2020年3月5日に公開された、AOI TYO Holdings株式会社2019年12月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:AOI TYO Holdings株式会社 代表取締役会長 CEO 吉田博昭 氏\nAOI TYO Holdings株式会社 代表取締役社長 COO 中江康人 氏\nAOI TYO Holdings株式会社 専務取締役 CFO 譲原理 氏

2017年1月の経営統合から3年で以下の大きな経営課題にひと区切り

吉田博昭氏:こんにちは。AOI TYO Holdings代表取締役会長CEOの吉田博昭と申します。よろしくお願いします。2019年12月期の決算説明を行います。

この経営統合以来の3年間にはいろいろな課題がありました。2017年1月から現在までの3年間です。いくつか申し上げます。

まず、プリントレスという問題があります。当社グループの非常に重要な仕事であるテレビコマーシャル制作事業において、プリントという複製による売上と利益が、大変大きなものでした。この3年間は、デジタル送稿というかたちによってプリントがなくなっていく期間として(当社の計画において)設定されていました。

つまり、プリントという非常に大きな売上と利益がなくなるわけです。それに対応するために、本業の利益をしっかり上げるということに努めてきました。結果的に、まだプリントは完全にはなくなっていませんが、本業によって利益を上げるという仕組みはほぼ整ったと考えています。

2番目は、ご存知の働き方改革です。(この業界は)大変残業の多い業界でした。私もこの業界には1969年以来、50年以上おりますが、この3年間は各社が働き方改革に対して真剣に努力したと思います。やっと、ある程度休みが取れ、ある程度残業の抑制ができるようになりました。まだ完成したとは言えませんが、具体的に大変大きな進捗を見せたと考えています。

3番目は、おもにこの(2019年12月)期にあったことですが、グループ会社の整理並びに不採算事業からの撤退についてです。AOI系、TYO系ともに、いくつかの潜在的な要因を抱えておりました。今回、この機を使って一気にそれらを特損において計上しました。

結果的にご心配をかけるような最終利益になってしまいましたが、このことによって潜在的なマイナス要因を顕在化させることができたと考えています。

最後にシステムの統一についてです。AOI系、TYO系は今まで違ったシステムを使っていましたが、これらを一本化することによってより効率化していこうと考えています。

以上の4点がほぼ達成できました。そのようなかたちで第1段階が終わり、これからAOI TYO Holdingsはいよいよ次のステップに入っていこうと考えています。

2020年の経営体制(予定)

この2020年には新しい経営体制で臨みたいと思います。その一番初めに、私自身のことをご説明したいと思います。

1982年、今から38年前に5人の仲間とTYOという会社を作って以来、38年間にわたって何らかのかたちで代表者を務めてきました。昨年70歳になりました。いずれ引くときが来ます。そのときにできるだけきれいに、若い人たちに迷惑をかけないよう、いいかたちで引退したいと考えていました。

その機会が今だと判断しまして、この1月にみなさんと話してご理解いただき、今回、私は3月に株主総会に提案される新しい取締役の候補に立候補しないことを決断しました。つまり、代表者でなくなり、取締役も務めません。

今後は名誉会長というかたちで、社内の人とも話をしますし、業界の他社とも話をします。大学で授業も行いますし、その他、新人教育など、いろいろなかたちで私にできることを行っていきたいと思っていますが、経営についてはすべて私より20歳ほど年下の若い人たちの判断に委ねていきたいと考えています。

みなさま方の中には、ずいぶん長くお顔を見せていただいている方もいらっしゃいます。本当に長いこと、お世話になりました。いろいろなことがありましたが、大変充実した経営者生活ができたと考えています。本当にありがとうございました。

ということで、2020年は新しい経営陣で臨みたいと考えています。ならびに、経営の論議の場として大変重要な経営会議には、このグループの2大事業体であるAOI Pro.とTYO両方から代表取締役社長にも参加していただき、実質的な経営論議を行っていただきたいと考えています。

先ほど申し上げたように、私は名誉会長としていろいろできることをしますが、経営については一切口を挟まず、若く新しいメンバーにすべてを任せたいと考えています。本当に長いことお世話になりました。ありがとうございます。

それでは、中江からお話しいたします。よろしくお願いします。

インターネット広告市場の拡大

中江康人氏:代表取締役社長COOの中江です。私からは2019年の総括と2020年の取組みに関してご説明します。

まずは市場環境です。2019年はインターネット広告がテレビ広告を超えるといわれる年です。テレビは微減、ほぼ横ばいで、そこをインターネット広告が上回ってくる状況です。

当社の事業としては、テレビに加えてYouTubeを中心とした動画の配信プラットフォームにフォーカスして、どのように事業展開ができるかが鍵になってくるかと思います。

中期経営方針(2019年3月策定)

加えて、動画を作るという強みの部分を掘り下げていくことと、その強みを生かして広げていくことープロモーションの世界に広げていくことや、コンテンツの世界に広げていくということを考えています。

動画広告事業

動画広告事業に関しては、利益率が若干下がってしまいました。ただし、プリントレスは一旦ほぼ落ち着いたと思いますので、利益率を数パーセント改善できるかどうかにかかっていると考えています。

ソリューション事業① - TYOオファリングマネジメント部門

ソリューション事業についてです。TYOオファリングマネジメント部門、そしてAOI Pro.のグループ会社であるQuark tokyoの2社は新興企業を中心として直接ソリューションを提供していく事業であり、かなり伸び代がある事業だと考えています。

ソリューション事業② - Quark tokyo + Mediator

そのため、現在はグループ再編も含めてこのソリューション事業にいかに注力できるかをプランしているところです。

海外事業における取組み

海外事業の取組みに関してです。いろいろな拠点の整理なども終え、今後は新しい拠点を設立していくことで(売上を)伸ばしていこうと考えています。

広告関連事業における取組み

広告関連事業における取組みです。こちらも、イベント制作やPRでかなり伸びてきてはいるのですが、昨今のコロナウイルスの問題においてかなりの数のイベント等がキャンセルとなり、動画の制作事業に関してもインバウンドのお客さまが減っていることが現実に起こっています。

そのようなことも踏まえ、再度計画を作っていきたいと考えています。現状では、そこは織り込まれていません。

グループ会社の整理

先ほども申し上げたように、グループ再編を積極的に行っていこうと考えています。一旦整理もできましたので、再編を加速させていこうと考えています。

システムの統一に向けた動き

システムにおいても、共通のプラットフォームを持って再編を加速させていくということで、相応の減損をいたしました。それによって、コスト削減も実現されていますが、あくまでもグループ再編に向けた動きだとご理解いただければと思います。

人材の強化の加速

当社は、人が資産、人材こそすべてという会社なので、人材強化を今後も加速していきます。そのために、相応の費用の発生を予定しています。

続きまして、譲原から決算のご説明と今期の業績予想に関して説明させていただきます。

連結決算ハイライト

譲原理氏:専務取締役CFOの譲原です。それでは私からは、2019年度の実績および2020年度の計画についてご説明します。

まず、2019年度の実績です。売上高については一昨年の減少に歯止めをかけて前期比プラス4億3,700万円となっていますが、利益率の高いプリント売上の減少や、これまで利益率を向上させてきた動画広告事業における受注拡大等に伴う実行利益率の低下、子会社における新システムの稼働等のコスト増もあり、営業利益・経常利益は減少しています。

また、業績不振な子会社の整理等に伴う損失や、先ほど説明したソフトウェア資産の減損、ファンドを通じて出資した投資有価証券の評価損等を特別損失に計上しています。

特別損失の内訳

特別損失の詳細につきましては18ページの表のとおりです。

四半期別売上高推移と受注残高

四半期別の売上高を見ますと、第4四半期の売上高は第1四半期〜第3四半期と比較して増加したものの、前年に対しては10億円ほど届かない状況になっています。一方で、当期末の受注残高は146億600万円と、前年同期比で14億円増加していて、受注状況は堅調に推移しています。

四半期別営業利益推移

四半期別の営業利益ですが、第4四半期は第1四半期〜第3四半期と比較して売上高の増加等により営業利益が増加し、約9億5,000万円を計上しています。前年同期と比べると、売上高は10億円程度減少しているものの、営業利益は経費の減少等によって1億円程度の減少にとどまっています。

事業区分別売上高

また、事業区分別の売上高ですが、動画広告事業は前年並みの売上となっています。広告関連事業は、映画・ドラマ等エンタテイメントコンテンツの売上が5億円程度減少したものの、M&Aも含めイベント関連の子会社の売上が増加し、全体として増加しています。

ソリューション事業は3億円程度、メディアの売上が減少していますが、それをカバーし、前年同期比で増加しています。

海外事業は、北京現地法人の整理等に伴い、前年同期比で減少しています。

顧客別売上高

次に顧客別の売上高です。大手広告会社からの売上高は、電通グループが減少、博報堂グループが増加し、トータルでは若干減少しているものの、クライアントからの直接取引が引き続き拡大しており、全体に対する割合は30パーセントを超えています。

媒体別売上高

媒体別の売上高です。テレビCM制作は前年並みを維持しています。デジタルコンテンツの中でもオンライン動画制作が大きく増加していて、このような売上高の動きは当社の戦略に沿ったものになっていると認識しています。

連結業績予想

それでは、2020年度の連結業績予想についてご説明します。売上高については業績不振な子会社の整理等の影響もあり、前年並みの業績予想としています。一方、利益面では実行利益率の改善に改めて取り組むとともに、ソフトウェアや業績不振の子会社等に係わる費用が減少するということを見込んでいます。

また、将来の企業価値向上に必要不可欠な人材強化について、新卒採用の増加や事業領域拡大のための中途採用も積極的に進めているため、そのような費用増加も織り込んでいます。

売上高は650億円、営業利益は前年同期比で4億円増の25億円、経常利益は24億円、当期純利益は14億円を業績予想としています。

事業区分別 売上高計画

事業区分別の売上高計画です。動画広告事業については子会社の整理の影響があり、若干減少する計画となっていますが、その他の広告関連事業、ソリューション事業、海外事業についてはいずれも拡大を見込んでいます。

株主還元

最後に株主還元についてご説明します。配当方針である連結配当性向30パーセント以上は維持します。2020年12月期の配当は前期と同様に20円の配当を予想しています。引き続き、株主の利益還元は重視していく考えです。

株主優待制度

株主優待については、今年度は前年度と同様の株主優待を実施する予定です。2021年度からは1年以上継続して保有していただいている株主様への優待というかたちに変更する予定です。

以上、私からのご説明を終わります。ありがとうございました。

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