2020年4月10日に行われた、イオンフィナンシャルサービス株式会社2020年2月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:上席執行役員 経営企画担当 鈴木 一嘉

財務諸表における連結業績への取込み期間

鈴木一嘉氏:本日はお忙しいなか、弊社、決算電話説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。今ご紹介いただきました、経営企画を担当しております鈴木でございます。何卒、よろしくお願いいたします。

本日は、決算電話説明会とございます資料の内容に沿って、まず説明させていただきます。はじめに、連結、エリア別の業容、ついで連結セグメント別業績、最後に2019年度の取組内容についてお伝えした上で、皆さまよりご質問を頂戴したく存じます。

なお、資料の説明に先立ち、財務諸表における連結業績への取組み期間についてご説明いたします。表紙の次のスライドをご覧ください。

当社は、当連結会計年度より、決算期を2月末に変更しております。これにより、当社、及びイオン銀行やイオンクレジットサービスなどの一部の国内子会社の連結業績への取り取込み期間は、当連結会計年度は、2019年4月1日から2020年2月29日の11カ月、前連結会計年度は、2018年4月1日から2019年3月31日の12カ月となっております。

なお、国際事業は、決算期変更以前より、2月までに全ての海外子会社は決算を行っているため、当連結会計年度、前連結会計年度、いずれも12ヵ月間の数値を取込んでおります。

連結・エリア別業容

それでは、次のスライドで、連結及びエリア別業容についてご説明いたします。国内事業においては、昨年11月の消費税増税の駆込み需要およびその後の反動や、台風、暖冬などの天候不順の影響もあり、クレジットカードショッピング取扱高は、前年同期間比11パーセントの増加となりました。

なお、国内事業の取扱高につきましては、前年度、11ヵ月間換算した数値を比較対象とした前年同期間比を用いております。

カードキャッシングにつきましては、一人あたりご利用額および残高の増加により、取扱高は前年同期比103パーセント、債権残高は期首差203億円増となりました。

国際事業においては、マレーシアにおける自動車やバイクの取扱高拡大に加え、タイなどの他の展開国におけるオートローン事業の成長により、個品割賦取扱高は、前年同期比127パーセント。債権残高は期首差350億円増と好調に推移いたしました。

また、タイでの個品割賦とパーソナルローンのお申込み、及び与信枠の一本化や、マレーシアにおいて、中・高所得者を中心に、パーソナルローンのご利用が伸びたことで、パーソナルローン債権残高は期首差190億円増となりました。

連結有効会員数については、国内事業では、入会キャンペーンにより、クレジットカード新規会員数は185万人、前年同期比122パーセントとなり、国際事業では、ブランドプリペイドや個品割賦、パーソナルローンを中心に会員数を伸ばし、顧客基盤の拡大につながっております。

連結・セグメント業績

次に、連結およびセグメント業績でございます。図表、上段右端の連結業績につきましては営業増収となった一方で、営業利益及び親会社帰属の当期純利益は減益でございます。

国内事業では、前年度より会計期間が1ヵ月短いものの、各種取扱高及び営業債権残高が順調に拡大にしたことに加えて、今後の金利環境を鑑みた債権流動化の前倒し実施などにより、営業収益は前年同期比101パーセントとなりました。

また上期における新規入会及びご利用施策の実施に伴う販売促進費の増加に対し、第3四半期以降はコストコントロールに努めたことで、営業収益は前年同期比106パーセントの増益となりました。

国際事業では、中華圏は米中貿易摩擦や香港デモの影響などにより減収減益となりました。一方、メコン圏は、安定した業容拡大に加えて、昨年10月末の債権回収法の厳格化に既存的に対応し、資産収益性を高めるべく、償却債権の売却を行ったほか、人件費などのコントロールが図れたことで増収増益となりました。

なお、マレー圏については2桁増収となりましたが、貸倒関連費用の増加に加えて、フィリピン子会社の不適切会計による影響などにより、大きな減益となってございます。

連結・セグメント業績 ーエリア別業績グラフ

次に、国内及び国際のエリア別業績グラフでございます。営業利益について、主な増減要因をお示ししておりますが、ご覧のとおりでございます。詳細説明は割愛させていただければと思います。

連結・セグメント業績 ーメコン圏の貸倒費用増加要因

次に、メコン圏の貸倒費用の増加要因についてご説明いたします。左のグラフは、前期と今期におけるメコン圏の営業債権残高の増減額を比較したものでございます。

タイでは、2017年9月に総量規制が適用されて以降、個人のお客さんの資金調達先の縮小が返済能力の低下をもたらしていると考えられます。加えて、米中貿易摩擦の影響により、貿易産業の11社を中心とした与信リスクの高まりから、当社債権の延滞も徐々に増加しており、貸倒費用の増加へと波及しております。

連結・セグメント業績 ーマレー圏の貸倒費用増加要因

続きまして、マレー圏の模様でございます。貸倒費用の増加要因についてご説明いたします。今期は、前年同期に比べて正常債権残高の増加ペースが早く、これに伴う貸倒関連費用の増加がございました。

また、延滞債権比率は、期首より微減ではあるものの、延滞債権に対する貸倒関連費用が大きく増加しております。これは前期におきまして、マレーシア社政府による低所得向け支援策などにより、延滞債権の回収率が改善されたことから、貸倒引当金の取崩しが発生し、一方、前期におきましては、それがなかったものですから、その前の年の戻し入れが大きく寄与し、今年度はむしろその反動から貸倒費用の増加という結果になってございます。

連結・セグメント業績 ー連結貸借対照表

次に、連結の貸借対照表でございます。現金預け金は、本社への調達機能の集約化に伴う借入や有価証券の売却、債権流動化の実施などにより、期首差1,183億円増となりました。また、銀行業における貸出金が897億円増加し、資産合計は5兆7,813億円、期首差5,272億円増となりました。

負債におきましては、国内にて、クレジットカードやデビットカード一体型など、決済の利便性や、各種サービスのご利用に応じた金利手数料の優遇特典などによって、普通預金を中心に、預金が3,211億円増加し、負債合計は5兆3,222億円、期首差5,169億円増となりました。これらの結果、純資産は4,590億円、期首差103億円増となっております。

連結・セグメント業績 ー財務構造の変化

次に、財務面の取組みについてご説明させていただきます。前年度より、当社はグループ各社の資金調達を集約して、直接調達へシフトする方針とし、そのための取組みを進めました。

具体的な内容の例が、お示している社債調達です。この社債調達の効果といたしまして、金融費用の11bpの増加が見られております。また、低利かつ長期資金を元手に、子会社からのリスクアセット圧縮効果の高い債権や、子会社の資本増強につながる劣後債の購入、子会社への資本性資金の貸付といった、グループ各社のリアリング対策にも主体的に関与いたしました。

2019年度の取組み ーID獲得(国内)

続きまして、2019年度の取組み内容についてご説明いたします。国内事業においては、若年層や都市部を中心に顧客基盤の拡大を図ると共に、販売促進策の実施を通じて、カード利用の促進を強化してまいりました。

上期に、イオンカード、トイ・ストーリーデザインとマルエツカードを発行開始したことに続き、下期には、イオン銀行CASH+DEBITカード、ディズニー・デザイン。イオンカード、欅坂46。住友不動産ショッピングシティイオンカードを発行しました。

また、上期に実施した、25歳以下を対象とした新生活入会キャンペーンや、最大20パーセントキャッシュバックキャンペーンにより、新規会員を獲得しましたが、ターゲットとしていた20代から30代の若年層の会員の獲得は図れております。

銀行事業では、12月に近畿地方では初となる都市型店舗として、イオン銀行大阪梅田店を開設いたしました。ウェブで来店予約サービスをご利用いただくことで、店舗周辺にお勤めされるお客さまの休憩時間やお仕事帰りの時間などを有効活用し、住宅ローンのご契約や資産形成サービスのご提案にお立ち寄りいただくなど、お客さまにとって、より便利にご利用いただく環境を整備いたしました。

資産形成サービスでは、イオン銀行独自の資産シュミレーションツール、ポートナビを全店導入し、投資信託だけでなく、外貨預金も含めて、60パターン以上のモデルポートフォリオをご利用するなど、お客さまの資産形成ニーズや将来設計に寄り添った最適なご提案が可能なサービスを提供しております。

2019年度の取組み ーデジタル化の推進

さらに、次のスライドでございますが、2019年度は国内外において、スマートフォンを始めとする、デジタルツールを活用したお客さまの利便性向上、及び顧客基盤や取扱高の拡大を図りました。

国内では、5月にスマートフォンアプリ「イオンウォレット」にて、最短5分で審査を完了し、イオンカードを即時発行するサービスの提供を開始して、お客さまの利便性を高めました。

イオンカードのご利用明細書の発行においては、11月引落し分より、WEB明細の金融サービス化を開始いたしました。一部の提携カードや、有料での明細郵送を希望の方を除き、多くの方がウェブ明細へ移行したことで、大幅な郵送費の削減、ならびにCO2排出量の軽減につながっております。

海外では、香港において、モバイルアプリからの申し込みで、審査から銀行口座への送金まで即日で完了する、オンライン完結型ローンの取扱いを開始しました。

また、タイでは、旗艦店にセルフ自動カード発行機を導入、インドネシアでは、個品割賦の即日審査アプリを導入するなど、各国においてデジタル化を進めてまいりました。

システム(IT)/デジタル化投資の実績

続いて、システム(IT)投資の実績についてお話いたします。当社は2017年度から2019年度までの3年間、デジタル化による業務の効率化と収益力のさらなる強化を推進するため、1,000億円のシステム(IT)投資を実施してまいりました。

国内では主に、ペーパーレス化や本社機能の集約、システム基盤の整備などを進めてまいりました。海外では、モバイルアプリでのサービス強化や、AI技術を用いた審査、債権管理システムの導入、債権回収体制の以降など、基盤整備に関する投資を実施してまいりました。

これらの取組みを通じて、国内事業では、営業収益に対する貸倒費用率や、労働分配率は計画値を達成しております。

一方、国際事業は、労働分配率は計画水準まで改善が図れたものの、貸倒費用が大幅に悪化いたしまして、貸倒費用率が2018年度から反転し、計画未達になってございます。

なお、右下のグラフは、生産性向上の参考資料として、2017年3月末と2019年度2月末における連結従業員数と連結営業債権残高の伸び率を比較したものです。この3年間で、連結営業債権は4割増加した一方で、従業員数の伸びは僅かなものに抑えられております。

国内事業:サービスのWEB対応

続いて、デジタル化の取組みを通じた、国内での各商品サービスのWEB化の状況についてご説明いたします。

主要事業であるクレジットカードと銀行事業において、スマートフォンアプリの開発やウェブ申し込みキャンペーンなどの実施により、ご請求明細書のWEB比率やネットバンキングの登録率が伸長いたしました。

一方で、イオンカード入会申込や投信口座開設に関しましても、店頭窓口での相談を経て申し込まれるケースが比較的多いものの、タブレット端末によりペーパーレスでの手続きになってございます。

このように、サービス提供基盤のデジタル化による利便性、生産性の向上を図りながら、リアルとバーチャル、それぞれのチャンネルが持つ強みを生かした営業活動を行ってございます。

国際事業:モバイル端末を軸にしたID獲得の拡大

次に、国際事業におけるモバイル端末を軸としたIDの拡大についてご説明いたします。

当社グループは、海外において11ヶ国、地域に展開してございます。ご覧のとおり、一部を除きますが、当社はイオンの小売店舗が展開している地域を中心に、クレジットカード、パーソナルローン、個品割賦、電子マネー、保険代理、ポイントカードなど、あらゆる商品サービスを提供しています。

これらサービスの全てをモバイルアプリで提供していきたいと考えてございます。具体的な事例を申し上げますと、カンボジアでは、クレジットカードや電子マネーのQR決済、利用明細、ポイント交換が可能なモバイルアプリのサービスを提供しております。

当該電子マネーサービスは、現地通貨、リエル建てでございます。米ドルが流通する当地におきまして、一方では、カンボジア政府が取り組む自国通貨リエルの流通促進策のサポートにもなっており、同国の社会課題の解決にも貢献する商品となっております。

また、イオンの小売店舗が進出しているマレーシアを例に説明しますと、現地では、イオンマレーシア、イオンビックマレーシアの約400万枚のポイントカード事業を受託し、当社の既存メンバー、200万人と合計した600万人のメンバーがいらっしゃいます。

このメンバーをアプリへ集約することで、IDの共通化を図り、電子マネーによる決済サービスの提供に加え、お客さまの購買状況などと連動させたデータベースマーケティングが可能となりました。加えて、現地の航空会社や飲食店、オンライン企業、公共交通機関など、さまざまな業界と提携し、お客さまの利便性を高めることで、今後も引き続きメンバー数のさらなる拡大を図ってまいります。

2020年度 連結業績予想の未定理由について

最後に、2021年2月期の連結業績予想の未定理由についてご説明いたします。

現在、当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウィルスの影響範囲の拡大を受けて、各国政府・金融当局が発出する非常事態宣言や各種規制等による経済活動の停滞、さらに、今後長期化することが見込まれる世界経済の悪化により、先行き不透明な状況にあります。

当社は、日本を含むアジア11か国で事業展開しており、これら展開国の多くで、政府による外出禁止令や企業に対する活動禁止令が出されるほか、商業施設の閉鎖命令等が出されており、経済活動に少なからず影響が出始めております。

このような中、当社は、新型コロナウィルス感染症に関する対策本部を設置し、日々、国内外のグループ各社と連携して情報を把握し、状況変化への適応を図っております。また、これまでのデジタル化への取組みによって省力化が図られるとともに、安全性の高い社内インフラが整備されており、このように状況の悪化が進む中でも、事業継続が可能である仕組みを有しております。

さらに、AIやデータ活用により、業務の効率化や生産性向上、サービスのデジタル化促進により省力化を進めまして、事態収束時の早期の業績向上に努めてまいります。

こうした不確実性が高まる状況等を踏まえ、現段階では、業績に与える影響に未確定要因が多いことから、2021年2月期の連結業績予想につきましては、合理的に判定することが困難と判断し、未定とさせていただいてございます。今後、新型コロナウィルス感染症が当社連結業績に与える影響につきましては、公表すべき事象が判明した際には速やかにお知らせいたす所存でございます。

説明は以上でございます。ご清聴をいただきありがとうございました。

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