2020年2月18日に行われた、株式会社グローバル・リンク・マネジメント2020年度中期経営計画説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社グローバル・リンク・マネジメント 代表取締役 金大仲 氏
AGENDA
金大仲氏:中期経営計画に関しては、4つの点についてご説明します。1点目が策定の背景と目的、2点目が中期経営計画概要、3点目が具体的施策、4点目が中計の先を見据えてです。
これまでの振り返り
さっそくですが、1点目からご説明します。1点目、策定の背景と目的についてです。これまでの振り返りをします。当社グローバル・リンク・マネジメントは、不動産のソリューション事業およびプロパティマネジメント事業を提供することによって、この15年間、着実に収益の基盤を確立していきました。
業界トップクラスの供給戸数
創業から約十数年間を土台固めフェーズとし、上場を期に国内の発展フェーズに移ったと考えています。その結果、新築の投資用不動産マンションの供給数において業界トップクラスとなることができました。
本中期経営計画の計数目標
社内でアッパーを350パーセントに規定しています。ROEも25パーセントから30パーセントを維持するという目標を掲げています。
事業KPIに関しては、販売戸数、供給戸数、賃貸管理戸数、パイプライン資産規模を指標に掲げています。
供給戸数は1,100戸、年平均成長率で20.7パーセント、そして経常利益に関しては30億円、年平均成長率30パーセントを達成、実現していきたいと考えています。
本中期経営計画目標の2つの柱
本中計の目標数値をどのように達成していくのかをブレイクダウンした表が14ページに載っています。2つの柱の1つ目が「既存事業の拡大と強化」で、これはレジデンス(における戦略)です。今まで当社が扱ってきたマンション事業を拡大・強化していきます。
下の数字を見ていただきますと、450億円の売上のうち約420億円が不動産ソリューション事業です。そのうちレジデンス(1棟販売)の実績は今期の68億円から2022年12月期には156億円となる計画で、250億円から450億円へと上がる売上約200億円のうち87億円と、約半分弱を占めています。
レジデンス(区分販売)に関しては、今まで当社の主力でありコツコツと着実に積み上げてきたビジネスチャネルになっています。こちらに関しても実績は2019年12月期の117億円から156億円と、38億円の増収を考えています。
レジデンス海外向け販売は海外投資家に向けた販売で、1棟販売と区分販売に分かれます。こちらは2019年の売上高実績25億円に対して61億円と、35億円の増収を考えています。
そして、非レジデンスに関しては売上高実績14億円から47億円と、プラス30億円以上をこの中計で考えています。
既存事業の拡大強化
それでは、どのように中計の数字を達成していくのか、具体的な施策をご説明したいと思います。
当社は本中計で事業を拡大するにあたり、機会と脅威があると考えた上で施策を考えています。機会に関しては取り組み、脅威に関しては対応しています。
機会への取り組みに関しては、レジデンスで大幅な売上のアップを考えています。まず「3チカ物件」の戦略を圧倒的に継続していくことを考えています。また、1棟販売強化による早期の事業規模拡大、区分販売における個人投資家向け商品ラインナップの拡充、そして海外投資家向け商品の開発・提供……現在「団扇−UCHIWA−」事業というサービスを展開していますが、こちらも拡大していきたいと思っています。
脅威に関しては、対応として土地所有者への直接アプローチや財務強化、市況分析の強化、社会信頼性の向上等を図りながら対応していきたいと思っています。
レジデンス(マンション) ー1棟・区分販売ー
それではまず、既存事業を拡大していくなかでどのような商品があるかということについて、簡単に当社の「アルテシモシリーズ」というマンションをご紹介します。
当社は「アルテシモシリーズ」という単身世帯用のマンションを展開しています。この商品には3つの特徴があり、まず1つ目は東京の「3チカ」物件にフォーカスしているということです。東京は人口の流入が長期に見込めるため、単身世帯をターゲットに住居をつくっていきます。
「3チカ」というのがポイントです。「3チカ」は「駅からチカい(近い)」「都心からチカい(近い)」「高いチカ(地価)」という特徴からそう呼んでいます。この「3チカ」に対して、さらに開発を強化していきたいと思っています。
コンパクトマンション中心についてです。あくまでも単身世帯用の25平米から50平米のマンションに特化して拡大していきます。
高い入居率についてです。2019年を入れて6年連続で入居率99パーセント超えを達成しています。
外国人・留学生向けマンション ー海外投資家向けー
そしてこの「アルテシモシリーズ」のマンションには、昨年に展開した「団扇−UCHIWA−」というサービスを付加しています。これはとくに外国人や留学生向けの入居者のマンションになっており、投資家に関しても外国人の投資家に販売チャネルを広げています。
特徴は、1部屋に2名で住んでいただくということで収益性を上げているという点です。また、入居時に保証人が必要ありません。1棟すべてが留学生用のマンションになっているため、保証人がいらないということです。そして、家具・家電がついており即入居できるという点が社会的なニーズに非常にマッチしています。
そして、当社が提供する「社会からのニーズに応えるサービス」の1つだと自負しています。
販売チャネルの強化-1棟- 計画
これらレジデンスの商品を販売するための3つの販売チャネルをご説明したいと思います。
まずは1棟販売の販売チャネル強化です。本中計でメインとして考えているのは、1棟販売の増加です。販売計画は2019年の実績である5棟の約68億円の売上を、2022年には約10~12棟販売し156億円までもっていきたいと考えています。因みに、2020年12月期に関しては約9棟の販売で130億円の売上を計画しています。
ちょうど2019年に当社が1棟販売のチャネルを強化したことによって、ここで一気に加速していきたいと考えています。
そのためにはまず、仕入れを強化する必要があり、開発体制の強化として人員の補強を行っています。2019年には9名だった仕入れ・開発部隊を、2022年までに約3倍まで増やしていきたいと考えています。
販売チャネルの強化-1棟- 施策
1棟販売チャネル強化のための施策をご説明したいと思います。直近の販売実績により、アルテシモシリーズの開発規模に応じた販路先への販売を推進していこうと考えています。
事業会社、不動産会社、私募ファンド、REIT、J-REITへの販売を拡大していきたいと考えています。また、富裕層を扱う金融機関向けのARTESSIMO Premium Investment(API)と連携して、富裕層獲得に向けたチャネルも強化していきたいと思っています。
規模に応じて販路を確立しているという点が特徴的です。10億円程度だとだいたい30室前後か30室未満の規模なのですが、これはAPIを通して個人投資家に普及していきたいと思っています。
10億円から30億円だと30戸から60戸規模のマンションで、ここは当社のアルテシモシリーズの一番のボリュームゾーンになっています。こちらは事業会社、不動産会社、私募ファンド、私募REITなどに販売していきたいと思っています。
30億円以上、60戸以上の規模のマンションになりますと、J-REITというようなチャネルを考えています。
販売チャネルの強化 -区分- 計画
区分販売チャネルの強化についてです。区分販売に関しては、創業からずっとコツコツと実績を積み重ねてきまして、現在は多くの投資家の方々がいらっしゃいます。販売計画としては、2022年までに460室を区分販売していきたいと考えています。
そのために現在39名の営業人員を70名まで増加させたいと考えています。
販売チャネルの強化 -海外投資家向け- 計画・施策
基本的に当社の投資家の方に向けた区分販売の経路は2つです。1つは新規投資家(への販売)です。Web集客やデジタルマーケティングによる集客でセミナーに来ていただき契約するという流れと、既存のお客さまからご紹介いただくという流れが新規の流れになっています。
そしてもう1つはリピート投資家、こちらが約50パーセントというような構成になっています。新規の投資家を獲得するために、セミナーを開催していますが、2019年までに約3,000名を超える個人投資家の方に、セミナー参加いただきました。
これから2020年までに7,000名を超える投資家の方に参加いただけるようにデジタルマーケティングを起用しながら、セミナーを開催していきたいと考えています。また、リピート投資家を増やすためにもさまざまなニーズに適した運用プランを提案しています。
販売チャネルの強化 -海外投資家向け- 計画・施策
そして販売チャネルの強化の3点目、海外投資家向けです。こちらの計画と施策をご説明します。海外投資家に関しても基本的にはセミナー、もしくは紹介というかたちで新規のお客さまが増えています。
セミナーは国内で毎月開催しています。海外でのセミナーも開催しており、過去の実績では北京、上海、深圳、香港等でセミナーを開催、または参加しています。
右側上のグラフは海外投資家向けセミナーの参加者数なのですが、2019年の段階で約860名の参加をいただいています。そしてその参加者数を、2022年までに2,800人に増やす計画です。
販売計画は右側下のグラフです。2019年の79室という販売数を2022年には180室に増やすというかたちになっています。今期に関しては74室という計画を立てています。
昨年より数字的には若干落ちるのですが、これは「団扇-UCHIWA-」を導入しようと思っている2棟に関しての戸数です。それ以外に、海外投資家にはホテル等のレジデンス以外の商品の購入を検討していただいているという状況です。
レジデンス販売先別目標数値
レジデンス販売先別目標値です。当社は1棟販売、区分販売、そして海外の投資家への販売という3つのチャネルを強化することによって、販売計画としては2022年に1100戸(の販売)を成し遂げたいと思っています。
コンプライアンス体制の強化
続きまして、脅威の部分に対して当社の対応をご説明します。コンプライアンス体制の強化です。昨今はローンの不祥事問題等が不動産業界を非常に賑やかせています。
当社としては、個人向けの不動産販売における営業部門と管理部門を完全に独立させ、不動産の融資申し込み時に営業部門と金融機関の直接のやり取りをゼロにする体制を構築しています。
最終的に営業マンとお客さまが結託して不正をするということまでを完全に排除することはできないかもしれませんが、法務と内部監査室をもって徹底的に体制等のチェックをして、そもそも不正ができない管理体制を整えています。
不動産価格変動への備え
そしてもう1点、脅威に対する備えとして、不動産価格変動への備えです。リーマンショック以降の10年間、不動産の価格は約15パーセント上昇しています。当社は今後の不動産価格下落リスクに備え、パイプラインの残高に対するストレスチェックを実施しています。
大幅な販売価格の低下があった際に財務安全性を維持するため、資産を保有できるよう社内であらかじめシナリオを策定し、下落幅に応じて臨機応変に対応することを考えています。
具体的には、前期の経常利益をベースにストレスチェックを実施して、販売予定のパイプライン試算の規模に対し経常利益を損益分岐点とした運営方針を定め、経常赤字を未然に防ぎ、株主資本の毀損とリスクを回避していこうと考えています。
ある程度価格の下落が始まったら保有することによって物件の収益を得て、また価格が上昇した時に物件を売却するという体制を整えていきたいと考えています。
非レジデンスでの収益基盤確立 商品ラインナップの拡充
具体的施策②です。具体的施策の②に関しては、レジデンス以外の商品の開拓と、それらの商品ラインナップを拡充していきたいと考えています。2本目の柱を作るというように考えています。
新規投資用不動産開発① -1棟販売-
まず1つ目は、2020年にオープンする商業テナントビルの開発販売です。Frame(フレーム)というブランド名を付けています。こちらは30坪程度の敷地面積から開発可能な小規模な商業テナントビルです。
開発エリアは都心5区に限定し、1棟あたりだいたい5億円から20億円の価格になっています。開発期間はだいたい1年から1年半と、マンションの開発より若干短くなっています。
新規投資用不動産開発② -1棟販売-
2つ目がホテルの開発です。こちらも今年オープンします。THE RESITEL(ザ・レジテル)というブランド名を掲げています。こちらの特徴としては、長期滞在可能なマンション型の家具家電付きの中小規模のホテルであるという点です。
キッチンを配備し、ランドリースペース等も確保して、長期滞在していただく国内外のビジネスマン対応のホテルを考えています。開発エリアは都心5区で、こちらも1棟あたり5億円から20億円くらいの規模を考えています。開発期間は1.5〜2年と、マンションと同じぐらいの期間を考えています。
新規投資用不動産開発③ -1棟販売-
そして3つ目が、オフィスリノベーション事業です。こちらに関してはまだ着手していません。ただ、この中計中に手がけていきたいと考えています。
中規模のオフィスに注力していきたいと思っています。開発エリアはこちらも都心5区、開発規模も5億〜30億円程度で考えています。
こちらはすでに建っている中古物件のリノベーションなので、開発期間は半年から1年を想定しており、非常に足の早いビジネスモデルだと考えています。
新規投資用不動産開発・販売計画
これらはいずれも1棟での売却を考えています。1棟での売却のチャネルはどうするかというと、レジデンスで今までつくってきた1棟の販売チャネルをそのまま使っていきたいと思っています。
売上の計画は、レジデンス以外の実績として14億円とあるのですが、2022年に関しては47億円、約50億円の売上の計画を立てています。
現在のパイプラインとして、資産規模は3つの商業テナントビル、そして1つのホテルとなっています。
現在のパイプライン一覧(供給戸数確定分)
現在のパイプラインです。2020年と2021年にはこのようなパイプラインがございます。
株主還元
続きまして、株主の還元についてです。2022年12月期までに配当性向30パーセントを目標に上げていきたいと思っています。
この中計を作るにあたって、2020年12月期から配当性向を26.5パーセントに上げ、できるかぎり一部上場企業としてしっかりと株主還元します。加速度的に企業価値を高めていきたいという想いから、株式の配当性向30パーセントを1つの目安としています。
配当性向以外にも株主優待として100株以上の株主にクオカードを配布しています。また、長期的成長の実現のために柔軟な配当政策を今後計画していきたいと思っています。
中長期の成長イメージ
最後に「中計の先を見据えて」というお話をします。中期長期的なイメージの話です。今回中計を策定するなかで、2020年から2022年はこちらの表によるとステージ1の段階になります。
ステージ1の段階では既存事業、とにかくレジデンス、マンション事業で新築投資用不動産供給戸数No.1を目指して達成していきたいと思います。
そのことにより当社が新築のマンションに関してプレゼンスをとって、そこからさらに加速できるような状況を確立したいと思っています。そして、商品ラインナップを拡充し、2本目の新たな柱をつくるというのがこのステージ1です。
ステージ2になりますと既存事業の拡大・強化を更に継続・加速させていき、商品ラインナップも拡大・強化します。そして、ステージ2の段階では建築事業の内製化、ファンドの組成も考えています。
ステージ3に関しては、グローバルカンパニーへの挑戦、そしてファイナンス事業への進出を考えています。
長期展望①テクノロジー・データの活用
長期展望についてです。当社は、土地所有者、不動産投資家、入居者等に、AIによってさまざまなデータを最適なかたちで提案する仕組み・サービスを展開していきたいと考えています。
長期展望②不動産ソリューションの海外展開
また、これも長期的な展望ですが、当社の培った不動産ソリューション事業を海外に展開していきたいと考えています。
企業理念
最後に、「不動産を通じて豊かな社会を実現する」という新たなる企業理念のもと、お客さまおよび社会の豊かさに貢献し、不動産ソリューション事業を拡大して、投資用不動産業界のリーディングカンパニーを目指していきます。どうぞ今後ともよろしくお願いします。
以上をもちまして、中計の説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。