兼松、通期は減収減益 食料事業のペット関連取引や水産飼料取引等の不調による苦戦が大きく影響

2020年5月8日に行なわれた、兼松株式会社2020年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:兼松株式会社 代表取締役社長 谷川薫 氏

1-1.2020年3月期 決算概要(P/L)

谷川薫氏:兼松社長の谷川です。決算説明動画をご覧いただき、ありがとうございます。まず初めに、このたびの新型コロナウイルスに罹患されたみなさまと、感染拡大により生活に影響を受けておられるみなさまに、心よりお見舞いします。また、医療従事者をはじめ、行政のみなさま、感染防止にご尽力されているみなさまに感謝します。

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それでは、これより兼松株式会社2020年3月期決算について、説明資料に沿ってご説明します。まず初めに、2020年3月期の決算概要についてご説明します。2020年3月期実績については、収益は食料と車両・航空セグメントで増収となりましたが、電子・デバイス、鉄鋼・素材・プラントセグメントで減収となりました。全体では前期比20億円減少の7,218億円となりました。売上総利益は9億円増加の1,109億円。営業活動にかかる利益は20億円減少の284億円となりました。税引前利益は22億円減少の269億円となりました。当期利益は22億円減少の144億円となりました。

1-2.2020年3月期 決算概要(セグメント営業利益)

次に、セグメント別の営業活動に係る利益についてご説明します。電子・デバイスセグメントは、ICTソリューション事業がサーバー、ストレージに加え、仮想化やセキュリティ分野におけるIT投資需要を受け、好調に推移しました。また、モバイル事業も、店舗運営の効率化や法人向けビジネスの増加等により、順調に推移しました。一方、半導体・液晶製造装置事業では、中国での新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、全体では前期比4億円増加の190億円となりました。

食料セグメントは、畜産事業は、世界的に需給バランスが不安定となり相場変動があったものの、堅調に推移しました。一方、食料事業のペット関連取引や水産飼料取引等の不調による苦戦が大きく、全体では前期比16億円減少の24億円となりました。

鉄鋼・素材・プラントセグメントは、エネルギー事業は国内取引を中心に順調に推移しました。一方、油井管事業は、原油価格低迷の影響を受けスローダウンし、工作機械・産業機械事業も、中国や米国を中心とした海外取引が低迷しました。また、プラントインフラ事業も中東向けが停止したことなどから、全体では前期比6億円減少の38億円となりました。

車両・航空セグメントは、航空機部品取引が堅調に推移しました。車両・車載部品事業も全般的には堅調でしたが、中東向け取引が停止したことにより、全体では前期比2億円減少の24億円となりました。

1-3.2020年3月期 決算概要(セグメント当期利益)

次に、セグメント別の当期利益です。ご覧のとおり、電子・デバイスが93億円、食料が13億円、鉄鋼・素材・プラントが23億円、車両・航空が17億円となりました。

1-4.2020年3月期 決算概要(財務状況)

次に、財務状況についてポイントをご説明します。総資産は、有形固定資産の増加などにより前期末比22億円増加し、5,517億円となっています。自己資本は円高・株安の影響もあり、その他の資本構成要素が減少しましたが、利益剰余金の積み上げなどにより、56億円増加の1,308億円となりました。この結果、自己資本比率については23.7パーセントに改善。ネットDERは0.4倍の水準を維持しています。ROEについては11.2パーセントとなりました。

1-5.2020年3月期 決算概要(セグメントROIC)

次に、セグメント別のROICです。ROICについては、今回から開示させていただくこととしました。当社では、連結ベースのROEを13パーセントから15パーセントとすることを目標としており、その達成のための指標として、ROICを7パーセントと設定しています。業界やビジネスモデルの違いによりばらつきはありますが、ROICをセグメントで管理することにより、当社グループ全体のROEの改善を目指したいと考えています。

2-1.2021年3月期 見通し

続いて、2021年3月期の見通しについてご説明します。

今期については、全世界的な新型コロナウイルス感染拡大により、経済活動再開までに時間を要することなどもあり、大変厳しい環境を想定しています。現在の状況が今年の6月まで継続すると仮定して見通しを策定し、収益は7,000億円、営業活動利益は270億円、税引前利益は260億円、当期利益は145億円としました。先行きが不透明な難しい環境ではありますが、前期実績の水準を維持すべく、取り組んでいきたいと考えています。

2-2.2021年3月期 見通し(セグメント営業利益)

セグメント別の営業利益見通しについてご説明します。電子・デバイスセグメントは新型コロナウイルスの影響により、企業活動の停滞など不透明な状況ではありますが、経済活動再開後の回復などを期待し、横ばいの186億円としています。

食料セグメントは、前期のペット関連取引や水産飼料取引における減益要因が解消され、12億円増加の36億円としています。新型コロナウイルスの影響により内食が好調の一方、外食が悪化という需要の大きな変化が起きており、変化を見極めながら体勢を整え、安定供給に努めていきます。

鉄鋼・素材・プラントセグメントは工作機械・産業機械が、長引く米中貿易摩擦に加え、新型コロナウイルスの影響を受けて、また、油井管事業も、原油価格低迷の影響などにより苦戦が続くと見ており、20億円減少の18億円としています。

車両・航空セグメントは、新型コロナウイルスによる全世界的な自動車需要の減退もあり、二輪・四輪部品輸出への影響が想定されることから、2億円減少の22億円としています。

2-3.2021年3月期 見通し(セグメント当期利益)

セグメント別の当期利益については、営業利益見通しに伴い、電子・デバイスは90億円、食料は19億円、鉄鋼・素材・プラントは14億円、車両・航空は15億円を見通しとしています。その他については、インドネシアの物流事業での増益や税金負担の軽減などを見込み、7億円としています。

2-4.2021年3月期 見通し(当期利益, ROE, ROIC)

こちらは、当期利益・ROE・ROICの推移を示したグラフです。2020年3月期は当期利益の減少により、ROICが5.3パーセントとなり、ROEも11.2パーセントにとどまりましたが、引き続き事業のスクラップ&ビルドなどを通じて、資本の効率性を追求していきたいと考えています。

2-5.2021年3月期 見通し(配当方針)

次に、株主還元についてご説明します。当社グループでは長期ビジョン「future 135」において、総還元性向を25パーセントから30パーセントの範囲とすることを目標としています。

2020年3月期の期末配当については、期初公表予想どおり30円とさせていただく予定です。中間配当は30円を実施しましたので、年間配当金は1株当たり60円となります。配当性向は34.8パーセントとなる予定です。また、2021年3月期の配当見通しについては、継続的かつ安定的な配当を実施するという方針に基づき、年間配当は1株当たり60円としています。

3-1 . future 135 の成⾧における収益構造

続きまして、当社の中期ビジョン「future 135」の進捗状況についてご説明します。すでにご案内のとおり、「future 135」は、2024年3月期の当期利益を250億円に伸ばすもので、これを営業利益ベースに置き直しますと、最終年度に営業利益を約450億円まで伸ばすというビジョンです。この営業利益の伸長を、基盤事業の成長により半分、新規投資事業による規模の拡大および付加価値の向上により、残り半分を達成しようとするものです。

すでにご説明のとおり、2020年3月期は営業活動利益が284億円となり、さらに新型コロナウイルスの影響もありますが、現時点においては、「既存事業の持続的成長と新規事業投資による拡大により営業利益を伸ばし、450億円を目指す」という方針には、変更はありません。

3-2. future 135 新規事業投資の実績(2ヵ年)

新規事業投資については、「future 135」開始から2年で、ご覧の案件を中心に、強みと知見のある分野で新規投資を実行しました。青字で示している部分が、2020年3月期に実施した案件です。

安定収益基盤の拡大型投資としては、ドイツの写真プリンター事業会社への持分法出資、中国・大連における飼料原料製造工場の設立、インドネシアの加工食品製造会社の増資、国内での金属サッシ専門メーカーの買収、アイルランドでの航空機部品事業における中古機体の購入などがあります。

また、付加価値型投資としては、半導体イメージセンサーの後工程の事業譲受、プラントエンジニアリング会社の買収などがあります。さらに、先進技術を軸としたイノベーション投資として、日本におけるデータ取引プラットフォームの開発を踏まえ、データ流通の市場構築・拡大を図るべく、データコンサル事業会社への出資をしました。

実行済みのものを除いた新たな事業投資案件も、現状、ある程度のパイプラインがあり、引き続きチャンスがあれば、成長のための投資を実行していきたいと考えています。

3-3. future 135 バランスシート

投資を実行していく場合の財務状況については、現状、自己資本比率23.7パーセントですが、資源価格のボラティリティの高い投資は実行しない方針であり、リスクアセット倍率は0.3倍台と、財務体質は引き続き強固なポジションにあります。ネットDERも0.4倍と、追加資金の調達余力は十分と認識しています。

これに加え、基盤事業からの年間100億円から200億円の営業キャッシュフローがあり、数百億円単位の大型投資を実行したとしても、健全な財務バランスを維持することができます。ただし、この2年間においての投資実績は約180億円となっています。「future 135」の折り返しとなる3年目、すなわち、今年度の投資の積み上げなどの進捗状況を見て、株主還元など、方針の見直しについて見極めたいと考えています。

今後も引き続き、兼松グループの有する強みや特徴を生かし、環境の変化に対応しながら、お取引さまやパートナーのみなさまとともに、持続的成長を図っていく所存です。以上で、私からのご説明とします。ご清聴ありがとうございました。

記事提供:ログミーファイナンス

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