2019年12月12日、IDC Japanは2020年の国内IT市場で鍵となる技術や市場トレンドなど主要10項目を発表しました。

それによれば、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)への投資は継続し、自社に本当に必要なDXや従来の情報システムとの連携も含めた全体最適の動きが強まる、とのことです。

ただ、多くの中小企業経営者にとって、DXが現実的な課題として認識されているのかという疑問が残ります。そこで今回は、中小企業経営の観点からDXについて考えてみたいと思います。

話題のDXとは

最近、中小企業経営者の間でも話題となっているDXについては、経済産業省によるDX推進ガイドライン(2018年12月発表)で以下のように定義されています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

元々、この概念は2004年にウメオ大学(スウェーデン)のエリック・ストルターマン教授が提唱したものです。ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる、といったものです。

では、長年、中小企業も含め様々な業界で取り組まれてきた「IT化」とは何が違うのでしょうか。

おそらく、単なる「IT化」との大きな違いは、「データとデジタル技術の活用」により「ビジネスモデルを変革して競争上の優位性を確立すること」にあると思われます。