10億円の減少となっています。なお、自己資本比率は前期の57.6パーセントから2.4ポイント改善し、60パーセントです。

2020年度 第1四半期の主な取り組み①FMニューノーマル構築に着手

当第1四半期の主な取り組みについてご説明します。次のページをご覧ください。はじめに、ファシリティマネジメントのニューノーマル構築に向けた取り組みです。当社では、今般の新型コロナウイルス禍による環境の変化を受けて、全社的な取り組みとして、ウィズコロナに適応しアフターコロナを見据えたファシリティマネジメントのニューノーマル構築に着手しています。

今後、あらゆる施設で恒常的な感染対策が求められるとともに、オフィスにおけるテレワークの浸透や、教育機関におけるオンライン化の促進など、一部施設では求められる機能そのものが変化していくことが考えられます。

こうした中、当社では感染対策を含めた安全、安心を実現していくためにも、防疫・消毒方法の確立や新たな非接触型サービスの開発導入をはじめとした、ファシリティマネジメントのニューノーマルを早期に構築していきます。

まずは商業施設を対象に、病院向けに提供している衛生清掃をベースとした防疫・消毒方法の確立、非接触型店舗環境の確立、オープンネットワークシステムを活用した空調管理による省エネ化と換気・空調の改善などに取り組み、施設管理のニューノーマル構築を進めていきます。

なお、先日イオンが発表した「イオン新型コロナウイルス防疫プロトコル」については、我々のこの取り組みがそこに反映されているとお考えください。

2020年度 第1四半期の主な取り組み②新型コロナウイルス感染拡大への対応

新型コロナウイルスに対しての対応です。次をご覧ください。当社では2020年初頭より日本と中国、ASEANをまたいだ対策本部を立ち上げ、全社を挙げて新型コロナウイルスへの対応に取り組んでいます。記載のとおり、お客さまへのサービス提供を停止しないために、従業員の安全と健康を第一に確保し、お客さまのクライシスマネジメントを担う立場から、各施設でさまざまな防疫対策を実施してきました。

2020年度 第1四半期の主な取り組み③ビジネスモデルの変革を加速

ビジネスモデルの変革に向けた取り組みです。次のページをご覧ください。当社では、自社や協力会社はもとより顧客企業における人手不足を解消する仕組みとして「イオンディライトプラットフォーム」の構築を進めています。

当期間は「イオンディライトプラットフォーム」の構築に向けて、各種サービスおよび業務のテクノロジーの活用によるデジタルトランスフォーメーションを加速させるとともに、今般の新型コロナウイルス禍による環境の変化にも適応する新たなビジネスモデルを構築していくため、外部より専門性を有する人材を招聘し、部門横断的な専従組織として「ビジネスモデル変革PT」を組成しています。

このPTでは、デジタルトランスフォーメーションの促進を通じて、主に巡回型エリア管理モデルをはじめとした「新たな施設管理サービスの構築」、アカウント営業の強化による「既存顧客内シェアの拡大」、デジタルテクノロジーを活用した「新規顧客の獲得」、協力会社とのネットワーク活用による「顧客ニーズを起点とした事業機会の創出」といった4つの重点項目に取り組んでいきます。

2020年度 第1四半期の主な取り組み④VPP構築実証事業に採択

VPP構築実証事業への採択についてです。次のページをご覧ください。当社は事業の新たな柱として、エネルギーマネジメントサービスの確立を目指しています。その一環として、経済産業省のバーチャルパワープラント構築実証事業の公募に応募し、2020年5月に実証事業者として採択されています。

関西電力を中心としたコンソーシアムに参画し、イオンモール神戸北において送水ポンプと空調機の電力需給調整力の制御方法について検証します。同実証事業への参画を通じて、バーチャルパワープラント構築を加速させるとともに、2021年度からの需給調整市場の開設を見据え、イオングループ内における電力需給調整力の整備を進めます。

2020年度 第1四半期の主な取り組み⑤アジアでの事業展開

アジアでの事業展開です。次のページをご覧ください。はじめに中国事業についてです。イオンディライト江蘇では、重点ターゲットとする中高級ショッピングセンターや病院、養老院、インフラ、再開発エリアといった施設の受託拡大に注力することで堅調に事業を拡大しています。

一方で、湖北省武漢市を本拠とする武漢小竹では、2020年1月下旬から4月上旬にかけての事実上の都市封鎖が業績に影響しています。一方で、同期間も従業員の健康と安全に細心の注意を払いながら、イオングループの現地店舗などへのサービスを提供し続けました。足元では、企業活動の段階的な再開や都市機能の回復に伴い、平時の営業状態への速やかな移行を進めています。

ASEANでは、イオンディライトベトナムにおける新規顧客開拓や、2019年10月より現地イオンモール2号店、2020年2月より同1号店において総合施設管理サービスの提供を開始したインドネシアのPT Sinar Jernih Saranaの成長により、ASEAN事業全体として堅調に事業を拡大しています。

これらの結果、海外事業は売上ベースで前年同期比108.9パーセント、営業利益ベースで前年同期比111.9パーセントとなりました。なお、ASEAN事業においては、新型コロナウイルス感染拡大防止のため各国で実施された一部施設の閉鎖や外出禁止などの影響が、第2四半期以降の業績に発生してくることを見込んでいます。しかし現段階の状況を見ると、連結ベースでの影響は軽微なものに止まると考えられます。

2020年度の位置づけと計画数値

次のページをご覧ください。「対処すべき課題と対策」についてご説明します。こちらは、期初に発表した2020年度通期の計画数値です。新型コロナウイルスの影響が上期まで継続すると仮定し、営業利益予算165億円を目標に掲げています。

通期営業利益予算達成シナリオの進捗

次のページをご覧ください。営業利益165億円の達成に向けて、旧カジタクによる営業損失を5億円、新型コロナウイルスによる影響額を15億円のマイナスと見込み、2019年度に積み残した課題の解消とマーケットシェアの拡大、生産性の向上により13億円を積み上げる計画を立てています。第1四半期時点で、旧カジタクによる営業損失は計画の範囲内で着地しています。また、先に述べたとおり、新型コロナウイルスによる影響額もおおむね計画の範囲内での着地となりました。

対処すべき課題と対策(進捗と今後の取り組み)-2019年度からの積み残し課題 ①-

それでは、営業利益積上げに向けて期初に掲げた「対処すべき課題と対策」の当期における進捗と今後の取り組みについて、次のページよりご説明します。

はじめに、設備管理の収益性悪化と対策の遅れについてです。低収益物件の改善や業務プロセスの改革に取り組むものの、既存業務の外注費上昇に追いつかず、第1四半期の売上総利益率は前年同期比マイナス1.1ポイントとなりました。

一方で、局所的ではあるものの、業務プロセス改革の成果は着実に表れています。人手不足解消に向けた巡回型エリア管理への移行を、他のエリアに先行して進める北海道では、設備管理の売上総利益率が前年同期比で4ポイント以上の改善となっています。

北海道では、常駐型個別物件管理から巡回型エリア管理への移行に向けて、2019年下期をフェーズ1と位置付け、大型商業施設を対象に業務の棚卸しや集約化を通じて常駐要員コストを削減しました。対象店舗における従来比約20パーセントの設備管理員を新たなリソースに転換し、増設した3つの営業所へ配置転換しています。

2020年度はフェーズ2として、中小型商業施設における常駐設備管理員の無人化に向けた遠隔監視システムの導入に着手しています。北海道での事例により、収益性改善に対する施策の妥当性は確認することができています。今後、新設の「ビジネスモデル変革PT」により、全社的な取り組みとして、こうした施策の他エリアへの展開速度を加速させていきます。

次に、清掃の収益性悪化と対策の遅れについてです。設備管理と同じく低収益物件の改善に取り組むとともに、現場単位の好事例の水平展開などにより、単体では売上総利益率を前年同期比で0.2ポイント改善することができました。一方で、商業施設の休業などの影響により子会社において収益性が悪化し、連結では0.3ポイントの悪化です。

第2四半期以降は、引き続き低収益物件の改善に取り組むとともに、現場単位の改善活動や自動走行型清掃ロボットの導入拡大などにより、子会社や協力会社を含めた生産性の向上を図ります。いずれにしろ、子会社の収益性悪化は第1四半期の一時的なものであり、第2四半期以降は改善していくと推定しています。

次に、建設施工の工事受託不足についてです。建設施工では改装工事など一部工事を前倒しで受注しましたが、新型コロナウイルスの影響により一部工事の進捗に遅れが発生し減収となっています。一方で、先に述べたとおり、各工事の仕様や工程の最適化に取り組むことで売上総利益率を前年同期比で0.7ポイント改善し、減収増益となっています。

第2四半期以降は引き続き、市場規模の大きな関東と関西の2つのエリアを重点エリアとし、設計やデザインといった川上からの参画案件も増やすことで大型工事の受託拡大を図るとともに、連結子会社や協力会社との連携強化により小型工事の着実な取り込みも図ります。

対処すべき課題と対策(進捗と今後の取り組み)-2019年度からの積み残し課題 ②-

次のページをご覧ください。資材関連の収益性悪化についてです。資材関連では収益性の改善に向けて従前より物流コストの削減に取り組んできましたが、取引高の減少に伴う配送効率の悪化により、成果には結びついていません。

当期間においては収益性の数値改善に至らなかったものの、期初からの積極的な提案活動により第2四半期以降は取引高を拡大し、スケールメリットを活かせる体制を構築することができています。これにより、今後はボリュームを生かした原価低減や物流効率の向上を実現していくことができると考えています。

次に、想定を上回るカジタク事案の影響についてです。家事支援事業承継会社のアクティアでは、新型コロナ影響により家事代行をはじめとした訪問サービスの提供拡大が困難となり、計画に遅れが生じました。しかし、店頭支援事業のKJSを含めた旧カジタク2社の営業損失は計画どおりの着地となっています。

第2四半期以降、アクティアでは新たな生活様式に適応した商材の開発により事業拡大を促進していきます。また、店頭支援事業については引き続き再編手続きを進めます。

対処すべき課題と対策(進捗と今後の取り組み)-マーケットシェア拡大と生産性の向上-

次のページをご覧ください。マーケットシェアの拡大と生産性の向上については、新型コロナの影響もあり、当第1四半期において具体的な取り組みには未着手となりました。新型コロナウイルス禍による環境の変化も踏まえ、目標とすべき指標や施策について再検討するため足元では議論を進めています。

この他、新型コロナウイルスの影響により売上を大きく落とした自販機事業については、自社混合機の設置拡大や立地環境の見直しといった従来の取り組みを継続するとともに、お客さまの利便性や安全、安心を向上するための非接触化の促進など、1台あたりの収益拡大に向けた取り組みを強化していきます。

本社機能の再編・集約

その他の取り組みについてご説明します。はじめに、本社機能の再編と集約についてです。現在東京と大阪、幕張に分散している本社組織を再編し集約することで、意思決定の迅速化を図っていきたいと考えています。また、新オフィスをAIやIoTを活用したインテリジェントオフィスとすることで、当社ビジネスを推進する拠点として再構築します。

加えて、新型コロナウイルス対策として実施しているテレワークや時差出勤などの新たな働き方を継続、促進するとともに非接触化やデジタル化を進めることで、感染防止を実施しながら業務の効率化を図ります。これらを今期中に遂行し、本社のスリム化を実現します。

資本生産性の向上 -グループ内の組織再編-

資本生産性の向上に向けたグループ内の組織再編についてです。次をご覧ください。2020年度は、イオンディライトグループとして、資本生産性向上を目的にグループ内の組織再編を進めています。その一環として、小型チェーン店舗の設備管理や建設施工に強みを持つエイ・ジー・サービスを今年の5月に完全子会社化しました。

これによって機動的かつ迅速な意思決定を実現するとともに、両社の経営資源を最大限に活用し事業戦略を推進できる体制を整えました。引き続きグループ内の組織再編を推進し、「イオンディライト経済圏」の形成に向けてグループ各社の役割と機能を明確化していきます。

また6月30日には、旧カジタクの店頭支援事業の再編手続きの一環として、証明写真機事業を他社へ譲渡しました。当該事案については、引き続き速やかな再編手続きを遂行していきます。

本日ご説明した取り組みを着実に遂行していくことで、2020年度通期計画数値の達成を目指してまいります。私からの説明は以上でございます。ご清聴、誠にありがとうございました。

記事提供:ログミーファイナンス

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