アズビル、通期の売上高は前年比で減少し計画未達 営業利益は事業収益力強化で3期連続過去最高益

2020年5月20日に行なわれた、アズビル株式会社2020年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:アズビル株式会社 代表取締役会長兼代表取締役社長 執行役員会長兼執行役員社長 曽禰寛純 氏\nアズビル株式会社 執行役員 副社長 山本清博 氏

azbilグループの企業成長に向けた取り組み

曽禰寛純氏:本日はお忙しい中、アズビルの2019年度決算説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。はじめに、このたびの新型コロナウイルス感染症の影響で困難な状況にあるすべてのみなさまに心からお見舞いを申し上げます。私どもも新型コロナウイルス感染症の拡大防止や社員の安全を第一に、医療やインフラ基盤などで社会の維持に求められる商品、サービスの提供にグループをあげて取り組んでいます。

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このような状況のために、本日もWebでの説明会ということで不慣れな点もありますが、しっかりと内容をお伝えできますようにアズビルメンバー一同で進めていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

本日は2019年度の業績の結果、利益還元の考え方、2020年度についてご説明し、併せて今後のアズビルの成長の考え方をお示しします。まず、新しいアズビルの経営体制を曽禰からお話しし、業績結果以降については、2020年度より舵取りをしていきます山本よりご説明します。

まず、アズビルのこれまでの取り組みについて簡単にご説明します。ご覧のように、アズビルは2006年に理念「人を中心としたオートメーション」とそれを表すシンボル「azbil」を策定しました。2006年は私の先代の社長の在任期間ですが、「azbil」というキーワードは、当社が長く続けてきた海外グローバル企業との合弁企業から自分たちで独立したかたちになり、自分たちの足で未来を切り開いていくという転換を進める方向付けであり、強い決意の表れでもありました。

「azbil」という名称の制定直後より新たな発想で事業や構造の改革を進め、5年後、私が社長に就任する年に社名も「アズビル株式会社」に変更しました。以来、スライドにありますように、新たなazbilグループとして3つの基本方針をもとに進めてきました。

また、おかげさまで、株主のみなさま、お客さまにもご理解、ご支援をいただき、グループをあげて7年間2ステップの経営計画を進め、長期目標である「人を中心に据え、人と技術が協創するオートメーション世界の実現」という考えに向けて、着実な取り組みを進めてきました。

新たな成長に向けて

私ども企業を取り巻く環境変化はますます加速しています。またご存じのように、技術も大きな変革点にあると考えています。同じく、持続的な発展に対応する社会構造の変化も今後進んでいくと考えています。

私どもはこれまでの基盤をもとにこの3つの変化の時期、変化が起きる潮目に新たな成長を進めたいと考えてきました。さらに、このたびの新型コロナウイルスは社会、事業環境に大きな変化をもたらすと考えていますが、人の変容、事業の変容を加速するために、オートメーションが果たすべき役割はますます拡大していきます。

山本清博新社長は、人を中心としたオートメーションを深く理解し、技術的な素養を持ち、かつ国内、海外での新たな事業を立ち上げ、それを育てることに使命を持ち、実力もある人材です。経営計画の策定、展開の腕前も確かですので、新たなazbilの将来をつくっていくことを確信しています。

発表のポイント

山本清博氏:ここからは山本よりご説明します。あらためまして、アズビル株式会社2019年度決算説明会にご参加いただきまして誠にありがとうございます。2020年度より当社曽禰よりバトンを受け取り、azbilグループの経営を推進させていただくことになりました。新型コロナウイルス感染の影響はまだまだ不透明な状態ではありますが、今後ウイルスとの共生時代に向けて、azbilのコア・コンピタンスであるオートメーション技術とサービス、エンジニアリング力が果たす役割はますます大きくなるものと確信しています。

私の役割は、これまで構築した事業、財務の基盤を起点に現状の不透明な時代を乗り越え、azbilの持続的な成長と株主さまをはじめとしたステークホルダーのみなさまへの価値提供を継続的に実現することであります。どうぞよろしくお願いいたします。

本日は次の3点についてご説明します。まず前2期中期経営計画の振り返りと2019年度の業績結果ですが、事業収益力の強化の推進、財務体質強化等を進め、各事業での収益力強化が進み、営業利益は3期連続で過去最高益を更新しました。

2019年度配当については計画どおり進み、過去最高の配当金額である年間1株当たり50円を実施します。2020年度については、年間を通じての事業環境が不透明な状況であるため、業績計画は現時点では公表を控えます。株主還元としては、当社の基本方針を大切にし、現時点での事業環境を踏まえ、2020年度の配当について2019年度の配当額と同じ水準を維持します。また、新型コロナウイルスへの対策を迅速に実施し、成長へとつなげていきます。

持続的な成長に向けた取り組みについては、新型コロナウイルス感染終息後の社会構造の変化に対応した取り組みで、SDGsの目標達成も見据えた持続的な成長を目指していきます。

経営成績

9ページをご覧ください。まず全社の経営成績をご報告します。受注高はLA事業で増加しましたが、AA事業が製造装置市場で低調に推移したことから、全体では前年度比2.3パーセントの減少となりました。

売上高はBA事業で増加した一方、AA事業において市況低迷の影響から前年度比で減少し、計画も未達となりました。営業利益は全社での事業収益力強化施策の効果等により利益率が改善し、前年度比で増加、計画値を越える実績となりました。なお、新型コロナウイルス感染拡大により第4四半期以降の景況感は悪化したものの、業績への影響は限定的です。

中期経営計画では、2016年度比で売上高が1.8パーセント増加し、営業利益は各事業において収益力強化が進んだため5.3パーセント増加の272億円であり、過去最高益を更新しました。ROEは8.3パーセントから10.9パーセントへと伸長させることができました。

営業外・特別損益・法人税等

次に営業外損益等についてご説明します。営業利益は前年度比で増加しましたが、円高を背景とした為替差損の計上等により前年度と同水準となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、確定給付企業年金制度の会計上の処理による特別損失が減少した影響もあり、前年度比増となっています。

セグメント別事業–BA事業

次にセグメントごとの業績です。ビルディングオートメーション事業においては首都圏における都市再開発等、事業環境は引き続き堅調に推移しました。採算性に考慮しつつ受注の獲得に注力し、併せて施工現場を主体に業務の遂行能力の強化と効率化を推進し、採算性が改善しています。

受注高は、前年度に複数年の大型サービス案件を計上した影響等により、前年度比で減少しました。売上高は、新築大型建物向けの分野が増加し、前年度比増となっています。セグメント利益は、増収および採算性改善の効果を主因に計画を達成しています。

堅調な事業環境を背景に、新設案件、サービス分野が着実に増加しました。採算性改善の取り組みによりセグメント利益も大きく増加し、最高益更新となりました。今後、新しいオフィスの在り方としての感染予防対策など、新しいニーズにも積極的に対応していきたいと考えています。

セグメント別事業–AA事業

次に、アドバンスオートメーション事業の業績です。3つの事業単位を軸に、成長戦略と収益力強化施策を展開しました。国内外での製造装置市場での投資が低迷し、前年度からは減収減益となりますが、引き続き高い利益率を確保することができました。

受注高・売上高は、プロセスオートメーション市場が比較的順調に推移しました。製造装置市場は下期に一部市場において回復は見られましたが、通期では減少となり、アドバンスオートメーション事業全体としても前年度比減少で計画未達となりました。

セグメント利益は、ここ数年取り組んでいる低採算事業の見直しを含めた継続的な収益力強化施策の効果により、引き続き10パーセント超を確保しています。

新製品を含めた競争力のある製品の拡販、成長領域を中心としたソリューション提供や、エンジニアリング/サービスの高付加価値化を実現し、事業を拡大していきます。

セグメント別事業–LA事業

次に、ライフオートメーション事業の業績です。ガス・水道等のライフラインの分野は、法定におけるメータ交換需要を主体として、比較的安定した事業環境となりました。ライフサイエンスエンジニアリング分野、ならびに住宅用全館空調システムの生活関連(ライフ)分野も、安定的な収益の実現へ向けた事業構造改革の取り組みを継続していきます。

受注高は、ライフサイエンス分野の増加により、全体として増加しました。売上高は、ライフサイエンス分野を主因に前年度比で減少しました。セグメント利益は、減収の影響を主因に前年度比で減少し、計画も未達となっています。事業構造改革と利益体質改善の取り組みにより、前中期経営計画期間において着実な利益改善を実現してきました。次

海外エリア別売上高

海外の売上についてご説明します。海外売上高は、製造装置市場の低迷を受けて、アドバンスオートメーション事業のCP事業が前年度より減収となりました。また、前年度受注減少の影響からBA事業とLA事業ともに減収となり、全体では前年度比5.4パーセントの減収となりました。海外事業は1月から12月での集計であり、2019年度の海外業績に関しては新型コロナウイルスの影響は出ていません。

財政状態

財政状態についてはご覧のとおりです。ポイントをお伝えしますと、これまで取り組んできました事業収益力強化の結果、現金および預金の増加等、財務基盤は強化されています。純資産に関して、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、前年度比で22億円増加しました。自己資本比率は改善し、60パーセント台後半となりました。

キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローについても、全体的に良好な状態を維持しています。ポイントとして、収益力強化の結果、営業活動によるキャッシュ・フローが増加しました。財務活動によるキャッシュ・フローでは支出が増加しましたが、現金および現金同等物の期末残高は66億円の増加となっています。

基本方針

株主のみなさまへの利益還元についてご説明します。当社としては、企業価値向上に向けた成長投資等を着実に行ないつつ、安定した株主還元を実施してきました。基本方針としては、「株主還元の充実」「成長に向けた投資」「健全な財務基盤」の3つのバランスに配慮しながら、規律ある資本政策を展開します。配当に関しては、DOEの水準を勘案して決定してきました。

業績推移〜事業の収益力が着実に向上

スライドにあるグラフに示していますように、事業構造・業務構造の変革を進め、事業収益力が大きく向上しています。中長期的な成長を支える事業基盤の整備も進み、事業環境の変化に対応し、持続的な成長を可能とする企業体質強化を推進してきました。

株主還元の推移〜安定した配当の実践

スライドの図は、配当およびDOEの実績を示しています。配当に関しては、図にありますようにリーマンショック後も含めて常に安定した配当の維持とその水準の向上を実践してきました。

2019年度・2020年度 株主還元

ご説明しました株主還元の基本方針、収益力強化の推進、これまでの安定した配当の実績を踏まえ、2019年度の配当については、期初公表どおり1株当たり年間50円とします。また、自己株式の取得については、すでに99億円保持しています。

2020年度に関しては、事業環境は不透明な状況ではありますが、先ほどご説明しました事業収益力ならびに財務体質基盤強化の成果を踏まえ、普通配当1株当たり年間50円、自己株式の取得は現時点では計画せずとします。

2020年度の計画・事業運営について

次に、2020年度の運営についてご説明します。年間を通しての事業環境が不透明であるため、2020年度業績計画は現時点では未定とします。2020年度配当については、年間1株当たり50円維持を計画します。

業績計画に関しては、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、現時点では合理的に算定することが困難であるため未定とし、算定が可能となった時点で公表します。世界的な消費の落ち込みや設備投資の減少、工事の遅延・延期等の影響を調査中です。

事業運営の考え方として、強化してきました収益性・財務基盤を基に、ウイルス感染拡大による変化に迅速に対応し、社会的責任を果たすとともに、業績確保のため経費削減等に取り組み、成長投資を着実に実施し、持続的な成長を目指していきます。

危機管理を徹底しつつ、お客さまの生産設備・建物の重要設備、社会インフラの維持に必要なエンジニアリングやサービス、機器の提供を継続することで、社会的責任の遂行と事業継続を確かなものにしていきます。

新たな社会的課題、ウイルスとの共生時代の変容にも応える3つの事業領域

持続的な成長に向けた取り組みをご紹介します。azbilグループは、グループ理念である「人を中心としたオートメーション」のもと3つの基本方針、すなわち「技術・製品を基盤にソリューション展開で『顧客・社会の長期パートナー』へ」「地域の拡大と質的な転換で『グローバル展開』」「体質強化を継続的に実施できる『学習する企業体』を目指す」を掲げ、新たな社会的課題、ウイルスとの共生時代の変容にも応える3つの事業領域を設定し、取り組みを進めてきました。

冒頭にお伝えしたとおり、私としては今回の事象において弊社の主力事業であるオートメーション事業に求められる役割はますます大きくなると認識しており、3つの事業領域での取り組みを加速することで成長機会へと変えていきます。

事業環境認識と今後を見据えたアズビルの展開方向性

次に、現時点での事業環境認識と今後を見据えた展開の方向性についてご説明します。私としては、これまでに強化した事業収益力と基盤整備の実績を基にさらなる成長を目指していけるものと考えています。

事業環境変化・新たな社会課題として、国内における労働人口減少、働き方の改革による価値観の変化、各種生産設備の維持・インフラの老朽化に対応したメンテナンス、安全確保の重要性の増加、自然災害の多発、気候変動等環境保全への対応の必要性増加に加え、新型コロナウイルスとの共生を前提とした社会・個人の行動変容を課題として捉えています。

これらの課題に対してIoT、クラウドといった技術を最大限に活用し、建物・生産管理の自動化・自律化・省人化の加速、人との協調の進展、BCP対応としての建物・生産設備の柔軟な活用等の方向性で事業拡大を目指します。

3つの事業領域での展開例(1)

いくつかの展開例をご紹介します。まずは商品力強化です。スライドの図にありますように、お客さまの現場での計測機器・制御機器、およびクラウド領域でのシステム・ソリューションの開発力を強化していきます。今回の新型コロナウイルスの対応としての新たな働き方を支援するシステム・ソリューションとリモートでの計測を可能とする新たなセンシングデバイス、各種アクチュエータへのニーズが高まると認識しています。図にありますスマートロボットの開発は現場機器強化の一環となります。

3つの事業領域での展開例(2)

次に、ビッグデータやAIを活用した高度化サービス「スマート保安ソリューション」の事例です。リモート診断サービスなどを通じ、プラントにおける設備老朽化・熟練運転員の退職等によるリスク増大といった課題解決に貢献していきます。

3つの事業領域での展開例(3)

次に、BCP対応としての安全と建物の柔軟な活用を可能とする「病院における圧力制御」の事例です。ビルディングオートメーション事業では、病院やデータセンターなどの高度な設備運用を求められる領域においても製品やサービスを提供しており、今回ご紹介する事例は、病院での圧力を制御することにより医療スタッフの安全を確保するものです。

この制御により、平時には一般病室として使用している部屋を、有事には設備の追加なしで感染症対応の病室に切り替えることを可能とするものです。このことにより、病院経営の効率化に貢献しています。

3つの事業領域での展開例(4)

IoT技術を活用した環境・エネルギー領域でのソリューション強化の事例です。環境・エネルギー課題は長期的には非常に重要な課題であり続けると考えています。当社の製品、ネットワーク環境、30年以上のエネルギーマネジメントの領域でのノウハウに基づく全自動制御システムをベースに、さらにこの領域での商品力を強化します。

3つの事業領域での展開例(5)

社会インフラの「as a Service」は、ガス・水道メータのスマート化によるメータデータクラウドサービスの事例です。無線通信技術を活用した自動検針システムやクラウド技術を活用したデータサービスにより、お客さまのエネルギー管理に貢献していきます。

事業基盤の整備・強化のポイント

以上のような商品力を強化する基盤として、先進的なグローバル生産・調達体制の構築、新オートメーション領域拡大に向けた技術と商品力の強化、海外における事業展開の加速、CSR経営の加速についても継続的に取り組んでいきます。

事業基盤の整備・強化のポイント(組織)

以上のような取り組みを加速させるため、今年4月に3つの組織を新設しています。今後の事業拡大に不可欠であるクラウドベースでの商品を拡大し継続的に提供するため、「ITソリューション推進部」ならびに「クラウド運用センター」の2つを設立しました。また、持続可能な社会に直列につながる貢献を実現するための組織として、「サステイナビリティ推進本部」を設立し、SDGsへの取り組みやCSR活動のさらなる推進を目指します。

azbilグループのCSR経営

CSR経営についても引き続き注力していきます。持続可能な社会の目標達成に向け、企業理念から行動指針・行動基準・経営戦略を直列につなげた事業活動を行ない、さらなる成長を目指していきます。

azbilグループのSDGs目標 事業・企業活動全体での取組み

SDGsへの取り組みとしては、スライドに示します4つの基本目標への取り組みを推進します。

発表のポイント(最後に)

最後に、今回の発表のポイントをまとめます。前2期中期経営計画の振り返りと2019年度の業績結果としては、事業収益力・財務体質の強化を進めてきました。また、収益力強化を推進し、営業利益では過去最高益の更新という結果となりました。2019年度配当については計画どおり年間1株当たり50円を実施とします。

2020年度について、現時点では新型コロナウイルス感染拡大の影響を合理的に算定することが困難であるため未定とし、算定が可能となった時点で公表します。また、株主還元については、当社の基本方針を大切にし、2020年度の配当については2019年度の配当額を維持します。いままで構築した基盤を起点に、現状の不透明な状況を乗り越え、持続的な成長を実現させていきますので、引き続きご指導、ご鞭撻をお願いいたします。ご清聴ありがとうございました。

記事提供:ログミーファイナンス

参考記事

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