今なぜ駐車場ビジネスが注目されるのか。パーク24の事例をストック思考で紐解く

Ned Snowman / Shutterstock.com

皆さんは駐車場が今さらのように注目されているのをご存知ですか。100年に一度の移動革命が起きていると言われ、完全自動運転車も10年先にはチラホラ見かけるようになるだろうと思います。シェアカーの普及で車が減るのは確実ですが、さてその先はどうなるのか? こういう長期的な変化の時がビジネスチャンスです。

そんな移動革命のなかで、駐車場という古いビジネスに新しい役割が生まれる予感があります。たとえば、今までは単なる車置き場でしかなかったところが、シェアリングの時間貸しは当たり前で、コンテナ倉庫や電気自動車充電のスポットになったり、電動キックボードの基地、キャンピングカーを置いて一人オフィスにするなど様々な使い方の提案が出てきています。

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そこで、今回はコインパーキングの最大手パーク24の事例解読レポートのエッセンスを紹介し、そこにある「ストック思考」を紐解きます。

「貸す」分野におけるストックビジネスの先行者、パーク24

MaaS(Mobility as a Service、サービスとしてのモビリティ)などに代表されるように、いまや移動というものの概念が変わろうとしている歴史的タイミングです。そうした社会状況を背景にパーク24は高い評価を得ています。

同社は1971年に先代社長が「ニシカワ商会」として創業し、当初は「駐車禁止」の看板を販売。1991年には日本初の24時間無人時間貸し駐車場を開始しています。

駐車場というのは「貸す」という意味ではストック性が高いのですが、なかなか付加価値のつけにくい単一機能の商材です。この「貸す」分野で付加価値を創造しストックビジネスの仕組みを生み出し、先行者となるとどうなるのかという意味で同社は好例です。

ストックビジネスは誰にでもチャンスはありますが、同じきっかけに遭遇してもストックビジネスになる要素に気づくかどうかが分かれ道になります。たとえば、違法駐車という世の中のお困りごとに気づいた場合に「ああ、これはビジネスチャンスだ」と気づく方は大勢いるはずです。つまり需要は間違いなくありそうだと思うわけです。

すると、その需要をとらえるために提供する機材やサービスが必要となり、それを生み出すことで新しいサービスが生まれます。ローテクですが創業の「違法駐車看板」も違法駐車をさせない商材の一つ、一時的な駐車をする場所を増やすこともその一つです。

そうして生まれたのがコイン式駐車の機械です。これで、需要があるところに供給するものは整いました。実はストックビジネスの事業者になるかどうかはここからがポイントなのです。

需要をとらえた後の事業の分かれ道とは?

ここで一つ質問です。以下の2つの道のうち、あなたならどちらを選びますか?

  1. コイン式駐車の機械をつくるメーカーになり、機械販売で収益を得る
  2. コイン式駐車場の運営者となり、利用してもらうことで収益を得る

短期的には1. の機械を「売る」方が儲かるでしょう。しかし、2. の「運営」のように、最初の利益は少なくても、継続する価値の対価として収益を得るほうが儲かる可能性があります。

ただし、その条件は長期的にその事業がつづけられること、つまり需要が枯れないことです。言い方を変えると長期的に車が増え続けることが重要になります。

ストックビジネスを作る方法は、「需要」と「供給」が確実にあることを確認したら、「立ち位置」をどこにするかで決まります。それは、長期的に価値を提供して、お客様が継続的な価値を享受する立ち位置です。

その立ち位置を決める際には、ストック思考の「長期的視点」を使いリスクを見極めます。だから最初はあまり儲からなくても、この場面はどんどん突き進んでいっても必ず利益は最大化できるという経営判断になるのです。

あとはチューニングを繰り返していく、つまり新たな技術を取り入れ収益力をより強くしていくわけです。この点、パーク24はまさにチューニングを続けて常に業界を先行してきています。

おわりに

最後にもう一つ忘れてはいけないことが、ストックビジネスでは先行者メリットが大きいということです。ストックビジネスは一度稼働すると収益を生み続けるので、時間がどんどん味方になります。利益を生む土台の上にまた新しい利益が重なるように増えて行く、まるで複利のようなイメージです。

パーク24は機械販売から始めたものの運営者に立ち位置を定め、その後、常に先行者のメリットを生かす経営をしています。以上、「月刊 事例解読レポート」のパーク24の事例ダイジェストでした。ぜひ、このヒントを経営にお役立てください。

※「月刊 事例解読レポート」はストックビジネスアカデミーの会員限定レポートです。

大竹 啓裕

参考記事

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大竹 啓裕
  • 大竹 啓裕
  • 株式会社ハッチ・ワーク 代表取締役会長兼CEO

福島県出身、株式会社ハッチ・ワーク 代表取締役会長兼CEO、株式会社ストック総研 取締役会長
20代はセコム株式会社にて理想的なストックビジネスの原点を経験、その後、30歳でラーメンFCチェーンの創業メンバーとして参画、ラーメンFCとしては全国一位となる約300店のストックビジネスモデル構築の原動力となる。
40代は(株)ハッチ・ワークにて貸会議室「アットビジネスセンター」や月極駐車場探し「アットパーキング」にて国内オンリーワンのサービスを次々開発して事業拡大する。これまでの新規事業立ち上げは20事業以上。
経営者塾ストックビジネスアカデミーではストックビジネス構築を指導。
近著に『ストックビジネスの教科書』(ポプラ社)、『ストックビジネスの教科書 プロフェッショナル』(ポプラ社)がある。

 

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