専業ファンドリーの三重富士通セミコンダクター(MIFS)が2019年10月から、台湾UMC傘下のユナイテッド・セミコンダクター・ジャパン(USJC)として、新たにスタートした。日本国内に300mm工場を有するという地理的なメリットに加え、独自の超消費電力プロセスなどを武器に、さらなる顧客開拓に努めていく。

10月に台湾UMCの100%子会社に

 USJCはもともと、富士通の半導体事業における主要工場として機能。その後半導体事業の分社化などを経て、14年からMIFSとして事業を展開していた。UMCとの提携は、同社が14年にMIFSに資本参加することを発表して以降関係を深めていき、19年10月にUMC100%出資の子会社となった。

 三重工場は1984年に開設。04年には300mmウエハー対応の第1棟(B1棟)、06年には第2棟(B2棟)が建設された。それぞれクリーンルーム面積はB1が1.7万㎡、B2が2.2万㎡。製造プロセスは90/65/55/40nmに対応しており、現状の生産能力は月産3.5万枚となっている。40nmプロセスはUMCから技術移管されており、UMCがもともと保有する40nmとコンパチブルなものとなっている。

超低消費電力や不揮発性メモリーなど独自技術保有

 UMCにとって、今回USJCをグループに加えたことで、300mm工場は台湾、中国、シンガポールをあわせて世界4カ所での生産体制となった。各300mm工場はそれぞれ役割が異なっており、台南にある「Fab12A」と中国・厦門の「Fab12X」は28nm世代に代表されるように、主にアドバンスドプロセスを追求していく。一方、シンガポールの「Fab12i」は高耐圧や不揮発性混載プロセスなど、300mmのなかでもスペシャリティープロセスを中心にラインが構成されており、USJCも今後同様の役割を求められることになりそうだ。

 実際にUSJCには富士通時代から、独自のプロセス技術を多数保有しており、ファンドリー事業を展開するうえで大きな特徴となっている。超低消費電力CMOS技術の「DDC(Deeply Depleted Channel)」もその1つ。同技術はプレーナー型CMOS構造のチャネル部分に不純物濃度の異なる複数の層を形成することで、不純物ばらつきの影響を低減できる。これにより、電源電圧のさらなる低減が可能になるという。また、IDM時代に培ったメモリー技術を基に、埋め込み不揮発性メモリーのラインアップも提供可能だ。

国内の営業体制も再編

 今後同社では新規顧客の開拓に向けて、営業活動の強化も進めていく。現在国内の営業体制は従来のUMCグループジャパンとUSJCの営業グループで分散しているが、近いうちにこれを集約。営業リソースの最適化を進めていく考え。

電子デバイス産業新聞 副編集長 稲葉 雅巳