2019年、金融審議会「市場ワーキング・グループ」報告書から始まった「老後2,000万円問題」。そこで気になるのは年金だと思いますが、同時に「退職金っていくらなんだろう」ということではないでしょうか。ここでは、厚生労働省の資料をもとに勤続年数による退職金額の差について迫ります。

会社員の退職金、勤続年数でどれくらい違う?

退職給付金の受け取り方は2通りあります。「退職一時金制度」と「退職年金制度」です。厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」(2018年)によると、この制度がある企業は80.5%となっています。

(調査対象:日本標準産業分類(平成25年10月改定)に基づく16大産業(製造業や情報通信業、金融業など)に該当する産業で、常用労働者30人以上を雇用する民営企業(医療法人、社会福祉法人、各種協同組合等の会社組織以外の法人を含む)となっています。ここからさらに、産業、企業規模別に層化して無作為に抽出した企業が調査対象です。
調査客体数は6405、有効回答数は4127、有効回答率は64.4%となっています)

上述の厚労省の調査によると、平成29年(2017年)の1年間において勤続20年以上かつ45歳以上の退職者の1人当たり平均退職給付額を勤続年数別にみていきましょう。

大学・大学院卒(管理・事務・技術職)

20~24年:1,267万円
25~29年:1,395万円
30~34年:1,794万円
35年以上:2,173万円
定年:1,983万円

高校卒(管理・事務・技術職)

20~24年:525万円
25~29年:745万円
30~34年:928万円
35年以上:1,954万円
定年:1,618万円

高校卒(現業職)

20~24年:421万円
25~29年:610万円
30~34年:814万円
35年以上:1,629万円
定年:1,159万円

勤続年数の前に学歴差が大きいですね。大学・大学院卒と高校卒では1,000万円ほど退職金額に差があります。

また、勤続年数については「20~24年」と「35年以上」を比較すると、どの学歴でも1,000万円ほど差があるようです。高校卒(管理・事務・技術職)では1,500万円近く差があります。「学歴」と「勤続年数」が退職金額の差をつける2大要因となっているようです。