2020年5月15日に行なわれた、パーソルホールディングス株式会社2020年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:パーソルホールディングス株式会社 代表取締役社長 CEO 水田正道 氏\nパーソルホールディングス株式会社 執行役員 CFO 関喜代司 氏

ハイライト

関喜代司氏:パーソルホールディングス株式会社で財務を担当しています関でございます。お忙しいところご参加いただきまして、誠にありがとうございます。本日ご報告する内容のうち、一番目の2020年3月期の決算実績・概要については私から、二番目以降のコンテンツについては社長の水田からご報告します。

まず、本日ご説明する内容のポイントを、ハイライトでご報告したいと思います。1点目は、2020年3月期決算の実績についてです。売上高・営業利益は、11月開示の予想数値に対して若干未達となりましたが、当期純利益に関しては、2021年3月期より連結納税の適用を受けることから、法人税等調整額が減額となり、予想数値を達成しました。ただし、前期と比較しますと、「an」事業の撤退やPROGRAMMED社に係るのれん減損等の特別損失計上を行なったことによる減益となっています。

2点目のポイントは、前期より準備していたパーソルグループ中期経営計画に関してです。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、事業計画や事業環境等を見直す必要が生じました。したがって、本日予定していた発表については、延期することとしました。また、2021年3月期の通期予想、および配当予想についても、未定とします。COVID-19の収束状況次第になりますが、8月の第1四半期決算の決算発表の際に開示する予定です。

最後のポイントは、中期の経営方針についてです。当社が掲げるグループビジョンの実現に向けて、新たな事業運営体制や経営体制、ガバナンス体制の強化等については、すでに具体的に動き出しています。こちらの内容についても、後ほど水田よりご説明します。

連結決算概要

それではまず、2020年3月期決算実績の概況をご説明します。最初に、損益の状況です。当期は、非常に変動要素の多い1年でした。米中の貿易摩擦のインパクト、そして下期からは、景気の鈍化傾向に加え、新型コロナウイルスの拡大の影響を受け、全体としては大変厳しい事業環境だったと考えています。

このような状況下ですが、売上高に関しては、主力事業である派遣事業が堅調に推移したことにより、増収という結果になりました。一方で、営業利益に関しては、リクルーティングセグメントにおける「an」事業の撤退に伴うコスト増や、海外の2つの事業の低迷により、減益という結果になりました。また、PROGRAMMED社ののれん減損や「an」事業の撤退に伴う事業再編等の特別損失を計上したことにより、当期純利益は前期比で大幅減益という結果になりました。

主要セグメント別業績概要

続いて、セグメント別に業績内容をご説明します。まず、当社の主力事業の派遣・BPOセグメントについては、主要なKPIとなる稼働者数が順調に伸びていったことや、BPO事業等における受託案件が順調に積み上がったことにより、増収増益の結果となっています。

リクルーティングセグメントについては、景気減速の影響を受けたことに加え、パート・アルバイト向けの求人メディア事業である「an」の事業終了に伴う人員再配置等の内部要因により、減収減益の結果となりました。

ITOセグメントについては、大手企業や公共機関向けの受託請負が堅調に推移したこと等により、増収となりました。一方で、エンジニアの維持等の目的の下に行なっている報酬改定等に伴い、人件費を政策的に増加させたことにより、営業利益はおおむね前期並みの結果となりました。

エンジニアリングセグメントについては、年間を通じて、やはり製造業を中心とする米中貿易摩擦で厳しい環境下でしたが、当セグメントにおける営業努力等により、前期並みの売上を維持することができています。

最後に、当期において大きな課題となった海外事業です。PROGRAMMEDセグメントにおいては、Maintenance事業は極めて堅調に推移したものの、景気の影響を受けやすいStaffing事業は低迷している状況が続き、オーストラリアドル安の影響もあり、減収減益という結果になりました。

PERSOLKELLYセグメントは、オーストラリアを除き、おおむね増収となりましたが、オーストラリア・ニュージーランド地域におけるシステムトラブル関連コストを計上したことにより、減益となっています。

連結貸借対照表

連結の貸借対照表について、概況をご報告します。当期末の現金および現金同等物に関しては、今後の不透明な経済環境・事業環境に備える意味合いで、2020年3月期末に200億円の銀行借入を実施しました。足元の資金需要に対応できるよう、また、即時、事業サイドに適切に資金が投下できるよう、手元流動性の引き上げを行ないました。

のれんの残高については、第2四半期決算にPROGRAMMEDセグメントにおいてのれんを減損計上したことで減少しています。また、昨年8月から12月にかけて、累計で約50億円の自己株取得を行った結果、純資産は前期に比べ減少しています。

連結キャッシュ・フロー計算書

続いて、キャッシュ・フローについてご報告します。当期純利益が前期に比べ大幅に減少したことにより、営業キャッシュ・フローが減少し、フリーキャッシュ・フローも前期比で減少しています。

財務キャッシュ・フローについては、先ほど申し上げたとおり、期末に200億円の銀行借入を実施したことにより増加し、期末現金残は約780億円の水準となっています。今後も、事業投資や株主還元を継続できる財務体制を維持していきます。以上、2020年3月期決算概要としてご説明申し上げました。

新中期経営計画の発表について

水田正道氏:水田でございます。いつも大変お世話になっており、誠にありがとうございます。また、本日はみなさま大変お忙しい折、ご参加いただきまして心より感謝申し上げます。それでは私から、中長期経営方針・事業運営体制に加え、新型コロナウイルスの影響とともに、2021年3月期の業績予想についてご説明します。

本来であれば、本日、2021年3月期を初年度とする新たな中期経営計画を発表する予定でしたが、先ほど関よりご説明したとおり、新型コロナウイルスの影響により、現在計画を見直しています。各事業の戦略および財務戦略等は、新型コロナウイルスの状況次第になりますが、8月の第1四半期決算発表の際に開示する予定です。

一方で、新型コロナウイルスの影響は、短期的には非常に甚大ですが、中長期的に見て、我々の社会・顧客に対する提供価値は何一つ変わらないと思っています。我々パーソルが2030年に実現したい世界をまずご説明したいと思います。

2030年 世界の“はたらく” の変化

我々が描いている働き方の変化というものは2点あります。1点目が、やはり人生100年の時代と言われるように、寿命が延びると同時に、“はたらく”期間がこれからますます伸びていきます。2点目が、あらゆる産業におけるテクノロジーの進歩によって、働き方、あるいは産業構造そのものが変わっていくと描いています。

特に新型コロナウイルスの影響で、2点大きく変わっています。1つが、従来型の終身雇用や年功序列、一括採用が支えていたメンバーシップ型の採用から、ジョブ型に変化していくと思います。従来の雇用慣行は、新型コロナウイルスの影響で、なし崩し的に衰退していくと思います。

もう1つがテレワークの定着です。従来の雇用というものは、職種・時間・勤務地が無限定というのが基本でしたが、テレワークは時間・勤務地というものが限定的になります。これによって、以前から我々が主張させていただいていたように、正規・非正規の垣根が本当になくなると考えています。

メンバーシップ型からジョブ型への変化や、テレワークの定着によって、今後、雇用のミスマッチが急激に拡大し、いままで覆い隠されていた雇用のミスマッチが顕在化してくると我々は考えています。ミスマッチを極小化し、適材適所を実現することが、我々にとっても社会にとっても、非常に大きな急務のテーマだと思います。多様性のある働き方の実現というものが、我々の社会的な使命だと思います。

今後、新型コロナウイルスの状況により、失業率の上昇が予想される状態です。我々のようなビジネスを行なっていますと、不安に思う方からの問い合せが日々増加しています。この状況に真摯に向き合い、不安に思っている方々に少しでも安心して働いていただけるようにすることが、我々の使命だと思っています。社会からの期待にしっかりと応えていくことで社会のお役に立っていくという我々の覚悟を、ここで皆さまに示したいと思います。

パーソルが目指す世界 グループビジョン

我々の目指すグループビジョンは、「はたらいて、笑おう。」です。1人でも多くの方々に、これを体現していただくためには、「自分のはたらくは、自分で決める。」ということではないかというのが、我々の出した答えです。

有り体に言いますと、「やらされ感がない働き方」「納得した働き方」ということがなければ、おそらく「はたらいて、笑おう。」ということを実感していただけないと思います。

一人ひとりの状況に応じて、また、一人ひとりの価値感に合わせて、さまざまな機会を提供し、そのさまざまな機会を提供することによって、自分の可能性というものに気付いていただきたいと思っています。

価値創造ストーリー

価値創造ストーリーです。今後、我々は新しい働き方、雇用のあり方をどんどん提案し、個人が安心してワーク・エンゲージメントを向上させることによって、「はたらいて、笑おう。」を実現していきたいと考えています。

パーソルの強み 価値創造の源泉

我々の強みです。我々の経営理念や行動指針を土台に、まず人的資本です。我々パーソルグループは、はたらく個人に誠実に向き合って、寄り添っていくという企業風土・文化ができあがっています。また、社会・関係資本として、多数のお取引先にいろいろと支持していただいています。

知的資本としては、個人・企業の豊富な情報は我々の貴重な財産になります。今後、これを活用していかなければいけないと思います。そして、財務資本です。健全な財務が基盤として根付いています。これらを武器にしてビジョンを実現し、社会的な価値、経済価値を向上する次第です。

グループ重点戦略

我々の重点戦略は3つあります。1つ目が「“個人”にフォーカスする」、2つ目が「テクノロジーを武器にする」、3つ目が「世界で価値を提供する」です。世界と言っても、当面はAPACを中心に展開していきたいと思っています。

我々は人材派遣やBPO、紹介等さまざまな事業を行なっていますので、まずはこの事業を徹底的に磨いていきたいと思います。その中で、特に重要な磨き方は「人が介在する価値とは一体何なのか」「一人ひとりに寄り添うということはどういうことなのか」ということで、これらに対して真摯に向き合っていきます。

そして、テクノロジーこれを駆使することにより、人々の職域、領域というものをどんどん拡大し、新たな機会をつくっていきたいと思います。また、これからはキャリアチェンジ、ジョブチェンジが活発に起こると思いますが、その際には、当然、教育が必要になってきます。

我々が持っている事業、テクノロジー、教育、それぞれだけでは、我々のビジョンはなかなか達成できないと思います。この3要素を掛け合わせ、結合させることによって初めて、我々の描いている「はたらいて、笑おう。」が実現できると、私は信じています。

パーソルが目指す社会的価値・経済的価値

我々が目指す社会的価値・経済的価値です。くどいようですが、この我々のビジョンを実現するために、骨太のKPIを設定してモニタリングをしていきます。経済価値は当然ですが、我々の社会的価値とは何かということをKPIにしっかり落として、この2つを両立させていきます。

パーソルが達成に貢献するSDGsとサステナビリティ方針

また、「はたらいて、笑おう。」を実現する過程で、SDGsの4番目の「質の高い教育をみんなに」、5番目の「ジェンダー平等を実現しよう」、8番目の「働きがいも経済成長も」、9番目の「産業と技術革新の基盤をつくろう」、そして10番目の「人や国の不平等をなくそう」の5つをしっかりと達成することによって、持続性のある経済を実現するとともに、より社会のお役に立っていきたいと考えています。

事業体制の変更

続いて、新たな事業運営体制についてご報告します。事業体制を大きく変更します。意思決定を迅速化し、ガバナンスを両立させるために、私を支える副社長を2名とします。事業に関しては和田、機能に関しては高橋が統括します。

SBU(Strategic Business Unit)体制への移行

新たにセグメント体制からSBU体制に移行します。従来の派遣・BPOはStaffing SBUに、人材紹介媒体のリクルーティングはCareer SBUに、そして、ITO、エンジニアリング、ならびに派遣・BPOに所属していたIT・機電領域の派遣はProfessional Outsourcing SBUとして1つの塊にしました。

また、その他というセグメントをあらため、Solution SBUという新たな事業ユニットにしていきたいと思います。そして、いままで2つに分かれていたPROGRAMMEDとPERSOLKELLYを1つのAsia Pacific SBUとし、5つのSBU体制にしていきたいと思います。

先ほど申し上げたとおり、我々の重点戦略は個人にフォーカスすることです。今回、派遣・BPOから切り離し、新たなProfessional Outsourcing SBUを作った一番の背景は、雇用関係に関わらず、エンジニア、専門職を育成していくため、そして機会を最大化していくために、現行より新たなSBU体制が適切であるという判断です。そして、海外に関しては1つに統合することによって、より効率化を進めていきたいと考えています。

グループガバナンスの強化

続いて、グループガバナンスの強化です。3点あります。今後、取締役会のモニタリング機能の強化を図っていきます。併せて、独立社外取締役の比率を3分の1から原則2分の1に引き上げていきたいと思います。

HMCの設置は、旧来の経営会議を新たな会議体に変更します。いままでの人数が多いこともありましたので、人数を絞って、しっかりと議論を戦わせていきたいと思います。

そして、新たに投資委員会を設置し、特にM&Aをするときに、しっかりとした外部の方の知見を入れていきたいと思います。また、人事委員会、リスクマネジメント委員会を入れることによって、しっかりとガバナンスの強化にあたりたいと思います。

私は、ガバナンスの基本は2つあると思います。1つ目に、独断専行をなくし、しっかりと相互の形成を生かせるということ。2つ目に、我々の社内の常識ではなくて、外部の厳しい目にさらされることによって、我々自身が常に緊張感を持って経営にあたっていきたいと思います。

Staffing SBU

続いて、各SBUの概況についてご報告します。まずはStaffing SBUです。こちらは、いままでの派遣・BPOが中心となる事業です。

1つ目が、同一労働同一賃金法制化への対応です。当初、同一労働同一賃金が施行されたときには、例えば、交通費の支給は我々が全額を負担することになるのか等、困ったこともありましたが、結果的にはお客さまのご理解をいただき、全額ご負担していただけることになりました。これにより、スタッフの待遇が改善したということは、我々にとって大変喜ばしいことだと思います。

2つ目に、BPO事業です。こちらは、実はもともとはリーマンショックのあとに新しくつくった事業です。当時は非常に厳しい状況でした。それまで我々は派遣というフロービジネスが中心で、なかなかストック型のビジネスには着手していませんでしたが、リーマンショックを受けて、そうは言ってられないということで、結果的にストックビジネスを始め、いまでは非常に大きな事業になっています。昨年も非常に高成長でしたが、今年も去年以上の成長が見込まれています。

Career SBU

続いて、Career SBUです。こちらは、人材紹介・転職等の媒体等を運営しています。昨年はやはり「an」の廃止に伴う影響が非常に大きかったです。一方、いまは新型コロナウイルスの影響で非常に受注が減っています。

ただ、このビジネスは、新型コロナウイルス収束後に回復することは間違いないと思います。足元のコスト削減を進めるということは当然ですが、収束後すぐにでも動けるような体制を維持していきたいと考えています。

Professional Outsourcing SBU

続いて、Professional Outsourcing SBUです。我々の事業の第3の柱にしていきたいと思っています。実は、規模であれば業界トップクラスで、売上高1,000億円を超える事業です。

これからの成長が有望なマーケットがありますので、しっかりと取り組んでいきたいと思います。現在は非常に厳しい状況ですが、IT系に関しては、いまなお需要が非常に活発に動いています。

Solution SBU

Solution SBUの主な事業は、非対面型の紹介「ミイダス」、飲食店向けの「POS+」、そして「シェアフル」です。この3つが、我々のソリューション事業の大きな柱です。全体から見ると、まだまだ小粒の事業ばかりですが、将来有望です。先ほど申し上げたように、これからテクノロジーを我々自身が駆使するために、非常に苦しい思いですが、この新規事業への投資というものは継続していきたいと思います。

また、新たに社内外からいろいろな新規事業の提案を受けて事業化していくことも、従来以上に積極的に取り組んでいきたいと思っています。

Asia Pacific SBU

そして、Asia Pacific SBUです。PROGRAMMEDが持つ安定的な事業と高い認知度、PERSOLKELLYの外資として最大の展開地域数を合わせることによって事業のシナジー効果を発揮し、収益性を改善していきます。

また、PROGRAMMEDについては、昨年10月に経営陣を刷新しており、Staffing SBUの事業を早期に立て直していきたいと思います。さらに、業務効率の観点から、PROGRAMMEDとPERSOLKELLYのバックオフィスを統合し、引き続き、営業基盤・経営基盤を強化することに注力していきます。

2021年3月期業績予想

2021年3月期の業績予想および新型コロナウイルスの影響についてご報告します。2021年度3月期の業績については、現時点では新型コロナウイルス感染拡大の程度や範囲、実体経済の影響や回復の時期を合理的に想定することはできません。したがって、通期予想は未定とします。

また、2021年3月期の当期純利益についても、現時点では雇用調整助成金の受領状況や、今期の連結納税制度の影響を見通すことが困難なため、配当予想も未定とします。

なお、現時点での参考として、2021年3月期第1四半期の予想に関しては、レンジ形式で開示します。今後、8月の第1四半期決算発表時に、中期経営計画とともに今期の業績予想および配当予想発表をする予定ではありますが、今後の状況により、発表がさらに遅れることもご理解いただきたいと思います。

今期の事業運営方針

今期の事業方針です。3つあります。1つ目が、事業環境に応じたリーンな運営体制の確立です。コスト削減はあたりまえですが、業務のあり方自体を見直し、より効率性を追求していきたいと思います。

2つ目に、中長期のための投資を継続していきます。特にテクノロジーに対する投資は、非常に厳しい状況であることを重々理解していますが、継続します。

3つ目に、財務の安全性を確保していきます。現時点でも、現預金は約780億円を保有しています。多少のことがあっても、財務基盤が非常に安定していますので、そこはみなさまにご安心いただければと思います。

COVID-19の影響について(国内事業)

新型コロナウイルスが我々の事業に与える影響です。現在、緊急事態宣言が発令したにも関わらず、実は数多くの我々の派遣社員の方にエッセンシャルワーカーとして就業していただいています。この場を借りて心から感謝するとともに、我々も感染の抑制に全力を尽くしていきたいと思っています。

足元の受注状況は、例えば、食品等の日常生活に必要なものは相変わらず堅調ですが、自動車を筆頭にしたメーカーの動きは非常に鈍いものがあります。その中で、顧客の間でもかなりテレワークが浸透していますので、いまは受け入れる体制ではないということで、受注が延期されているケースも出てきています。

一方、これから新型コロナウイルスを見据えた結果、需要自体がなくなってしまうのかという、この2つがあります。現在は、我々も見極めている最中です。受注が減った要因は、単純になくなったということもありますが、受注そのものが先に伸びているというものも結構な数があります。

2点目に、登録者が非常に増加しています。不安な思いをされている方が激増しているという状況を鑑み、いつでも事業がフル回転できるように準備を進めています。それと同時に、新たな事業活動を模索したいと思います。これからは、当然、例えば非対面的な面談であったり、営業といったものをしっかりと構築していかなければいけないと思います。

人が寄り添うアナログ的な世界、そして、デジタルを使いこなす非対面型の両方が必要だと思います。この両方を、最高のサービスレベルに仕上げていかなければいけないと思います。

3点目に、未雇用の方々がたくさん増えています。この方々の仕事を、とにかく全力で確保するということが、必要性に迫られています。先ほど、BPOでは前期以上の成長が見込めるということをお話ししましたが、官公庁の仕事が非常に旺盛です。いま、こちらの受託を取りに行っていますので、かなりの雇用が今後確保できる見通しです。

いま我々は、雇用の機会の維持に全力を尽くして、安心していただきたいと思います。今後いろいろと派遣の終了等が増えてくると思いますが、それにあたっても最大限、配慮していかなければいけないと思っています。雇用の維持に全力を尽くすということは、我々に課せられた社会的な大きな価値だと思います。一方では、経済的な価値をしっかりとおき、「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということわざがあるかと思いますが、しっかりとこの2つを両立させていく覚悟です。

続いて、各事業に対する影響です。Staffing SBUは、4月、5月までの月初稼働者数は比較的順調に推移しています。今後、この緊急事態宣言、そしてその後の自粛というものは、なかなかすぐには元に戻らないというのが、全国民的な共通の感覚だと思います。

今後、特に今年6月に契約満了を迎える派遣社員の方がたくさんいます。なぜかと言いますと、同一労働同一賃金が4月から新たに始まりましたので、この4月にすべての契約をいったん切り直しています。3ヶ月、あるいは半年契約が主体ですので、結果的に6月にずれ込んでいます。6月に契約を満了を迎える方がたくさんいますので、先ほど述べたように、我々としてもこの方々の雇用維持に全力を尽くしていきたいと思います。

Career SBUでは、現在、基本としてはオンデマンド等による非対面の面接を行なっています。受注はずいぶん厳しくなっていますが、先ほど申したように堅調な案件が多くありますので、そこはしっかりと動いています。

Professional Outsourcing SBUでは、やはりStaffing SBUと同じように、6月末の契約更新を大量に迎えます。こちらも、この方々の雇用を全力で維持していきたいと思います。

最後に、Solution SBUです。クラウドPOS事業は、飲食店が中心の事業ですが、飲食店は、新型コロナウイルスにより甚大な影響を受けており、顧客数が減少しています。そして、転職アプリ「ミイダス」についても、主要な顧客が中小のお客さまですので、新型コロナウイルスの影響を大きく受けています。

ただ、繰り返しになりますが、我々の事業というのは、新型コロナウイルスが収束したあと、必ず需要が戻ってくるということが間違いないと思っていますので、そうなったときにしっかりと対応できる準備を進めていきたいと思います。

COVID-19の影響について(海外事業)

続いて、海外事業です。海外については、いろいろな国で事業展開をしていますので、各国の対応の違いにより、状況が大きく異なります。

シンガポール・マレーシア・香港での人材派遣事業はほぼ在宅で行なわれており、全般的に安定しています。一方、中国は、平常に徐々に戻りつつありますが、主力の人材事業がなかなかもとに戻ってはいません。

そして、オーストリア・ニュージラーンドは一部ロックダウンがありましたが、解除になりましたので、今後、徐々にまたマーケットが正常に戻っていくとは思われます。

人材業界の中長期的役割

人材業界の中長期的役割です。やはり、働き方が大きく変化していきます。その中で、我々の社会的使命がますます大きくなっているということを実感しています。我々パーソルグループが本当にお役に立てるような場面が、これからどんどん増加していくということは、間違いない事実だと思います。

新型コロナウイルスの影響を受け、大変厳しい状況ではありますが、我々はこれを必ずやチャンスに変えて、新たな働き方をどんどん世の中に提案することによって、1人でも多くの方に、安心して働いていただき、新たな自分の気付きといったものを増やしていただき、そして「はたらいて、笑おう。」を実感していく方々が1人でも増えればいいと願って止みません。私からのご説明は以上です。ご清聴、誠にありがとうございました。

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