2020年3月28日にログミーファイナンス主催でライブ配信にて行われた「2020年 春のIR祭 YouTube ライブ ~第12回 個人投資家向けIRセミナー~」の第2部・ジャパンベストレスキューシステム株式会社の講演の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:ジャパンベストレスキューシステム株式会社 取締役執行役員 若月光博 氏\n元ファンドマネージャー/元ディーラー 坂本慎太郎(Bコミ) 氏\nフリーアナウンサー 八木ひとみ 氏

2020年 春のIR祭り

若月:最初は3ページ、会社の概要です。名古屋にある会社で、次に大きな拠点は大手町にあります。あとは、福岡から仙台の方まで拠点があり、基本的にサービスは全国に提供しています。

当社のご紹介

(役員構成に)特徴がありまして、取締役が全部で5名なのですが、社内取締役が3名います。比率でいうと、社外取締役の比率は60パーセントになりますが、今、日本の上場企業のなかで過半数が社外取締役だという会社は2パーセント程度であり、(当社は)非常にガバナンスが効いたスタイルになっています。

それから、当社の規模ですと監査役が3名というケースが多いのですが、4名にしていまして、3人が社外監査役ということで、牽制機能を非常に強くしているというのが特徴になります。

沿革

4ページです。会社の歩んできた道を非常に簡単に書いています。棒グラフは売上の推移で、多少ボコボコしながらも基本は右肩上がりできました。この期も右肩上がりの予定です。

上の横軸に書いてありますが、会社ができて早くにマザーズに上場し、2年後に東証一部に上場して、その後買収なども重ねながらきています。2015年から2016年あたりのところにグループ再編や中期計画始動と書いてあり、右上の横軸部分は塗りつぶしてあって、「第2創業期」と書いてあります。

今まで見てくれていた外部のみなさまからすると、当社は3年くらい前からいろいろな改革を進めているように見え、それから、ずっと横ばいであった株価が急に上がり始めた用に見えると思いますが……。

坂本慎太郎氏(以下、Bコミ):わかります(笑)。

若月:業績も利益が10億円に早くいきたいといっていたのが、20億円近いところまできていますので「3年ぐらい前から急に変わったな」という印象がみなさまにあると思います。それは、この3年でいろいろと事業の再編をしたり、経営陣もけっこう入れ替わっていまして、私の下の執行役員も含めて入れ替わっています。私も実は3年前に来ていまして……。

八木:そうなのですか!

若月:3年ほど前から会社は変わり出しているのです。今までのJBRという会社と同じサービスを提供してはいるのですが、マネジメントスタイルが大きく変わったということをお伝えしたいです。

セグメントの紹介

5ページに事業のご紹介として簡単にセグメントについて書いてあります。いろいろと運営している会社なので、何回か繰り返しながら理解していただきたいと思います。一応ここでは箇条書き的なお話になりますが、「駆けつけ」というセグメントが1番上にあります。

これがもともとの事業です。当社は「生活のお困りごとを解決するサービス」を提供しています。例えば「今、急に水漏れが起こっちゃいました」「夜、鍵を無くして家に入れなくなっています」というトラブルが起こったときに、たぶんみなさまは何かに頼ると思います。

スマホで何か検索したり、家の中であれば(タウンページなどを見たり)……「今時タウンページですか?」とはよく言われるのですが、実はタウンページを使う方はまだいらっしゃって、ああいうものを使って「じゃあここに助けてもらおう」というようなかたちで、困っている方がなんらかの方法で当社にたどり着いて、当社がお助けするというサービスです。

今まで(当社と)接点がなかった方がお困りになる出来事が起こって、当社と知り合って、サポートする、というのがこの事業になります。この事業では「鍵がなくなっちゃった」とか、「ガラスが割れちゃった」とか、「変な虫が出た」とか、「パソコンのトラブル」とか、いろいろなトラブルへの対処を提供しています。

八木:幅広く展開しているのですね。

若月:二つ目は「会員」セグメントです。「会員」という大きな括りがあって、「不動産」「その他」「保証」と別れていますが、「不動産」と不動産以外のその他として理解していただきたいです。生活にまつわるサービスをパッケージにして、保険のようなサービスに仕立てたものになります。

自動車を例に挙げると、「自動車事故を起こしてしまった」というのが「駆けつけ」の話です。まだ事故を起こしてはいなくとも、自動車を運転するといろいろなリスクがあるので、みなさま自動車保険に入っていると思います。そしてその「保険に入る」というのが「会員」セグメントの話になります。

生活をしていると、いろいろなトラブルがあり得ます。先に会員になっていただければ、何かあったときに無料もしくは優待価格で解決する、というサービスです。自動車保険に入っている方は、事故を起こしたときに保険会社が払ってくれると思います。それと同じようなかたちになっているのがこの「会員」の話です。

ミニミニさまみたいな会社と、賃貸の入居者に対してこのようなサービスを提供しているというパターンが、会員のうち90万人弱分くらいありまして、それが一つの塊として大きいものですから、「不動産」という括りにしています。

「その他」というのは不動産以外のものでして、大学生協と組んだり「くらしセゾン」としてセゾンカードさまと提携したりというようなかたちで、不動産以外の業種と組んでいるものになります。

それからもう一つ。実はここまでが「生活トラブル」の話なのですが、「保証」は「生活トラブル」と言えばそうですが、どちらかというと機械の故障の修理のような話になります。いわゆる「延長保証」というサービスです。

通常、メーカーの保証は、たまに2年のものもありますが、1年というものが多いです。実際のところ住宅設備などは長く使われますので、買ったときに「延長保証を付けますか?」などと言われることがあるかと思いますが、当社のそのようなサービスを提携先の企業さんの名前で売っていただいている、ということです。例えば、ヤマダ電機さまの延長保証は当社の提携の一つです。

三つ目のセグメントとして「保険」というものがあります。今までのセグメントは何かあったときに会員になっていただいた方にサービスでお返しするという話で、「保険」セグメントでは「損害を被った部分をお金でお返しします」という話です。

賃貸住宅に入居している方の保険や、「そんな保険聞いたことがないよ」というおもしろい保険もけっこう作っています。2019年には「結婚式キャンセル保険」というものも作りました。「そんなの売れるのですか?」とよく言われるのですが(笑)。

世の中には必要かもしれないというものをアイデアベースで作っているというのが特徴です。

それから、その下の「リペア」についてです。部材を取り替えて、きれいに直すということをみなさまは「リフォーム」と呼びますよね。それに対して、部材を替えず、何かが壊れて傷んでいたら、そのままの状態で直してしまう、というのが「リペア」です。日本語で言うと「補修」というような言葉になると思います。このようなサービスを提供しています。

あとは新しく「ライフテック」という事業があって、これは今までの提携会社さまや会員さまに対してもっと違うサービスを提供しようということで、新規事業を作っていくような部署です。今は電力に力を入れています。

セグメント領域の拡大

6ページは今までの主な商品の流れというかたちになっています。1番左下にバイクを押している写真が付いているのですが、これが当社の創業ビジネスでして、「JBR」というのは、もともと「ジャパンバイクロードサービス」の略称なのです。

八木:あ、そうなのですね!

若月:みなさまご存知JAFさまは当時4輪しか扱っていなくて、2輪を扱っていたのが当社です。今はJAFさまも2輪を扱っていらっしゃいますし、日本ではバイクが減ってきたので、当社はもっと生活の身近なお困りごとへのサポートを増やしてきています。

八木:社名も変更されたということですね。

若月:そうですね。その当時はお金がなかったため「JBR」という名前を変えられなかったので、当て字で「ジャパンベストレスキューシステム」という社名になったというお話です。時代とともにニーズに合わせて新しいものを作ってきています。

セグメント別売上高

7ページで申し上げたいのは今までお話ししてきたセグメントの比率についてです。「会員」セグメントが1番大きなウェイトを占めていまして、比率としては53パーセントもあります。

「保険」が31.2パーセントあり、この二つを合わせると80パーセントを超えています。ここが当社の強みで特徴だと思っています。これはストック型ビジネスだとみなさまに言われるのですが、先にお金をいただくため、まずキャッシュ・リッチになって、資金繰りの目処が非常に楽な会社です。

また、今後2年分や4年分、延長すれば10年分という契約を先にいただいて、それを決算では年単位、月次決算では月単位に分割して売上を立てていくため、先にストックをたくさん作って、取り崩して売上を立てていくようなかたちになります。そのため、業績が非常に安定し、下振れが起こりにくいというのが特徴です。

ビジネスモデル

8ページにビジネスモデルがあります。今の話を別のかたちで整理したものになります。お話しした順に上から同じように並んでいますが、当社のミソになる部分はおそらく、薄く色がついている「コールセンター」という部分と「パートナー」という部分の二つになってくると思います。

みなさまが困ったときに、例えば110番や119番にかけるとしても、本当に困ったときというのは非常に興奮したり、混乱した状態で電話に依って状況を伝える必要があります。逆にいえば、コールセンター側がどのような状況なのか上手に理解する必要がありますので、通販の受付のコールセンターからするとだいぶ難易度が違っており、ここだけで状況を的確に掴まなければいけないというのがなかなか難しい部分になってくると思います。

また、基本的には1時間以内に駆けつけます。例えば北海道のどこで鍵のトラブルの方があって、一方その瞬間に水のトラブルが鹿児島県であって、という状況を1時間で全部対応していきますので、全国におけるパートナー網があらゆる面で必要になります。このパートナー網を作るのが非常に(難しく)、みなさまができそうでできない部分だと思います。この2つが当社の強みです。

あとは、当社は営業人員が自分の会員を獲得するという行為をしていないのです。提携企業と書いてありますが、この提供企業さま方の商品のように作って、提携企業さまが会員を獲得していくというかたちになります。

「不動産」ではどのような提携企業があるかというと、アパマンショップ(アパマンネットワーク)さま、ミニミニさま、エイブルさま、ハウスコムさまなどがそうです。入居の手続きのときに「これから新しい環境で生活すると、当然いろいろなトラブルが起こり得て、そのときに周りにどのようなものがあるかわからないので、このような保険に入っておくと非常に便利ですよ」というように案内していただき、会員になっていただくのです。

以上のように、提携先に会員を獲っていただき、後の困りごとを当社が全部対応するというかたちになります。ですから、提携企業とどのようにして提携できるかというのが非常に重要になってきます。

例えばこの「電力会社」と書いてあるものについて、電力も自由化してきているので、電気にあまり差をつけられなくなっています。そこで、もっとお客さんに身近な別のサービスも提供していこうということで、当社と提携して電気以外のお困りごともサポートしていくというかたちで組んでいます。同じようにガス会社さま、大阪ガスさま、最近ですとケーブルテレビのJ:COM(ジュピターテレコム)さま、@nifty(ニフティ株式会社)さまなどと組んで事業を展開しています。

保証の話でヤマダ電機さまについてはお話ししましたが、ホームセンターでリフォームされる方もいらっしゃって、キッチン、トイレなどを選んで交換されるとすると、当然長く使われるため、延長保証についてお店からご提案頂いています。

コメリさまの延長保証も当社、カインズさまの延長保証も当社というように、いろいろなホームセンターと提携しています。

あとは、ハウスメーカーさまとの提携もあります。「10年保証の家です」と言って売っていらっしゃるマンション、一戸建ての場合は当然、バス、トイレ、キッチン、給湯器など、いろいろなものがついて家が成り立っていますので、ハウスメーカーさまも自社が作ったものについては責任を持てるのですが、「給湯器のお湯が急に出なくなりました」と言われてもハウスメーカーさまにはわからないわけです。

そこで、当社が裏側で保証を付け、対応いたします。大々的に組んでいるのは例えばタマホームさまなどです。タマホームさまの家には全て当社の保証が付いていて、設備の部分は当社がサポートするというかたちです。

駆けつけ事業

今までの話でお分かりいただけると思うのですが、当社は裏方の会社であるため、あまり名前も聞かないかもしれないし、何をしているのかわかりにくいところもあるため、と絵で示したいと思います。

1番最初にお話しした「駆けつけ」について、いろいろな問合せの受付コールセンターの写真が真ん中に出ています。これは名古屋のコールセンターにですが、このようなコールセンターで受け付けて、サービスを手配するということをしています。

水漏れ、鍵というと、ちょうど作業風景の写真が出ていますが、このようなかたちで作業していきます。基本的には外部のパートナーさまを使ってサービスを提供するのですが、社員に一部技術のある方も抱えていまして、その人がパートナーを教育したりもしていきます。

駆けつけ事業

10ページでご紹介したいのは、テレビで「この金庫を開けてみよう!」「あの人を呼ぼう!」みたいな番組がよくあるのですが、ここに出る職人はだいたい当社の社員だということです。10ページの写真は玉置というものでして、この社員は所さんの番組で鍵を開けるときにだいたい出てきます。

同じ人間が別のテレビ局に出ると嫌がられるので、別のテレビ局には別の人間を出したりするなどして分けていますが、当社の株主総会に出ていただくと、テレビに出ているこの玉置が司会をしますので、間近で見ることができます(笑)。

会員事業(不動産・その他会員)

11ページは会員の例です。緑のパンフレットはエイブルさまのパンフレットです。「エイブル安心入居サポート」というかたちで売っていただいていまして、表紙には当社の名前は出てこず、裏に「運営はジャパンベストレスキューシステムです」と出てきます。大学生協も生協のパンフレットになっていまして、1番最後のページに当社の名前が出てくるようなかたちです。

会員事業(保証会員)

12ページです。保証のサービス内容を少し載せていますが、コメリさまやヤマダ電機さまなどに大きく売っていただいています。

保険事業

時間がありそうなので保険についてお話しします。主力の商品はこの「新すまいRoom保険」というものでして、エイブルさんとかミニミニさんが売ってくださっています。

入居者に対して安心入居サポートを売っていただくと同時に、入居者が自分で火を出してしまったり、水漏れを起こしたときに賠償するための家財保険を売ってもらっていまして、それが「新すまいRoom保険」です。

おもしろい保険としては2番目にある「男を守る、女を守る弁護士保険」です。しばらく前によくテレビで取り上げられたのですが、「痴漢冤罪ヘルプコール付き」と書いてあります。

痴漢に間違えられてしまうと、結局示談に持ち込まれてお金を払わなきゃいけなくなっちゃうという方がけっこういらっしゃって、駅長室に入ってしまったら負けてしまうという(意見もあります)。「だから逃げなきゃいけない」といって電車を止めてしまったり、轢かれて亡くなった方もいました。

そうではなく、この保険に入っておけばいつでも弁護士が助けてくれて、電話でその場で対応してくれるという保険です。

あとは「お天気保険」というのがあるのですが、これは例えばゴルフ三昧のツアーを申し込んだ方が、雨に遭ってゴルフが楽しめなかったとすると、当然お金は払っていますが、晴れたときと比べて満足度が落ちますので、その場合に旅行代金の一部が返還されるような保険になります。

「5万円で楽しもうと思ったが、3万円でこれだったらいいか」となるような保険になっていまして、これはHISさんのパッケージに付いていたりします。

リペア事業 / ライフテック事業

14ページは「リペア」と「ライフテック」についてです。「リペア」について見ていただくと、左側がビフォー、右側がアフターです。これはタイルみたいなものが割れています。通常ですとタイルを取り替えて交換するのですが、それを替えずに、この状態からなくなっている部分を作り出して、色を合わせて、柄がある場合は柄も描いて、表面も加工してわからなくしてしまう、というのが「リペア」という事業です。

競合他社さまだと、木は直せるが他の素材は直せないというサービスが多いのですが、当社は石の補修も、タイル、金属の補修もできます。大理石が欠けてなくなっても、大理石のように作り出して、見ても触ってもわからない状態を作ることができます。これが非常に大きな特徴です。

「コロナの影響はありますか?」とよく聞かれます。当社にはコロナの影響は基本的にないと思っています。リペア事業では逆に特需になっています。ホテルからのご依頼がけっこう多いです。ホテルは石を使いますので、実はホテルニューオータニさま、アパホテルさまなどがお客さまなのですが、みなさま稼働が落ちているので「このタイミングで一気に直しちゃえ」というのもあって(ご依頼が増えています)。

八木:この間に直そうという傾向があるのですね。

若月:今非常に大きな特需になっているのがUSJです。あのような施設はまず止まることがなく、それがこれだけ長期で止まっているため、パビリオンを直したいということで、特需をいただいたりしています。

中期経営計画の方針 ≪2019年9月期-2021年9月期≫

ここからは中期計画についてです。時間の関係で簡単な説明になりますが、年間で500万人へサービスを提供しようと考えています。これは2021年までの目標です。それから、連結営業利益は25億円、営業利益率は15パーセントを掲げています。

かつて、3期前ごろにはまだ利益も8〜9億円ぐらいでしたが、前期の営業利益は16億円まできており、3ヶ年の内の1年が終わったところで16億円を超えていますし、営業利益率も7パーセントぐらいだったものが、前期が終わったところで13パーセントのところまできていますので、基本的には中期経営計画に沿って順調にきているのかなと思います。

中期経営計画における事業戦略

そして、主な内容をまとめると17ページのようになります。読んでいただければわかるところは端折りますが、今までにない業種と提携を広げようということに取り組んでいたり、事業がそれぞれで走っていたので、もっと連携していこうということに取り組んでいます。

また、システムが非常に遅れているという事情があるので、ERPの開発を進めています。会員になっていただく方の会員証が紙であったりもしたので、それもアプリに切り替え、双方向にやりとりできるような仕組みにしていくための取り組みをしています。

会員事業の更なる拡大

当社の事業展開を1枚にまとめるとこのように推移しているのかなと思います。縦軸は市場の規模で、横軸が展開の順番です。もともとはバイクの事業から始まって、トラブルに見舞われた方を助ける事業の「駆けつけ」を始めました。

これは顕在市場という、実際に起きたトラブルを解決する市場の話なのですが、だんだん右側にも展開しています。自動車の例でいうと、事故が起こった方は左のところでして、自動車に乗っている方が入る自動車保険の話は右側になってきます。

マーケットも随分大きくなって、事業も安定していくということで右側に段々寄ってきていますが、最近はサブスクリプション型ということで既にお客さんをお持ちで、もっと違うサービスを付加していきたいような会社さまと組んで新しい展開を始めています。

提携先として業種を挙げていますが、クレジットカードやエネルギー関係、新聞社、医療業界、つい最近だとゆこゆこホールディングスさまという旅行業者との提携も開始しています。

中期経営計画(損益)

3ヶ年計画を立てて、2019年9月で1年目が終わりました。上段の青く塗った欄に3ヶ年で立てた目標数字が並んでいます。

1年分は終わりましたので白く実績が入っています。今期は若干微修正をしていまして、最後の期は基本的に目標どおり到達するというかたちになっています。

株主還元について

株主還元について、少し前から業績も随分変わってきたので、配当性向30パーセントを目安にしようということで基本的にはその方針に沿って配当してきていて、中間も期末もずっと増配が続いています。

総還元としては50パーセントにするということを宣言していますので、自己株買いも必要に応じて行っており、これも50パーセントになるよう計算して行っていますが、少し前に自己株を使ってお金の調達をしたため、お金を使って自己株を買うというのは逆の動きになってしまうということで自己株買いを止めていました。

しかし、現在は全体的に株価も下がっている状態なので(資金の)調達は止めて総還元に足りなかった部分をこの前大きく自己株買いをしました。総還元50パーセントを大きく上回るかたちで自己株買いをしています。過去に止まっていた部分も挽回するようなかたちで大きく自己株買いを行ったのがつい最近です。

株主優待(キッザニア優待券)

当社は9月決算ですので9月が期末、3月が中間になります。少し基準日を過ぎてしまったところですが、基準日で株をお持ちの方についてはキッザニアの優待券が付くというのがもう一つの特徴です。

この優待は上場企業のなかで当社だけが行っているので、小さなお子さまをお持ちの方やお孫さまがいらっしゃる方などが株主にけっこういらっしゃるというのが特徴です。

八木:甲子園って書いてあるのは……キッザニア東京とキッザニア甲子園での優待ということですか。

若月:ええ。キッザニアは現在2ヶ所あるためです。

八木:なるほど、そういうことですね。野球が好きなので、甲子園の優待もあるのかなと思って……すみません(笑)。

若月:名古屋の会社なのですが、実は株主様は関東と大阪・兵庫県に多いです。たぶんこの影響がけっこうあるのではないかなと思います。

八木:そのようなのもあるのかもしれませんね。

株式関連データ(2019年9月末時点)

若月:あとは大株主についてです。住友不動産さまとは提携していますので7番に入っています。駆け足でしたが、だいたい時間かと思いますので、ここで説明を終わらせていただきます。

八木:若月さん、ありがとうございました。

坂本:ありがとうございました。

坂本慎太郎氏より質問

八木:それでは、質疑応答に移らせていただきます。まずは坂本さん、お願いします。

坂本:ご説明ありがとうございました。僕も上場当初からずっと見ておりまして、生活救急車の駆けつけサービスからそれ以外に保険やその他の事業に拡大してきて、株価もかなり大きく反応したというかたちですが、この中計についてお伺いしたいと思います。

八木:19ページですね。

坂本:そうですね。こちら、今期・来期は増収増益予定で、利益率の上昇も見込まれているということです。そこで施策として、本業では「駆けつけ」「会員」「保険」「リペア」という事業戦略・投資を推進するとされているのですが、このなかのどの分野での成長を見込んでいるのか、更に力を入れていきたい部分のイメージを教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

若月:7ページに円グラフがありましたが、会員セグメントが(売上高の)50パーセントを超えていて、保険セグメントも30パーセントぐらいあり、現在はもうすこしで両方合わせて85パーセントほどになってきます。強化しているのは基本的にこの2つのセグメントです。

利益率についてです。「駆けつけ」は生い立ちの事業で一番長く営んでいますので、利益率は安定しており、だいたい……10〜11パーセントぐらいの利益率です。

「保険」セグメントも堅実に運営しているため、9パーセントぐらいの利益率です。ところが「会員」セグメントは非常に採算性がよく、22~23パーセントぐらいの利益率でずっと推移しています。現在は「会員」セグメントを強化していますので、(売上高のうち)「会員」のウェイトが高まると自動的に全体の利益率上がっていきます。

当面は利益率15パーセントを掲げていますが、その先はそれ以上を狙えると思っています。極端にいえば、全部「会員」セグメントになったら22~23パーセントになるということなので、いまはそのような方向で「会員」に1番、「保険」に2番というかたちで注力しています。

坂本:そのような仕組みなのですね。他社様を見ていても、中計で右肩上がりになっていて利益率が伸びているときに「なんで?」とよく思うのですが、今のはすごくわかりやすい回答だし、これは確かにこのまま「会員」セグメントが伸びていけばあり得るかなということをすごく感じましたね。

次です。「駆けつけ」のセグメントの話だと思うのですが、他社のサイトから入電が減少しているということについてです。自社サイトは好調で、タウンページからの入電が回復傾向にあるということでした。タウンページについては説明のなかで未だに使用される方がいると話されていましたが、それは広告戦略によるものなのか、本当にタウンページへの出稿が少なくなってきて御社に(入電が)集中してきたのか等を含めて分析をお願いしたいと思います。

若月:はい。少し分けてお話します。「駆けつけ」の集客としては、およそ半分がタウンページからのもので、実は半分はインターネットからきています。当社はタウンページを使いこなすのが非常に得意な会社で、それで上場してきたといっても過言ではないというくらい、強さを持っていました。

一方で、その強みがあった故にインターネットには少し乗り遅れてしまったという点があります。苦手なインターネットでも実は半分はとれていて、いまどき古いと言われるタウンページも実はまだ半分とれているという状態にあります。これが全体像です。

タウンページには広告料を払って掲載しているのですが、インターネットの世界だとSEOといってサーチエンジン対策によっていかに検索上位に表示するかみなさま頑張っていらっしゃるのですが、あれと同じようなノウハウがタウンページにもあるのです。

これを知らない方が多く、当社はそこに非常に長けていた会社で、日本一かというと本当にそうかどうかはわからないのですが、たぶん日本一なのではないかと思います。タウンページには非常に長けた会社で、ページを捲ったら当社に電話するようになってしまうという仕掛けが非常に得意な会社です。

八木:それは、お金をたくさん払えばそうなるとかっていう問題でもないのですよね。

若月:お金をたくさん払ったらそうなるのかもしれませんが、一定のコストのなかで効果を高く出すということに長けているということです。

八木:なるほど。

若月:タウンページというのは紙媒体ですし、どんどん減ってはきています。ところが2018年4月から、タウンページを運営されているNTTさまが方針を変えられて、「これから高齢化社会なのでむしろタウンページが見直されるかもしれない」とおっしゃられました。

それまでタウンページはNTTの固定回線を引いたご自宅だけにしか届いていませんでした。それが、他社であっても固定回線がなくても、全世帯に配布っていうことを始められたので、もともとは2,000万部しかなかったものが、いまは6,000万部配られています

坂本:すごいですね。

八木:では、人の目に触れるきっかけが多くなったということですね。

若月:そうです。スマホに慣れて使わなくなった人はそこに戻らないかもしれませんし、あんな厚いものはいらないといってすぐ捨てたという方もいらっしゃるので、(配布部数が)3倍になったから(入電が)3倍になることはないと思いますが、下げ止まる効果はでているのかと思います。これがタウンページの話です。

インターネットについて、当社は2パターンあります。もともとインターネットが弱かったので他社の強いサイトに当社が広告を貼ってそこから誘導するということを行っていました。一方で、そこにずっと頼っていてはいけないので、自社の「生活救急車」というサイトもどんどん育てていこうという方針でした。ただし、時間はかかるということで、それはコツコツと取り組んできました。

「生活救急車」は非常に順調に推移しており、いま「生活救急車」からの集客は第1四半期同士を比べるとだいたい2倍を少し上回るぐらいです。非常に成長してきています。ここも順調なのです。

今回「駆けつけ」が少し振るわなかった要因は、他社から誘導する数字が落ちてしまったことです。他社に広告を貼っていたところ、競合他社が「そこに広告載せたら当社もとれるかもしれない」と考えられたようで、そのサイトのなかで広告の競争になってしまいました。

当社の広告も載っているのですが、他社さまの広告も載ってきたのでそちらに流れる分減っています。ただ、方向としては他サイトからの流入に頼らず自分たちのサイト(アクセスを増やそう)という方向できていますので、そうする必要があるのだなということを肝に銘じた次第です。

坂本:ありがとうございます。次は、株主構成についてお伺いしたいと思います。連続増配、自株買いなど、利益が伸びた分は積極的に株主に還元されているというかたちで私は見ています。

自社株買いについて、少し数字が不正確かもしれませんが、2019年9月現在自己株が7.8パーセントございます。こちらの使い道について(教えてください)。

M&Aに使うのか、消却するのか……先ほどは借入の担保に使うという話もありましたが、今後の使い道についてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

若月:はい。23ページの資料だと自己株比率は7.8パーセントでしたが、いまはもう少し増えています。前は一時10パーセントぐらいになっていまして、そこで自己株買いをしました。株価が非常に上がってきたので、(一株)1,500円を行使価格にして提携をどんどん進めようということになりました。場合によっては資本提携もあるということでお金の調達をしました。

自己株を買った時の値段はすごく安かったのですが、それを市場に出して調達したときは1,500円以上の価格でしたので、だいたい10億円以上調達し、その結果(自己株比率が)7.8パーセントまで下がったのです。

コロナウイルスの影響もあったりして株価がまたすごく下がり、当社が思う株価とはぜんぜん違う状態になっているので、ここで1回また還元も含めて買おうということで3パーセントぐらい自己株買いを行っているため、たぶん7.8パーセントからもうすこし増えて10パーセントを超えている状況になっています。

今後については、調達などもあるかもしれませんが、基本はM&A等をもうすこし強化していきたいと思っています。かつてはM&Aを行った時期もありましたが、3年前ぐらいから不採算を見直したり、体制を見直したりいろいろなことに取り組んでいたためそのような積極的な投資をむしろ抑えていました。

いまは落ち着いてきてかなり前に進める状態になってきて、せっかくたくさん貯め込んだものがありますので、非常に上手いかたちで成長につながるような使い方をしたいとは思っています。

坂本:例えばどのような業種を狙いたいと考えているのでしょうか。当然シナジーが産まれる業種かとは思うのですが、そのあたりについても、もしよかったら教えてください。

若月:シナジーに関する話にはなると思います。みなさまが一般的にイメージするようなM&Aではないかもしれませんが、提携先とどのように上手く組めるかというのはやはり非常に重要です。

先ほど住友不動産さまの名前を出しました。あの会社とはいろいろな事業で組んでいるため、そのような意味では資本関係も持って関係を濃くしたほうがいいのではないかということもあり、そのようなところにお金を使うこともあると思います。

M&Aでいうと、時代に合わせていろいろなサービスを揃えていますので、油断すると陳腐化したりもすると思います。新しいサービスになるものであればM&Aを行うということもあると思います。

例えば、当社としてまだ力が足りないWebのノウハウを持った会社を取り込むともっと当社の成長が変わってくるということであれば、そのような会社を取り込むこともあると思いますし、弱点を補強したり機会を大きく生かしたりするかたちのM&Aは考えたいです。

坂本:ありがとうございます。あとは株主構成の話です。個人投資家の注目点でもあるのですが、23ページの資料では第2位の株主に光通信の名前が連なっています。バリュー系の株にいろいろな会社がけっこう投資されていて、光通信はアクセスされているかわかりませんが、これは純投資なのでしょうか。

それとも、光通信は営業リソースがものすごく強い会社なので、そこを使った業務提携が既にあるのか、または今後そのような予定はあるかということをお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。

若月:7位の住友不動産さまはお話したとおり、お互いに合意して株を保有している状態なのですが、光通信さまはまさに純投資のようでして、ある時期に大量保有報告が何回も続いて、一気に買ってこられました。光通信さまからアクセスもあり、実は純投資だという報告を受けました。

当社IRではいろいろな投資家さまと会うのですが、同じように投資家さまとしてお会いした時期もあります。

だいぶご理解いただいたのか、いまはあまり会うこともありませんが、ずっとお持ちのままになっています。だからといって何か組んでいるのかというとそうでもなく、実はほとんど取引きはありません。力のある会社さんですので、上手く協力できればとは思うのですが……。

坂本:僕もそのような気がしました。

若月:先ほど説明した、他社のサイトに載せていて他社との競争になったという話ですが、実はそのなかのサイトの1つは光通信さんのサイトでもありました(笑)。

坂本:そうでしたか(笑)。

若月:大株主さまだからといって優遇していただいているというわけでもなく、そのようなところで上手く組めたらいいなと思いますが、いまはまだ何もできていません。

坂本:ありがとうございます。それでは、コメントで寄せられた質問にいきましょう。

質疑応答:会員セグメントの成長イメージ

坂本:「さまざまな企業との提携によって会員を増やすということですが、今後どのような業界とシナジーを考えられていますか」という質問がありました。

「会員」セグメントの利益率が一番高いということなので、このセグメントの成長のイメージや、今後どのような展開で事業を進めていきたいか、教えていただけると投資家の方も更に成長をイメージできるかと思います。よろしくお願いします。

八木:資料は18ページになります。

若月:右側に潜在市場とあります。顕在市場は事が起こったあとのサービスだということは繰り返しているとおりですが、潜在市場では「生活のトラブルへの対応を一通り揃えていこう」「110番・119番以外の困りごとは全て当社で対応できるようにしよう」という目標を掲げています。そうすると、人が生活しているところはすべて市場となります。

いままでは生活にまつわるサービスということで住宅関係や不動産関係の会社と組んできたのですが、別にそこにこだわらなくてもいいのではないかということで、サブスク型ビジネスのほうにウェイトをとっています。

ストック型をやめているわけではなく、まだ不動産にもハウスメーカーさまやマンションディベロッパーさまなど開拓の余地はたくさんありますので、そのようなところはもちろんたくさん営業をかけて新しいお客さまとどんどん組んでいきます。

一方、サブスク型ビジネスではいままでと違う業種とどんどん組んでいくことに取り組んでいます。さきほどご紹介したように提携先として業種を載せていますが、これから組むものについては名前が挙げられないので……。

ただ、医療業界、例えば入院している患者さまはどこかが調子悪くて手術されるわけです。それで手術された方が退院されると通常できたこともできないといったお困りごとが発生したりします。

例えば、しばらく車椅子になったり、しばらく寝たままになると、普段はできた掃除などの家事もできない不自由な状態になります。それもお困りごとだと思っていますので、そのような方をお助けするために、医療業界と組めないかなどと考えています。

質疑応答:新聞・メディア業界との提携

八木:新聞やメディアなどはどのように想定していらっしゃいますか?

若月:新聞業界については少し課題があります。紙の媒体ですので、発行部数がどんどん減っているという問題があるのです。

新聞社という存在と新聞販売店というネットワークで成り立っていて、全体的にしぼんでいっています。これは例外なくほぼどこの新聞社でもそうなっているのです。

一方で、若い人は新聞をとらなくなっていて、とっている方はお亡くなりになるまでとり続ける場合が多いので、高齢化が進んでいます。結果として、新聞社や販売店はまだ新聞がある間に新しいサービスを提供したいという思いを持っています。

当社は見守りサービスを行っていたり、高齢者は生活のお困りごとも当然多くなりますので、当社と新聞社が組むとそのネットワークを使え、新聞社も新しいサービスが提供できてお金が当社から落ちて、当社は新聞社の力を使って会員を増やせるというWin-Winの関係を構築できるのではないかと思っています。

八木:考え方や見方を少し変えるだけで、本当に幅広い業種と提携が(可能なんですね)。

若月:そうですね。当社は基本的にBtoBtoCのサービスなので、当然Cの方にニーズがあるサービスにしないといけないのですが、実際に動いていただくのは真ん中のBの方になるため、新聞社の例のように真ん中のBの方の悩みを解決するような商品でないと売れていかないということがあります。このあたりを上手く汲み上げるというか、Win-Winのかたちで組むということがポイントになってきます。

質疑応答:保健事業の成長計画と戦略

坂本:ありがとうございます。最後に、保険事業の話もされていましたが、保険事業はどのように成長させる計画か、という質問です。

実際のところ、いろいろなニーズに合うような保険を考えられていると思うのですが、ここは、打率といいますか、ものすごいヒットするものがあるのか、それともある程度計算されて、堅実にいけるというかたちにされているのかという点を含めて戦略をお聞かせいただきたいと思います。

若月:35ページに保健事業のスキームのようなものが載っています。いままでのグループ会社は100パーセント出資なのですが、この「レスキュー損害保険」というサービスは、生命保険で最大手の日本生命さまとセブン銀行さまが入っています。

当社は他の力のある損保会社さまのようにコマーシャルをたくさん打ち、たくさん売っていくというような戦略ではありません。当社は提携先さまとWin-Winで上手くサービス展開することが得意なので、みなさまにニーズのある商品を作っていこうとしています。

不動産関係とのお付き合いが非常に多いのですが、火災保険は従来の少額短期保険では規制によって作れませんでした。

そこで「レスキュー損害保険」という保険を作って、大きな宣伝もせず、現在当社の保険を既に扱っていただいているところに併せて提案するかたちで展開するといった、ネットワークを使った展開を考えています。

今回新しく上記の2社さまが入っていまして、日本生命さんは当然損保の会社さん持っていらっしゃるのですが、少額短期保険のノウハウをお持ちではないので、当社のおもしろいアイデアで商品を作るという点に非常に興味を持っていらっしゃって、できた商品を日本生命の販売網で全国に売っていこうと考えていただいています。

それからセブン銀行さまについてです。おそらく、10年前や20年前だとお金は銀行でおろしていたはずなのに、いまはコンビニでおろしますよね。そのような時代を先頭をきって作ってきた方がセブン銀行さまです。

実は、10年ぐらいかけてコンビニで保険に入る時代を作ろうとしています。みなさまはキャンプに行くにも釣りに行くにもスキーに行くにも、おにぎりを買う、トイレに寄るなどでおそらくコンビニに寄っていくと思います。

そこで「1DAY保険」のようなかたちで保険に入っていくという時代を10年かかってでも一緒に作っていきたいというのがセブン銀行さまの思いです。当社はそういう取り組みを非常におもしろいと思っていまして、その辺が今後考えている展開です。

坂本:ありがとうございました。

八木:お時間となりましたので、これにて第2部終了とさせていただきます。改めましてご説明いただいたのは、ジャパンベストレスキューシステム株式会社取締役執行役員の若月光博さんでした。若月さん、ありがとうございました。

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