「因果応報」「親の因果が子に報う」という言葉があります。果たしてこれは本当なのでしょうか?今回は、かつていじめっ子だった人たちが親になったとき、どのような心境なのか…リサーチしてみました。

彼女たちは今、昔の自分の罪を悔い、我が子がその報いを受けないだろうかと戦々恐々としているのか。それとも過去のことなど忘れて、子どもに「いじめは絶対にいけないこと」としたり顔で説いているのでしょうか…?

かつて私は「いじめっ子」でした

今回お話をお伺いしたのは、小学2年生の女の子の母親、A子さん(43歳)。A子さんは中学校時代、ひとりのクラスメートに執拗ないじめを“していた”…と告白してくれました。

「きっかけは些細なことでした。中学2年生の時、私の好きだった男の子が、クラスメートのSちゃんに片思いをしている…という噂を耳にしたこと。Sちゃんは、いつも『Aちゃんは可愛いし、人気者だよね。私なんか全然目立たないから』『Aちゃんには本当、憧れてるの』と私のことを持ち上げるような発言を繰り返していました。中学のとき、確かに私はクラスでも中心的な存在。みんなが憧れている上級生から告白されたこともあり、自分でも目立った存在だということは自負していたんです」

「放課後Sさんと男子生徒が教室に残っていた」「Sさんと男子生徒が授業中、目配せで合図を送っていた」などという噂が飛び交うたびに、否定も肯定もせず、恥ずかしそうにほほ笑むSさんに、Aさんは次第にいら立ちを覚えるようになったのです。「Sちゃんは私の好きな人を知っていたんです。それなのに…。私はSちゃんに馬鹿にされているような気がしてなりませんでした」

AさんはSさんに報復を決意。最初はグループ内の無視から始まります。それがだんだんエスカレートしてクラス全体で無視。Sさんの席を廊下に出したり、Sさんがトイレに入っているときに、上からホースで水をかけたり、体操服を隠したり…。「当時はSちゃんが私のことを馬鹿にしたのだから当然の報いだ、と思っていました。Sちゃんが謝ってきたら許してあげようと。でも、彼女は決して謝らなかった。今思うと当然ですよね、悪いことしていないのだから。でも当時はそれがまた腹が立って…」

中学2年、3年とSさんをイジメて過ごしたAさん。卒業文集に、Sさんは一言「面白くなかった」と残したのだそうです。Aさんは、当時から自分はイジメをしている、という自覚はあったのだそう。しかし、担任の先生も見て見ぬふり、クラスメートもみんな自分に同調してくれる、それに何よりSさんをいじめることによってストレス解消になっていた…いろいろな要因が重なり、「悪いことをしている」という感覚は皆無に等しかったのだ、と言います。

我が子への想い