西武HD、通期は減収減益 3Qまでは増収基調も4Qはコロナ影響により失速

2020年5月26日に行なわれた、株式会社西武ホールディングス2020年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社西武ホールディングス 代表取締役社長執行役員 後藤高志 氏\n株式会社西武ホールディングス 取締役常務執行役員 高橋薫 氏\n株式会社西武ホールディングス 取締役上席執行役員 経営企画本部長 西井知之 氏

2020年3月期決算説明会

後藤高志氏:まず私から全体観をお話しします。西部グループの2019年度の決算は、2020年1月下旬以降の新型コロナウイルス感染症の影響等により、厳しい結果となりましたが、最終利益は46億円の黒字となり、日頃ご支援いただいている株主のみなさまに対し、2020年3月期期末配当は当初予想どおり15円とすることにしました。

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一方で2020年度も極めて厳しい状況が続くと見込んでおり、業績予想も現時点において合理的な算定が困難であることから、未定としました。

当社グループは、後ほどご説明します事業運営方針に基づき、事業継続に万全を期していきます。新型コロナウイルス感染症の影響は短期間では収束しないことを前提に事業を継続していく必要があると考えています。またコロナ禍による人々の価値変容、行動変容は当社の事業にも大きな影響を与えると考えており、これに対してグループのビジネスモデルを展開させていくべく、社内で議論を積み重ねています。

こうした中、私は以下3点をコロナ禍における指針として、全従業員に徹底しています。1点目は、お客さまならびに従業員といった全ステークホルダーの安全、安心を最優先に確保すること。2点目は、行動変容、価値変容が起こる中で、変化するニーズをお客さま目線で適時的確に把握し、スピード感をもってサービス展開を行なうこと。

3点目は、これらを踏まえた上できれいな利益を生み出すことを徹底的に追求すること。この3点を従業員の行動指針とすることで、このような状況下においてもお客さま、社会に対して「ほほえみと元気」を提供できるよう事業運営を行なっていきます。

また、この難局を率先して乗り越える決意表明として、当社およびグループ会社の取締役は役員報酬カットを決めました。

withコロナ、アフターコロナの社会に向け、当社が得意とする人の移動、物や場所を用意するハード面の強みにプラスして、生活、時間を作り出すソフトも提供できる究極の生活応援企業へと進化することで成長を果たしていきます。

株主・投資家のみなさまには、引き続き当社グループにご支援賜りますようお願い申し上げます。

2020年3月期 決算実績

高橋薫氏:それではご説明します。2ページの2020年3月期の決算実績をご覧ください。まず営業収益は前期比113億円の減収となりました。第3四半期までは、ホテル業の宿泊部門の収益の向上、ハワイ事業の収益向上、鉄道旅客運輸収入の増加などにより増収基調でしたが、第4四半期に新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けたことが要因となっています。2月6日に公表した予想数値に対しても、192億円下回る結果となりました。

営業利益は減収による減益に加えて、減価償却費や販管費の増加により前期比165億円の減益となり、2月6日の公表予想を106億円下回りました。また、固定資産の減損に係る会計基準に基づき将来の回収可能性を検討した結果、一部のゴルフ場やホテルなどの固定資産について約243億円の減損損失を計上しました。

これらの要因により、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比407億円の減益となりました。なお、セグメントごとの主な増減要因については4ページと5ページに記載していますのでご参照ください。

新型コロナウイルス感染拡大の影響

3ページをご覧ください。新型コロナウイルス感染拡大の影響についてです。連結全体で営業収益のマイナス影響が206億円ほどとなりました。また、営業利益へのマイナス影響は153億円ほどありました。とくに、ホテル・レジャー事業において大きな影響を受けています。

都市交通・沿線事業 鉄道業の運輸成績

12ページをご覧ください。鉄道業の運輸成績です。旅客運輸収入は定期、定期外合計で前期比マイナス0.9パーセントとなりました。定期については、新型コロナウイルス感染拡大にともない、定期券の買い控えなどの影響を受けており、前期比0.6パーセントの増加に留まりました。定期外については、外出自粛の影響を大きく受けており、前期比マイナス2.2パーセントとなりました。

ホテル・レジャー事業 営業指標の推移

14ページをご覧ください。ホテル業の営業指標です。宿泊部門全体でRevPARは前期比マイナス6.4パーセント、平均販売室料は前期比プラス1.1パーセント、客室稼働率は前期比から5.8ポイント低下し、71.9パーセントとなりました。第3四半期までは前期比プラス基調で推移していましたが、第4四半期に新型コロナウイルスの感染拡大にともない、需要が大幅に減少した結果、稼働率およびRevPARは前期から低下しました。

ホテル・レジャー事業 インバウンドの動向(宿泊客数・室料収入)

16ページをご覧ください。インバウンドの状況です。新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受け、外国人宿泊客数は前期比マイナス12.9パーセント、外国人客の室料収入はマイナス5.5パーセントとなりました。

ホテル・レジャー事業 MICEの状況

18ページをご覧ください。MICEの状況です。MICE売上高は第3四半期まで前期比プラスで推移していましたが、第4四半期に新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受け、通期のMICE売上高は前期から8.9パーセント減少しました。

営業外・特別損益

25ページをご覧ください。特別損失についてご説明します。2020年3月期において、冒頭にご説明しましたとおり、減損損失を243億円計上したほか、台風により被害を受けたホテルやゴルフ場、スキー場等の設備の復旧に関して発生した費用を、災害による損失として、また今後策定が見込まれる費用を災害損失引当金繰入額として、特別損失に計上しました。

2021年3月期 連結業績予想

31ページをご覧ください。2021年3月期の業績予想についてです。新型コロナウイルスの感染拡大にともなう外出自粛により、鉄道業やバス業において利用客が減少しているほか、ホテルやゴルフ場、レジャー施設において臨時休業を実施しています。

本格的な回復時期が不透明であることを踏まえると、現時点で当社グループの業績に与える影響について合理的な算定を行なうことは困難であることから、2021年3月期の業績予想は未定としています。今後、予想が可能となった段階で速やかに発表します。

当期・次期の配当

33ページをご覧ください。配当についてです。2020年3月期において新型コロナウイルス感染症等による業績への影響があったものの、基本方針および財務戦略に基づき、期末配当金は1株当たり15円とし、中間配当金15円を含む年間配当金30円を予定しています。2021年3月期については、連結業績予想を未定としていることにともない、配当予想も未定としています。私からの説明は以上です。

新中期経営計画策定の見送りおよび現行計画取り下げの背景

西井知之氏:3ページをご覧ください。当社は、2019年5月14日に策定した2019年度を初年度とする現行の中期経営計画を推進するとともに、合わせて2020年度を初年度とする新中期経営計画についても策定を進めていました。

しかしながら、2020年1月下旬以降、新型コロナウイルス感染拡大により、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変わってきており、この先も本格的な回復時期が不透明であることを踏まえ、計画内容を再検証する必要があることから、新中期経営計画の策定を見送るとともに現行計画を取り下げることとしました。そうした中で、今後の対応についてご説明します。

2020年度における事業上の重要事項

5ページをご覧ください。現下のこの難局を乗り越えるため、グループ全体の2020年度における事業上の重要事項として、今年度はスライドに記載の2項目4ポイントを推進します。1つ目、事態収束までは必要最低限の事業運営に特化し、必要運転資金を確保するとともに、お客さまや社会に対し「ほほえみと元気」をご提供できるよう事業運営を行ないます。2つ目の事態収束後に向けた取り組みを推進については、新中期経営計画において重点施策としていた取り組みを可能な限り推進するとともに、この事態収束後の人々の価値観の変化を見据えた構造改革に取り組んでいきます。

①必要運転資金の確保

それぞれのポイントについてご説明します。6ページをご覧ください。まず、ポイントの1つ目は必要運転資金の確保です。足もとで業績が下押しされており、回復時期が不透明な状況下においては事態が長引くことも想定し、必要資金の調達やキャッシュ流出の抑制により、運転資金の確保に万全を期していきます。

現預金と合わせ、本年4月に主力取引金融機関から330億円の借入を行なったほか、コミットメントラインを追加で設定し、総額最大1,500億円に拡大しており、今後も必要に応じて適宜新規借入等の資金調達を行なうことで、手元流動性の充実を図ります。また、不要不急のコストや設備投資を事態収束まで先送りするとともに、固定費を圧縮し、収益構造改善に努めることによってキャッシュ流出を抑制します。

②コロナ禍における西武グループ事業運営方針 1

7ページをご覧ください。次にポイントの2つ目、コロナ禍における西武グループ事業運営方針です。経営理念の原点に立ち返り、事業運営にあたって、お客さまならびに従業員の安全・安心を最優先に確保すること、変化するニーズをお客さま目線で適時的確に把握し、スピード感をもってサービス展開を行なうこと、上記を通じ、積極的に利益を追求すること、という3点を徹底することで、このような事態の中でもお客さま、社会に対して「ほほえみと元気」をご提供できるよう事業運営を行ないます。

②コロナ禍における西武グループ事業運営方針 2

8ページをご覧ください。ここでは、前ページで述べた事業運営方針についてステークホルダーごとに記載しています。緊急事態宣言下においては、一部を除きホテル、ゴルフ場、スキー場やレジャー施設、商業施設は臨時休業し、西武ライオンズや横浜アリーナでのスポーツイベント開催も一時中断していましたが、鉄道、バス、タクシーといった日常を支えるインフラ機能については、消毒、換気など感染予防策を講じながら営業を継続していきました。また取引先との間においても、債権回収時期の調整や賃貸施設における賃料減免などにより、一体となってこの事態を乗り越えていきます。

緊急事態宣言解除後の収束期においては、引き続き感染予防策を徹底しながらも、順次営業を再開し、既存事業領域から優先して収益の回復、拡大を図ります。 その中では、ソーシャルディスタンスを意識しながら、人々の自粛疲れを払拭できるようなサービス展開にスピード感を持って取り組むとともに、取引先とも協働し、新たなビジネスチャンスも模索していきます。

現時点では、2021年3月期の連結業績予想および配当予想を未定としている状況ではありますが、状況変化を踏まえ適時的確な情報開示を行なうとともに、財務体質の早期の回復、改善に取り組んでいきます。従業員に対しては、安全・安心、お客さま目線に加え、きれいな利益を生み出すことを徹底することで、グループ一丸となってこの事態を乗り越えていきます。

③新中期経営計画で想定していた重点施策

10ページをご覧ください。次にポイントの3つ目、新中期経営計画で想定していた重点施策についてです。スライドで青い帯の網掛けで記載した5点は、2020年度から2022年度で策定を進めており、見送ることとした中計の中で想定していた項目です。事態収束までは必要最低限の事業運営に特化するという観点を最優先にしながらも、これらの重点施策を可能な限り推進します。

1つ目、攻めのDX・マーケティング戦略については、グループの複数のサービスをご利用いただくお客さまを増やすため、デジタル活用によりマーケティング力を強化します。2つ目、守りのDXについては、ダイバーシティや働き方改革実現に向けてデジタルを活用し、業務の自動化、標準化、高度化を推進します。3つ目、グループの経営理念であるグループビジョンに基づき、持続可能な社会の実現に向けた取り組み「サステナビリティアクション」を引き続き推進します。

4つ目、事業別ハードルレートの運用により投資のPDCAサイクルを高度化し、 将来の成長を支える複数の投資プロジェクトを計画的に推進します。5つ目、社会の価値観の変容を受け、ビジネスモデルを構築していくため、セグメント変更や新技術活用、外部データ連携などの観点により、グループ内外との連携を図ります。

(参考)報告セグメントの変更

11ページをご覧ください。スポーツ事業の新設をはじめ、2020年度より報告セグメントを変更している旨をご確認ください。

④この事態収束後の人々の価値観の変化を見据えた構造改革

12ページをご覧ください。最後にポイントの4つ目、この事態収束後の人々の価値観の変化を見据えた構造改革についてです。近年、デジタル技術の発達に端を発した社会の変化や世界的な「持続可能な開発(SDGs)」への機運の高まりなどにより、人々の価値観に変化が生じていますが、新型コロナウイルス感染症流行の事態収束後には、リモートワークの浸透や大規模イベントのあり方など、人々の行動や価値観にさらなる変容の可能性があると考えています。

当社グループとしては、このような価値変容を先取りし、この事態収束後の社会を見据えた構造改革を検討することで、これまでもこれからも「最良、最強の生活応援企業グループ」を目指していきます。私からのご説明は以上です。

記事提供:ログミーファイナンス

参考記事

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