トランプ大統領誕生から早3年、株式相場は上昇が続いている

2016年11月に行われた米国大統領選挙において、大方の事前予想を覆してトランプ氏が当選してからもうすぐ3年になります。お忘れになった方も多いかと思いますが、当時、もし、過激な選挙公約を掲げていたトランプ氏が当選すれば、金融市場は大荒れになって株安・円高が一気に進むという“もしトラ”(もしもトランプが当選したならば…)が危惧されていました。

ところが、いざ当選すると、トランプ氏の掲げていた過激な選挙公約の中にあった超大型減税や異次元の公共投資拡大がポジティブに取り上げられ、過去最高を次々に更新する米国株式市場の上昇が続き、日本を含む世界的な株高がもたらされ現在に至っています。

この大統領選後の株式相場高騰は「トランプ相場」、あるいは「トランプラリー(Trump Rally)」と称されています。

「トランポリン相場」と揶揄される昨今の株式市場

ところで、ここ最近、あえて具体的に言うならば今年5月以降に、「トランプ相場」の代わりに使われているのが「トランポリン相場」という呼称です。

実は、「トランポリン相場」という言葉自体は、昔からごく普通に使われています。その「トランポリン」は、五輪競技にもなっているトランポリン(Trampoline)のことで、株価が上下に激しく動いて、最終的に落ち着くまで時間を要するという意味があります。日本では一時期“バンジージャンプ相場”などとも称されました。

ただ、昨今使われる「トランポリン相場」は、トランプ大統領のスペル(President Trump)と融合させた新たな造語「トランポリン相場」(Trumpoline Market)となっています。TrampolineではなくTrumpolineということです。

トランプ大統領のツイート「トランプ砲」で株式市場は右往左往

従前からある「トランポリン相場」が、トランプ大統領と掛け合わせて使われている理由は、ズバリ、トランプ大統領の言動によって金融市場(主に株式相場)が大きく変動していることに他なりません。特に、トランプ大統領によるツイッターでのツイートは、“トランプツイッター砲”(トランプ砲、Trump Bazooka)として、既に株式市場では有名です。

実際、このトランプ砲によって、株式相場が大きく動くケースは珍しくなく、とりわけ、今年5月以降は顕著です。振り返ってみると、5月の10連休明けから始まった株式市場の大幅調整、8月上旬の急落調整もトランプ砲から始まりましたし、足元の株価回復の切っ掛けもトランプ砲でした。

いつの間にかトランプ砲を予想する丁半博打に

こうした状況を背景に、世界中の投資家が日夜休むことなく、トランプ大統領のツイートに注目しているのが現状です。

ただ、AIを駆使して瞬時の乖離(価格差)を取りに行くハイテクトレーディングならともかく、そのような“武器”を持たない個人投資家もトランプ砲で右往左往しているのは、少なからず異常と言えましょう。“次はどんなツイートが出てくるか”を予想するという、株式投資とはおおよそ無関係のことに注目しているのです。ハッキリ言うと、これは丁半博打に近いものがあります。

一方で、“トランプ砲で株価が乱高下している事実がある”という意見もあるでしょう。本当でしょうか?「乱高下」の定義にもよりますが、トランプ大統領のツイートで株価が乱高下するものなのでしょうか。

“トランプ砲で株価が乱高下”は本当なのか?