今後の収支、どうなるか

消費支出の回復には、COVID-19の感染者数が大きく関わってきますが、収入の影響ももちろんあるでしょう。総務省の「家計調査」では、特別定額給付金の支給が少しずつ開始されている影響か、実収入はプラスとなっていました。ただ、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」だと、その賃金(一人平均)は、同2.1%減の26万9,341円でした。パートタイム労働者の賃金においては、9万2,929円と同4.1%減です。

産業別にも偏りがあります。「毎月勤労統計調査」の現金給与総額をみてみると、飲食サービス業等は同9.5%減の10万8,946円。一方、電気・ガス業は同5.9%増の47万5,753円です。そもそも両産業の賃金差は大きいのですが、コロナ禍でさらにその差は拡大しているといえるでしょう。

先行き不透明ですから、どの家庭でも財布の紐は固そうです。そうなると多くの人が貯蓄に励んでいくのでしょうか。20~30代の投資デビューが増えているといいます。持っている人はどんどん貯え、持っていない人はどんどん減っていくのか。私たちの生活がどのように変わっていくのか。続けて注視していきたいと思います。

参考

「家計調査(二人以上の世帯)2020年(令和2年)5月分」総務省統計局
「毎月勤労統計調査 令和2年5月分結果速報」厚生労働省
「労働力調査(基本集計)2020年(令和2年)5月分結果」総務省統計局

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

尾藤 ちよ子