2020年2月26日に行われた、株式会社サンセイランディック2019年12月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:株式会社サンセイランディック 代表取締役社長 松﨑隆司 氏
株式会社サンセイランディック 経営企画室長 三浦玄如 氏

通期トピックス

三浦玄如氏:みなさま、本日はお忙しいなかお越しいただき誠にありがとうございます。経営企画室長の三浦です。

まずはじめに、私から2019年12月期の決算概況についてご説明します。

2019年12月期の決算トピックスです。売上高は前年同期比7.1パーセント増加の180億2,000万円となりました。計画こそ下回ったものの、過去最高の売上高となっています。

営業利益は前年同期比5.4パーセント増加の18億6,000万円、経常利益は前年同期比7パーセント増加の17億5,800万円、当期純利益は前年同期比15.1パーセント増加の11億5,800万円となりました。各利益ともに計画を上回り、過去最高益となっています。

仕入れは前年同期比18パーセント増加の131億7,700万円となっています。

建築事業におきましては、2018年から取り組んでいる営業戦略の見直し等により、受注売上高が大幅に増加し、業績は改善していますが、黒字化については未達という結果です。

連結損益比較

連結損益比較です。建築事業の売上が計画未達となったことにより、売上高は計画を下回りましたが、不動産販売事業の利益が計画を上回ったことにより、各利益が計画を上回り、過去最高益となりました。

販管費は前年比では2億1,800万円増加しています。主な内訳としては、給与手当が9,300万円、販売手数料が3,900万円、租税効果が2,900万円増加しています。

単体損益比較

単体損益比較です。不動産販売事業を行なっているサンセイランディックですが、売上高、各利益において前年比計画比ともに上回り、順調に推移しました。

底地・居抜き所有権の各事業の状況については後ほどご説明します。

連結貸借対照表サマリー

連結貸借対照表のサマリーです。販売用不動産が仕入の増加により15.5パーセント増加し、134億9,300万円となりました。

仕入れの増加により有利子負債も増加しています。それにともない、自己資金比率は51.3パーセントと1.8ポイント低下しています。

販売用不動産の増加により総資産が増加していますが、経常利益が前年比7パーセント増加したことにより、ROAは9.8パーセントで前期と同様の数値となっています。

事業別販売実績(不動産販売事業)

不動産販売事業の事業別販売実績です。3ヶ年推移と計画対比のグラフです。底地は、販売件数が増加し利益率もほぼ計画どおりとなりましたが、前年に比べ単価の低いエリアでの販売が多かったことから、計画未達となりました。

居抜きの売上高は、計画にはわずかに及びませんでしたが、前年比で大きく増加しています。利益率は計画を上回ったため、利益は計画を上回る結果となりました。エリア別で見ますと、売上高の7割が西日本エリアでの販売となりました。

所有権は、想定を上回る仕入・販売があり計画を大きく上回りました。権利調整の必要がある物件もあり、利益率も計画を上回っています。

事業別仕入高(不動産販売事業)

事業別の仕入実績です。底地は区画数で前年比11.9パーセント減少の452区画となりました。仕入高では1.8パーセント減少の50億9,400万円となり、前年とほぼ同水準の結果となりました。区画数は減少していますが、前年に単価の低いエリアでの仕入れが多かったことから、単価については前年よりも10パーセントほど上昇しています。

居抜きについては、区画数で前年比40.3パーセント増加し101区画となりました。仕入高は21パーセント増加して63億300万円となり、大幅に増加しました。西日本エリア、関東エリアなどでは仕入高1億円超の物件が20件あり、昨年の12件から増加しています。

所有権については、区画数で前年比73.9パーセント増加の23区画となりました。仕入高は132.7パーセント増加の17億7,900万円となり、大幅に増加しました。北日本エリア、西日本エリアで仕入が増加しています。

仕入高・棚卸高推移表

続きまして、仕入高・棚卸高の四半期ごとの推移表です。棒グラフが事業別の仕入高、折れ線グラフが棚卸高の推移です。四半期ごとに増減はありますが、2017年以降、仕入が順調に拡大しています。

案件数・仕入契約件数動向

続きまして、案件数・仕入契約件数の四半期ごとの推移表です。案件数については、2017年以降、年間2,000件ペースを維持しています。

建築事業の状況

続きまして、建築事業を行っているOne's Life Homeの状況です。売上高は計画に対して9パーセント未達となりました。前年比で売上高は大幅に増加し、業績は改善しましたが、引き続き赤字決算となりました。

営業戦略の見直しに伴い、昨年1月に本社を移転、3月に展示場を閉鎖して、固定費を削減しています。注文住宅、リフォームともに前年比では大幅な増収増益となりましたが、計画に対しては未達となりました。

注文住宅については、着工から引渡しまでのスケジュールが想定どおり進まなかった物件があったことが未達要因となります。一方、受注については消費増税前の駆け込み需要の反動はありましたが大幅に増加しています。

リフォームについては、大型案件の受注増加により売上計上までの期間が長期化したことが未達要因となります。受注については、注文住宅と同様、大幅に増加しています。以上、2019年12月期の決算概況です。

各本部の市況認識

松﨑隆司氏(以下、松﨑):それではこれより私、松﨑が2020年12月期の業績予想についてみなさまにお話ししたいと思います。

まずは、各本部の市況状況です。全国的に収益物件に対する融資の厳格化など、金融機関さまの姿勢が厳しくなりつつあり、売買に影響している同業者も一部に出ているようです。

弊社に対する金融機関さまの姿勢には基本的に大きな変化はなく、弊社に集まる不動産の情報も増加している状況です。

主に関東エリアをカバーしている第一営業本部については底地の分布も多く、安定的に仕入れもできています。

一部、土地価格の高いエリアにおいて、弊社の目線よりも高い価格で売買が行われているケースもあるようですが、無理をせず、弊社の社訓にもあるように「八分の力で邁進する」方針に基づいて、弊社の目線での仕入れを順調に行っているところです。

居抜き物件については先ほどご説明があったとおりですが、事業別仕入高の推移どおり、2018年、2019年と比べると大幅に増加しています。足元の状況も良いと言えます。

もともと関東での居抜き売買は競合が多いですが、融資の厳格化等により取り組める業者さまが一部減っているということもあるので、弊社にとっては有利な状況であると認識しています。

続きまして、北日本エリアをカバーする第二営業本部、とくに札幌エリアについて、インバウンド需要や再開発により不動産価格が高騰していましたが、ここのところ適正な価格に戻りつつあり、弊社で検討をし得る物件の情報量が増加しているところです。

仙台エリアについては地元の業者さまより不動産の融資姿勢が厳しくなっているというお話も聞きますが、金融機関さまの弊社に対する姿勢に変化はなく、むしろ「もっと取引を」と言っていただけるような状況にあるということです。

続きまして、西日本エリアをカバーする第三営業本部については、名古屋、大阪について一時仕入れを抑制していた収益物件を取り扱う不動産業者さまが買いを進めていまして、競合するという状況が増加しています。

開発の進む都市部や住宅地に対して、それぞれのエリアに合わせた物件の仕入れ方法を実施していくということです。

ちなみに、京都については小型の宿泊施設等の供給が増え、価格が下落傾向だということなので、出口は慎重に進める必要があると認識しています。

また、福岡については、マンション事業がやや飽和状態にあるという予測があり、戸建の在庫も増加傾向で、さらにハウスメーカーさま等の仕入れに関しても少し抑え気味となっているため、出口の戦略のバリエーションを増やしてその市況にあったものを買い取り、またそのような先に卸していくというかたちで事業を進めていきたいと思っています。

不動産販売事業 事業別販売計画

続きまして、不動産販売事業の事業別販売計画についてご説明します。

売上高は、前年比プラス20.4パーセント増加の195億8,100万円を計画しています。

内訳について、底地はプラス12.1パーセント増加の75億1,000万円、居抜きについては11.9パーセント増の82億8,200万円、所有権については94.1パーセント増加の33億600万円を計画しています。

期首の仕入れ状況から所有権の割合が増加していますが、所有権は底地、居抜きに比べると利益率が低いという傾向があるため、所有権の割合が増加すると不動産販売事業全体の利益率は低下する傾向にあります。

居抜き物件について、2019年は弊社の想定利益率を上回る物件が複数ありましたが、今期計画においては弊社の想定利益率におさまるような傾向があると予測しており、それを前提に組立てています。

2020年12月期 業績予想(単体)

続きまして、2020年12月期業績予想をここで申し上げたいと思います。

先ほどご説明したとおり、売上高はプラス20.4パーセント増加の195億8,100万円を計画しており、売上総利益については50億3,800万円を見込んでいます。

一方、居抜き・所有権販売増にともなう販売手数料の増加、消費増税による租税公課の増加、人員増員による人件費の増加など販管費の増加を見込んでいて、営業利益については12パーセント減少の16億7,100万円を計画しています。また、仕入高については7.9パーセント増加の142億1,500万円を計画しています。

引き続き来期の業績拡大のため積極的な仕入れ活動を行っていきたいと考えています。

建築事業受注高・受注残高推移

続きまして、One’s Life Homeの業績見通しについてご説明します。

2018年10月から抜本的な改善計画を実行しています。その成果もあり、昨年の業績は大幅に改善したものの黒字化まではいかなかったという状況です。

受注状況の改善により今期は大きな受注残をもってスタートしているため、営業強化に向けた施策でのコスト削減等、これまで実施してきた改善の流れを止めずに継続することで今期は黒字化できるものと考えていますが、昨今のコロナウィルスに関する報道においてマイナス要因も含まれているということも判明しています。

この影響については、詳しくはまだ判明していませんが、わかり次第発表していきたいと考えています。

2020年12月期 業績予想(連結)

サンセイランディックおよびOne’s Life Homeの計画を踏まえた2020年12月期の連結業績予想についてご説明します。

売上高はサンセイランディック単体の売上増加によりプラス19.6パーセントの約215億5,200万円を計画しています。

営業利益・経常利益については建築事業の業績回復を見込むものの、サンセイランディック単体の減益を埋めるまでには至らず、営業利益は9.4パーセント減少の16億8,600万円、経常利益については11.3パーセント減少の15億5,900万円を計画しています。

また、当期純利益については9.6パーセント減少の10億4,700万円を計画しています。

また、1株当たりの純利益については123円88銭を見込み、配当は2円増配して一株あたり25円を予定しています。

以上が、当期の業績予想についてのご説明です。

定量目標との差異について①

続きまして、中期経営計画の進捗についてご説明したいと思います。

2018年にスタートした中計の定量目標として2020年に営業利益20億円超、経常利益19億円超を掲げています。しかしながら、今期計画は営業利益16億8,600万円、経常利益は15億5,900万円となっており、中期経営計画の目標を下回る計画となっています。

定量目標との差異について②

もう1つ、定量目標として掲げているROAの推移についてご説明します。ROAについては12パーセント超の維持が目標となっています。

中期経営計画策定時には過去数年にわたり12パーセントを維持してきましたが、事業拡大にともなって棚卸資産が増加し、総資産が増加することが予想されるため、効率性の向上より維持していく目標ということでこの目標を設定しました。

しかしながら、回転率を上げて早期にキャッシュを創出することも大事ですが、一方で、時間をかけて権利調整を行うことが結果として利益率を向上させるケースも多々存在しています。

利益の最大化を目指すなかで、ROAが最も適切な指標かどうなのか再検討の必要があると考えていますので、2021年度からの新中期経営計画においては弊社の今後の戦略のなかから適切な経営指標は何かを改めて検討し、考え、発表していきたいと考えています。

定量目標との差異について③

続きまして、今期の経営計画が中期経営計画を下回っている理由についてご説明します。

1つ目は、中期経営計画の想定よりも利益率を低く見込んでいるという点が挙げられます。2つ目は、販売物件の構成によるものということです。3つ目は、販売管理費の増加によるものということです。

まず今期の計画については、不動産販売事業の利益率を中期経営計画上の想定より低く計画しています。

弊社では、仕入れ時に一定の利益率を目線として物件の査定を行っています。中期経営計画策定時は、物件を販売した際の利益率が弊社の目線を上回ることも多くありました。

一方で、弊社は消費税増税と東京オリンピック後に市況が落ち込むという予想を立てているため、そのような可能性を考慮し利益率を落として中期経営計画を策定していましたが、2019年度実績に市況が落ち込む想定を加味した結果、2020年の計画は中期経営計画の利益率より低く想定しています。

また、今期販売物件の構成は居抜きと所有権で約6割を占めており、中期経営計画に見込んでいた割合を上回る割合となっています。弊社の不動産販売事業では底地の利益率が最も高く、居抜き・所有権の割合の増加もまた不動産販売事業全体の利益率の低下要因となっています。

定量目標との差異について④

続きまして、販売管理費の増加についてご説明します。

昨年施行された消費増税により租税公課が増加しています。また、居抜き・所有権物件の販売が増加することにより、付随した販売手数料の増加が見込まれています。さらに、販売手数料に関しても消費税がかかるため、租税公課の増加にもつながっています。

加えて、事業拡大に伴う業務量の増加に対し、業務効率化を図りつつも人員増強を行っているため、給与手当の増加を合わせて見込んでいます。

そのほか、新たな営業手法としてデータを活用した営業活動をするための先行投資の経費も見込んでいます。

以上により、今期の計画は中期経営計画の定量目標を下回る数字となっていますが、ただいま販売を予定している物件が十分にあるなかで、前期に比べて利益率を固く見ている傾向があるため、仮に着地が2019年並の利益率となった場合は、2019年以上の業績となるだけではなく、この中期経営計画の達成も可能であると考えています。

現時点においては中期経営計画を下回ることになっていますが、引き続き達成に向けて事業を推進していきたいと思っています。

成⻑_新規事業からの収益創出

当社のさらなる成長のため、新規事業からの収益創出を模索しています。地域再開発、住宅弱者支援、海外、民泊、女性活躍の項目を掲げています。このなかの地域再開発は後ほどご説明したいと思っています。

さらに、このなかの弱者支援については、首都圏で具体的な案件が進行しています。また、これ以外にも調査検討を掲げている物件がいくつかあります。

海外事業は、弊社の権利調整ノウハウの海外展開を検討しています。

進出の足がかりとして、主に東南アジアやアメリカでの小額での投資を具体的に検討しています。

民泊物件は既存物件の有効活用という位置付けにおき、既存物件の収益化の最大化を目指していきます。また、日頃の権利調整のなかで民泊事業のチャンスがあれば、そのなかで民泊事業を創設していきたいと考えています。

もう1つ、女性活躍として女性社員立案による新規事業推進もあわせて行っています。

成⻑ 地域再開発事業について

地域再開発事業への取り組みの進捗をご説明したいと思います。

2019年7月にプロジェクトチームを発足しましたが、2020年1月から「地域再開発事業室」に格上げし、推進体制を強化しています。

これまでの主な取り組みをご説明します。2019年7月以降、直近まで全国24の自治体を訪問しまして、都市計画や都市再生にかかわっているご担当者に弊社の事業説明や、自治体での都市開発状況の課題等のヒアリングを行なっています。

弊社の事業については、権利調整を専門に行う点に関して多くの自治体でいろいろと反響をいただいています。

また、当社の事業に興味を持っていただいた自治体のうち、ニーズが高いと思われる7自治体を再訪しまして、より具体的なテーマや地域の課題について意見交換等を進めています。

本年に入ってからは、再訪した自治体のなかで抱えている課題に対して具体的な提案等を行なっていきたいと考えており、引き続き継続していきたいと考えています。

多くの自治体におきまして少子高齢化が進んでおり、その影響で空き家問題や地域活性化の問題に直面しているとお聞きしています。

弊社は、観光地の空き家活用による地域活性化について行政・地域・弊社が連携した取り組みの提案を行っています。まだ実績としてご説明できる段階にはありませんが、地域の抱える諸問題に対して弊社が長年培っている権利調整のノウハウを展開し、いろいろとお手伝いさせていただく予定です。

安定 回転期間短縮への取組み

続きまして、回転期間短縮への取り組みについてご説明します。

底地の販売については、仕入れ後約1年で8割程度を販売し、3年経過時点で残りの15パーセントを販売するというようなスケジュールになっています。3年経過時点では5パーセントの底地が棚卸資産に残ることとなり、残りの底地については、借地人さまと交渉を重ねながら引き続き販売活動を続けています。

残った5パーセントの底地については地代収入も得ており、原価の回収もほぼ完了している物件です。しかしながら、毎期適切に評価を実施し必要に応じて評価減等を行わなければならず、事業拡大にともなって残存する底地が増えていくという現象も起きています。

ただいま申し上げたとおり、3年超の底地の販売により利益も得ていますが、在庫増加による評価減のリスクの状態や金融機関さまの融資姿勢の変化等、今後の市況の変化に対応するためにも、在庫の資金化により在庫を適正な水準に維持するとともに、得られた資金の有効活用等を検討していきたいと考えています。新規事業等にこのような資金を活用していくことも考えています。

2019年4月に設立したこちらに対する専門部署によって在庫の資金化を進めており、2019年は例年を上回る金額を資金化しており、今後も継続して取り組んでいきたいと思っています。

還元 株主還元(配当の推移)

続きまして、株主さまへの還元の拡大として、増配を継続しています。2020年度は2円増配の25円とし、7期連続となる増配を予定しています。また、それに伴い、配当性向は約20.2パーセントに上昇する見込みです。

引き続き株主さまに対する還元を重要な経営課題として位置づけ、株主さまへの還元の拡大を続けていきたいと考えています。

資金調達への取り組み クラウドファンディングについて

2019年10月にファンドを組成するための子会社を設立しました。

ファンズ株式会社の運営する「Funds」という貸付ファンドのオンラインマーケット上で、2019年12月に1回目となる弊社のファンドを募集しました。「Funds」というWeb上の媒体を使って募集をかけることにより、底地の知名度を上げることや資金調達のバリエーションを増やすことが目的です。

初回ということで、若干高めの利回り3パーセントで募集しましたが、5,000万円が約37秒で集まったということです。今後は実績を重ねることでより低い利回りでより多くの金額を集められると考えています。本年度も引き続き具体的な検討を進めていきたいと思っています。

結びに、本日はわざわざお忙しいなか弊社決算説明会へご足労いただきまして誠にありがとうございました。コロナウイルス等の注意喚起が叫ばれるなか、大勢のみなさま方に集まっていただきまして、本当に恐縮しています。

まだまだ収束のめどは立っていないようなので、我々会社としても注意して事業を進めていきたいと考えています。ご参加いただいたみなさま方も、どうぞご自愛いただければと思っています。

以上が私からのご説明です。最後までご清聴いただきまして、誠にありがとうございました。

質疑応答:新規事業と得意分野の注力バランスについて

質問者1:ご説明ありがとうございました。2点教えてください。御社の強みとして底地や居抜きがある一方で、23ページにて新規事業が収益を創出するとご説明がありました。

バランスとして、御社の得意とする分野にもっと集中した方が成長につながるのではないかとも考えられます。長期的なシェアにおいて、新規事業に注力される部分も理解はできるのですが、最近は得意分野で不透明なところもあると見つつも新規事業に注力されるということなので、バランスとしてはどのようにお考えでしょうか。

松﨑:弊社につきましては、どちらかというと次の中計、またその次の中計あたりに収益化できるかたちで進めたいと思っています。正直に申し上げて、現時点でどのぐらいのものか言い切れない部分もありますが、現状の割合としては既存事業が7割、新規事業が3割ぐらいかと考えています。この新規事業につきましても、一部は先ほどの説明のとおりですが、とくに地域再開発事業等は弊社が普段から培っている権利調整能力を生かしたビジネスと考えており、ある意味今の事業の延長線上にあって、(既存事業の)強化にも繋がっていくのではないかと考えています。割合としてはもっと上になる可能性もありますが、この先、底地は今後の増加が見込まれてないため、底地の代わりになる次の柱も順調なうちに立ち上げていきたいと思っております。

One's Life Homeの今後について

質問者1:ありがとうございます。もう1点は、One's Life Homeについてです。今期、場合によっては黒字化できるかもしれないとのことでした。

中期的にはどのような姿になるのでしょうか。利益水準など、御社のなかではどのような位置付けになるのか教えてください。

松﨑:基本的には単年度黒字化を基本として、成長のドライブを描いています。まだ検討しているところですが、まずは単年度黒字化を最大の目標として事業を進めていきます。正直に言って、収益の拡大に関してはまず黒字化してから考えたいと思っており、この分野に関しては市況が厳しいこともあるため、どの分野にどの程度の力を入れていくかは、黒字化を前提にして次の段階を組み立てていきたいと考えています。ただ、弊社が今後に進めていくいろいろな新規事業のなかで、One's Life Homeのシナジーを生かせるのではないかと考えているため、そのあたりも視野に入れながら進めていきたいと考えています。

質疑応答:長期化在庫の地代収入と損益額について

質問者2:25ページについて教えてください。長期化した在庫に関しては地代収入を得ていらっしゃるということですが、地代収入額と損益額がどのぐらいかお教えください。

松﨑:地代の収益はおよそ4億円ぐらいあります。収益率の計算はしていませんが、大半は事業を完結したあとに残ってる部分です。弊社はよく原価と申し上げているのですが、事業に投下した資金を全部回収したあとの残りなので、もちろん個別の評価はついているのですが、事業的に見ると、回収したあとの残りから利益が出ているとして地代収入を位置づけています。

質問者2:新規部署を設立してキャッシュ化を促進するということですが、具体的にどのように活動されるのでしょうか。あるいは……素人でよくわからないのですが、例えば裁判などにより簡単に回収できないのかなど、そのあたりはいかがでしょうか?

松﨑:裁判等では解決できない分野でして、例えば決して地代が滞納されているなどというものではなく、お客さまの事情によるものであるため、細かく丁寧に追いかけるためには、営業ではなかなか追いつかず、手が回らないというのがあります。

専門の部署を作ることによって、営業が行うよりも効率が上がって権利調整解決に結びつくということもあります。かなりきめ細かい作業がさらに必要になってくるため、専門部署を立てて当たったほうが効率がいいということになり、そのように進めているということです。

在庫は毎年少しずつ自然に減ってくる部分ではありますが、もっと進めようとするとある程度力を入れる必要があります。自然減に任せるだけでは減り方が少ないので、いろいろな専門部署を作って施策を考えているところです。

質問者2:1点だけ確認です。販管費のなかに貸倒引当1,200万円があるのですが、これは地代収入の未収ではなく、それ以外ということでよろしいですか?

松﨑:地代収入の未納がメインです。

質問者2:ありがとうございます。

松﨑:逆に言いますと、そこについては裁判等々で回収している部分も一部あるということです。

代表よりご挨拶

本日はお忙しいなかお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。弊社の数字につきましては、中計の数字も未達ということで不本意な部分はございますが、安定的に事業が進められていることは事実です。

もし利益率の向上が見込めれば中計の計画や今期の数字についてもまだまだ改善の余地があると思っていますので、利益率の改善に向けて最大限努力をしていきます。

ご質問にもいただきましたが、新規事業をなんとか柱になるように立ち上げて、将来の収益に結びつくよう取り組んでいきたいと思っていますので、引き続きみなさま方のご支援をお願いできましたら幸いです。

本日は本当にありがとうございました。

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