※B型事業所:障害や難病のある方のうち、年齢や体力などの理由から企業等で雇用契約を結んで働くことが困難な方が、軽作業などの就労訓練を行うことができる福祉サービスを就労継続支援B型という。雇用契約ではないため、賃金ではなく、生産物に対する成果報酬の「工賃」が支払われる。
大竹:恥ずかしながら今まで障害者の雇用状況について何も知りませんでしたが、月額15,000円ですか…。最近、社会起業家が注目を集めていますが、現実的には多くの事業が赤字と聞きます。ビジネスと社会貢献のバランスは難しいと思うんです。
那部さんは、本当にやりたいことや実現したい未来と事業とをどのように均衡させて運営するか、考えは当初からあったんですか?
那部:まず、社会課題の解決はビジネスのタネの宝庫だと思っていますね。数字的な面からお話ししますと全国で約11,000カ所の事業所がありますが、うちの月額10万円という工賃は全国トップクラスです。
そして、日本の胡蝶蘭市場は330億円という規模があります。先程の工賃が月額15,000円というのも変ですし、法定雇用率を守れている企業が半分以下ということもどう考えてもおかしい。B型事業所の雇用率が1%だということも含め、全て社会課題です。
そこで、これらの現実を変え、理想に近づけるために市場の何%を確保すれば良いのか?と考えました。
大竹:どれくらいになったんですか?
那部:市場の30%で、売上としては100億円を目標としました。
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胡蝶蘭の生産も販売もまったく素人だった那部代表が、困難と思われた福祉事業の自立と持続化、そして一般企業でさえ難しい成長を遂げられたのはなぜか。次回は、那部代表が打ち出す驚愕の差別化戦略をお伝えします。
後編:『”どこから買っても同じ”胡蝶蘭ビジネスを差別化できた「障害者雇用・社会貢献」のストーリー』
大竹 啓裕