「過ぎたるは及ばざるがごとし(過ぎたるは猶及ばざるが如し)」というのは、中国の古典『論語』の言葉で、やり過ぎることは、やり足りないことと同じように良いことではないという意味。つまり「ほどほどに」が大切ということです。

「ほどほどに」が大切なのは育児においても同じですが、今回注目したいのは「親子の距離感」。家族だと距離感が曖昧になったり、考えなくてもいいと思ってしまいがちですが、やはり「ほどほどの」距離感は必要です。特に親子だと、距離感が近すぎるがゆえに起こる問題もあるでしょう。

「やってあげる育児」のリスクと時代の変化

親は子どものお世話や遊び、しつけ、生活習慣、習い事、園や学校関係などほぼ全てのことに関わりますから、どうしても距離が近くなりがちです。距離が近くなる一方で、しばしば「勘違い」を起こしやすいのも、また親子関係です。

その一つが、「子どもに何でもやってあげること」。一昔前は「子どものことは何でもやってあげて、手をかけてあげるのが愛情」という風潮がありました。その世代に育てられた現代の育児世代も、「手をかける=愛情」であると、育児に家事につい頑張り過ぎてしまいます。

3児を育てる筆者も、特に第1子の産後は毎食手作り料理を作り、家をキレイに片付けても「まだ足りない」と思い、疲れてレトルト食品を食べた夜は罪悪感を感じるなど、「これで大丈夫」と安心する日はなかなかありませんでした。

一方、今は子どもと少し距離を置いて、「子どもが自分でやるのを見守る育児」が主流になりつつあります。たとえば2歳の子が靴を履くとき、昔は親が履かせてあげるものでしたが、今はうまくできなくても子ども自身に履いてもらい、段々と自分で履けるようになるのを見守ることが大切という傾向になっています。