2020年5月14日に行なわれた、株式会社ユー・エス・エス2020年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社ユー・エス・エス 代表取締役会長兼最高経営責任者 安藤之弘 氏

2020年3月期 決算のポイント

安藤之弘氏:2020年3月期決算説明をご視聴いただきありがとうございます。CEOを務めています安藤でございます。今回は、新型コロナウイルスの感染症拡大に伴い、機関投資家向けの決算説明会を中止させていただきました。ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

まず冒頭、新型コロナウイルスへの対応についてご報告します。USSグループでは、社員だけでなく、オークション会場へご来場いただく会員のみなさまの健康と安全、そして感染拡大防止を最優先に対応を進めています。

具体的には、3月上旬からご来場いただく会員のみなさまにマスクを配布し、着用の徹底をお願いするとともに、あらゆる場所にアルコール消毒液を設置するなどの感染予防に加え、緊急事態宣言後はできるだけ来場者が密集しないよう、間隔をあけてご利用いただくなど、感染防止策を講じています。

また、社員についても業務中はマスク着用を徹底し、可能な部署は在宅勤務を実施するなどの対策を講じています。今後とも会員のみなさまと社員の健康と安全を最優先にオークション会場の稼働を継続していきます。

それではまず、3ページの決算の説明ポイントからご説明します。ポイントは5つです。まず1つ目、2020年3月期の連結業績についてですが、10月以降の消費税増税による新車販売の不調に加え、3月には新型コロナウイルスの影響もあり、売上高、営業利益とともに97パーセントとなりました。

2つ目は新型コロナウイルス感染症拡大の影響についてです。冒頭にご説明したとおり、オークション会場での対策を講じ、オークションの継続を図っていますが、国内需要だけでなく、海外需要も落ち込んでいます。4月の成約台数は前年比76パーセント、成約率は46.9パーセントまで低下しています。したがって、売れなかった車両の再出品が増加していることもあり、出品台数は前年比96パーセントにとどまっている状況です。

3つ目は株式会社ジェイ・エー・エーののれんの減損です。消費税増税による自動車流通の鈍化に加え、新型コロナウイルスの影響も考慮し、のれんの減損38億6,000万円を特別損失で計上しました。これにより、連結の親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比80パーセントまで減少しました。

このような厳しい状況ですが、4つ目の株主還元についてはすでに公表していますとおり、2020年3月期から連結配当性向55パーセントに引き上げをします。また、合わせて上方修正しました1株当たりの期末配当金29円80銭は、会社として株主のみなさまにお約束をして、計画どおりお支払いします。株式上場以来20期連続の増配を達成しますが、今後もできるだけ連続増配を続けていきたいと考えています。

4つ目、2021年3月期の業績予想ですが、緊急事態宣言が解除されて、ある程度経済活動が正常化することに加え、国内自動車流通市場の動向や、中古車輸出市場の動向についての見通しが見えてきましたら、速やかに開示したいと思います。

2020年3月期 連結業績概要

4ページの連結業績の概要をご説明します。まず、2020年3月期の連結業績について、売上高は前期比97パーセントの781億円、営業利益は前期比97パーセントの360億円、経常利益は前期比96パーセントの367億円、親会社株主に帰属する当期純利益はジェイ・エー・エーの減損を計上したため、前期比80パーセントの206億円となりました。

2020年3月期 営業利益増減分析(実績)

続いて、連結営業利益の増減部分についてご説明します。成約率の低下や中古自動車等買取販売事業の低迷などにより、11億円の減益となりました。

セグメント売上・利益の状況

セグメントごとの売上高、利益についてはご覧のとおりです。

連結貸借対照表・キャッシュ・フロー要約

次に連結貸借対照表ですが、自己資本比率は83パーセントと引き続き財務の安全性を高水準に推移しています。連結キャッシュ・フローの計算書において、営業活動によるキャッシュ・フローは272億円となりました。これは税金等調整前当期純利益が327億円、法人税等の支払いが132億円になったことなどによるものです。

投資活動による支出したキャッシュ・フローは49億円です。これは、ジェイ・エー・エー会場の新築建替などでの有形固定資産の取得による支出が39億円になったことなどによるものです。財務活動による支出したキャッシュ・フローは169億円ですが、これは主に配当金の支払額129億円と、自己株式の取得による支出76億円です。

市場動向(グラフ)

自動車流通市場の動向をご説明します。ご覧のスライドは過去3年間の新車、中古車の登録台数、中古車輸出台数、オートオークション市場の出品、成約台数をグラフ化したものです。グラフは3ヶ月単位ですが、4月から3月の累計を前期と比較してご説明します。

自動車流通市場は、9月まで消費税増税前の駆け込み需要などにより堅調に推移しましたが、10月以降は増税や台風被害による落ち込みが響き、新車登録台数は前期比95パーセントの503万台となりました。中古車登録台数は、前期比99パーセントの692万台となりました。

なお、3月の実績には新型コロナウイルスによる影響はそれほど反映されなかったと見ています。また、中古車需要に大きく影響を受ける中古車輸出台数は、アラブ首長国連邦、ロシア向けが増加したものの、パキスタンやスリランカ向け等が減少したことにより、前期比97パーセントの128万台となりました。

足元では新型コロナウイルスの影響で、中古車輸出台数は大幅に減少しています。その影響が大きく反映されるのは4月以降になると思われます。この結果、オートオークション市場全体は、出品台数が前期比101パーセントの755万台、成約台数は前期比100パーセントの481万台、成約率は63.7パーセントとなりました。

オートオークションのセグメント①

次にセグメントによるご説明をします。まず、オートオークションのセグメントですが、出品台数は前期比99パーセントの292万台、成約台数は前期比97パーセントの177万台、成約率は60.6パーセントとなりました。この結果、売上高は前期比97パーセントの633億円、営業利益は前期比97パーセントの354億円となりました。

オートオークションのセグメント②

こちらのスライドは実績の推移です。2017年10月より、ジェイ・エー・エー、HAA神戸会場を含めています。成約率の競合比較をご覧いただきますと、2018年3月期の第3四半期以降、市場平均成約率がUSSを逆転しています。これは、成約率が低調でしたHAA神戸会場を買収したことによるものです。

今後の収益の拡大には、HAA神戸会場の成約率向上も1つの重要課題であると考えています。2018年8月にはUSSのインターネット外部落札システムをHAA神戸にも接続したほか、現在さまざまな施策を打って成約率向上に努めている最中です。左下グラフにあります、市場シェアについては、2019年1月から12月で39パーセントとなっています。

オートオークションのセグメント③

次に手数料単価の推移でご説明します。グラフは3ヶ月単位ですが、4月から3月までの累計でご説明します。1台当たりの出品手数料は、前期と比べ65円マイナスの5,178円となりました。マイナス要因は、大口割戻会員の出品台数が増加したことによる割戻金額が増加したことです。1台当たりの成約手数料は、前期と比べ23円プラスの8,236円となりました。プラス要因としては、数会場で一部コーナーの手数料を変更したことなどによるものです。

また、1台当たりの落札手数料は、前期と比べ55円プラスの1万2,280円となりました。なお、プラス要因としては、ジェイ・エー・エー会場、HAA神戸会場の手数料体系をUSSに合わせたことなどによるものです。また、外部落札比率についても、今後も50パーセント前後で推移していくものと考えています。

オートオークションのセグメント④

12ページは、4月から3月までの会場別のオークション実績です。

オートオークションのセグメント⑤

13ページは、2017年度から2019年度までの月次のオークション実績です。

中古自動車等買取販売のセグメント

続いて、中古自動車等買取販売のセグメントについてご説明します。中古車買取専門店を運営するラビットは、台当たり粗利益が増加したものの、赤字店舗の閉鎖などによる販売台数が減少したことなどから、売上高は前期比88パーセントの50億円、営業利益は前期比99パーセントの6,400万円であり、減収減益となっています。

事故現状車買取販売事業は、高額車両の販売台数が増加した一方、赤字店舗の閉鎖などによる販売台数の減少や、台当たり粗利益の減少などにより、売上高は前期比101パーセントの40億円、営業利益は前期比75パーセントの3,800万円であり、増収減益となっています。

その他のセグメント

次にその他のセグメントについてご説明します。リサイクル事業のアビヅは、プラント解体工事の取扱量が増加したものの、鉄スクラップ相場の下落が続いたことなどから、売上高は前期比105パーセントの51億円、営業利益は前期比64パーセントの3億円であり、増収減益となっています。

また、新たな取り組みとして設備プラントの処分にかかる事業拡大のため、昨年4月にアビヅが51パーセントを出資、大手リース会社グループが49パーセントを出資して、株式会社SMARTという会社を設立しました。大手リース会社が手掛けたリース物件の解体処分の紹介も多く、成長が見込めるものと思います。この会社は、第2四半期から当社連結に含めています。中古車の輸出手数料代行サービスを行なう、USSロジスティクス・インターナショナル・サービスは受注台数の減少により、売上高は前期比86パーセントの4億円、営業利益は前期比43パーセントの3,200万円となり、減収減益となっています。

オートオークション市場とUSSのシェア

中期的な戦略についてご説明します。ご覧のスライドは1990年から現在に至るまでの市場シェアの推移です。過去30年近くのUSSの市場シェアを見ていただいていますが、安定成長で堅調に推移していることがご理解いただけると思います。自動車業界は100年に1度の変革期と言われていますが、目前に迫る電気自動車、自動運転、カーシェアリングの普及などにより対応し、市場シェアを拡大することで安定成長していきたいと考えています。

財務と株主還元に関する基本方針

今後の株主還元に関する基本方針についてご説明します。まず配当ですが、冒頭にご説明したとおり、2020年3月期からの連結配当性向を55パーセントに引き上げました。自己株式取得についても、昨年2月13日から8月9日までに483万株、99億円で取得しました。今後も資金ポジション、設備投資計画、株価などを考慮して機動的に対応し、中期的なROE15パーセント以上の水準を目指していきます。

株主還元:配当政策

こちらのスライドは、株式上場以来の配当の推移です。2020年3月期は公表したとおり、1株当たり期末配当金は29円80銭を予定しています。これにより、年間配当金は前期から5円増配の55円40銭となり、株式上場以来20期連続増配を達成します。

株主還元:総還元性向

20ページは、自己株式取得を含めた総還元性向の推移です。

株主還元:株主資本利益率(ROE)

21ページはROEの推移です。2020年3月期実績は11.3パーセントですが、中期的に15パーセント以上の水準を目指していきたいと考えています。

事業成長と株主還元による企業価値向上サイクル

22ページは、設備投資やM&Aなどの事業成長投資と株主還元のサイクルをまとめたものです。

USSの社会的・経済的価値創造

23ページは、当社と本業を通じた社会貢献と経済的な創造価値をまとめたページです。当社の売上高のすべてが中古車のリユース、リサイクルに関わる事業から生まれています。今後も成長投資と株主還元バランスを、社会的価値と経済的価値の両立を目指して経営していきます。

IRに関するお問い合わせ

最後となりますが、決算説明に関するご質問などがございましたら、メールまたはお電話をいただきますようお願いいたします。私からのご説明は以上となります。誠にありがとうございました。

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