地方公務員の離職率

総務省の「平成30年 地方公務員給与実態調査」(2018年)によると、全地方公共団体の一般行政職の職員数は85万430人となっています。

また、総務省の「平成30年度 地方公務員の退職状況等調査」(2018年度)によると、一般行政職の普通退職者(定年退職者を除いた希望退職者)は8,322人となっています。

年齢別の離職率は以下の通りです。
(ここでは、離職率=普通退職者/職員数×100(%)で計算しています。また「24~25歳」「34~35歳」「44~45歳」「64~67歳」の職員数については、年数で割ってその歳当たりの職員数としています。)

25歳以下:1.44%
25~29歳:1.65%
30~34歳:1.57%
35~39歳:1.00%
40~44歳:0.49%
45~49歳:0.52%
50~54歳:0.43%
55~59歳:0.73%
60~64歳:1.39%
65歳以上:4.11%

一般行政職全年齢の離職率は0.91%と1%切っています。もっとも高いのは「25~29歳」の1.65%、もっとも低いのは「50~54歳」の0.43%です。高くても2%ほどとなっています。会社員と比べると、かなり低く感じます。

まとめにかえて

会社員の離職率は14.6%、新卒の3年目までの離職率は32.0%でした。一方、国家公務員(一般職)の離職率は1.65%、地方公務員(一般行政職)の離職率は0.91%となっています。

公務員の離職率は性別・年齢別でみても1%前後が多く、地方公務員がもっとも離職率が低いといえそうです。国家公務員は年齢層によっては7%ほどとなっている場合もありますが、それでも10%を切っています。

若年層の離職率が高いのは、民間の会社員も同じですが、国家公務員は55歳以上になるとまた離職率が上がってきています。老後資金などの目処がついたのか、健康的な理由なのか。気になる傾向です。民間の会社員は、60歳以上になると離職率が高くなってきています。

民間の会社員は、全体的に離職率が高いです。そして「若年層」「サービス業」の離職率の高さが目立ちます。

離職率が低いと「働きやすい」、高いと「働きにくい」と断言できるものではありませんが、参考になる指標ではあります。若年層の離職率の高さは、「思っていた仕事内容・業務形態と違った」など、初めに想像していた仕事内容との乖離が離職率を上げている可能性があります。さらに「辞めても、すぐに新しい仕事がある」という状況が離職を促しているともいえます。

中高年層の離職事情は、公務員と会社員で異なっていそうです。どちらも60歳に近づくにつれ離職率が上がっていますが、公務員、とくに国家公務員の方が離職率の上昇傾向が早く始まっています。

職場環境が離職を促しているのか、金銭的な余裕からくるものなのか。想像するしかありませんが、国家公務員の1つの傾向といえそうです。

【参考】
平成30年雇用動向調査」厚生労働省
新規学卒者(大卒)の離職状況」厚生労働省
平成30年度 一般職の国家公務員の任用状況調査」人事院
平成30年 地方公務員給与実態調査」総務省
平成30年度 地方公務員の退職状況等調査」総務省
公務員と会社員の初任給はどれくらい?」LIMO
生涯年収がもっとも高いのは公務員?それとも大企業の正社員?」LIMO
公務員と会社員の退職金、どれくらい違うの?」LIMO
厚生年金や国民年金をみんな、いくらもらっているのか」LIMO

尾藤 ちよ子