いまどき日本で終身雇用なんてありえませんが、終身雇用という言葉がなくならないという点で、日本ではいまだに終身雇用制度に対する期待と幻想が入り混じっていると感じています。

もちろん、大企業の役員クラスやオーナー企業経営陣は、結果的に終身雇用的に扱われる例も多々ありますが、そうした事例は今や希少事例ではないでしょうか。40代後半にもなれば「たそがれ研修」に招集され、「出向」や「転籍」を余儀なくされるのが当たり前の時代なのですから、すでに終身雇用は終焉しているのです。

一方、アジアでは若い頃から転職が当たり前となっています。欧米の労働者(少なくとも筆者が籍を置いたことのある欧米系金融機関)は昔から転職が普通のことで、旧植民地としてその欧米の労働文化を引き継いでいるアジア各国の労働者も、好条件を求めての転職が日常茶飯事です。

給料の高いところに転職するのが当たり前

もちろん筆者がすべてのアジア諸国の労働事情を知ることはできませんが、かつて欧米系金融機関で一緒に働いたアジア諸国の同僚からは、彼らの仕事(job)に対する考え方がよくわかります。それは一般的な日本人労働者とは真逆の考え方です。

それは、「給料の高い会社に転職する」です。

こう言ってしまえば身も蓋もありませんが、会社に対する忠誠心も感謝もお金次第なのです。もちろん、その会社にいる限りしっかり仕事はするのですが、昇給や昇格の見込みがない限り、すぐ転職をしてしまいます。

筆者の経験でも、昨日まで一緒に働いていた同僚から「今日が◯◯社での最後の日となりました。いままでありがとうございました」といったメールを何回受け取ったか分かりません。

もちろん、自己都合なのか会社都合なのかは分かりませんが、少なくともアジアの同僚はだいたい3〜4年毎に転職していた感じです。まれに5年以上同じ会社に在籍する社員もいますが、その社員でさえ次の転職先を念頭において働いている猛者なのです。

加えて、転職先があるということは労働市場で価格がついているということで、特に若手から中堅層の流動性は日本とは比べ物にはなりません。日本でも転職エージェントが増えてきて、人材の流動性は徐々に上がってきていると推察されますが、アジアほどドライな転職市場にはなっていないでしょう。

アジアの平均労働時間は日本より長い