相手をバカにしたり嫌味を言ったり、人格を否定するような言動を「モラルハラスメント(モラハラ)」と言います。人格だけでなく、容姿や能力を否定することも同様です。

職場でのモラハラやパワハラはメディアでもよく話題になりますが、実は家庭という身近な場所にもモラハラは潜んでいます。「きっとストレスが溜まっているだけ…」「自分のダメなところを指摘してくれているだけ…」そんな風に思っているあなた、実は夫や妻からモラハラを受けているのかもしれません。

「精神的虐待」が離婚理由の上位に

まずは司法統計年報から、『平成29年度婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別』を見てみましょう。すると、夫および妻からの申し立て動機による婚姻事件数は以下のようになっています(カッコ内は件数)。

【妻からの申し立て事由】
1位 性格が合わない(18,864)
2位 生活費を渡さない(13,820)
3位 精神的に虐待する(12,093)
4位 暴力を振るう(10,311)
5位 異性関係(7,987)

【夫からの申し立て事由】
1位:性格が合わない(11,030)
2位:精神的に虐待する(3,626)
3位:その他(3,545)
4位:異性関係(2,547)
5位:家族親族との折り合いが悪い(2,463)

妻からの申し立て事由における性格の不一致や生活費の問題は昔からよく聞くものですが、「精神的に虐待する」は3番目に多く、「暴力を振るう」を上回っています。一方、夫からの申し立て事由でも「精神的に虐待する」が2位となっています。

実は、平成24年度の統計では、妻からの申し立て事由における「精神的に虐待する」は4位で、2位の「暴力を振るう」よりも下位でした。夫からの申し立て事由でも、「精神的に虐待する」は4位で、平成29年の統計よりも下位に位置しています。

精神的虐待が世の中に認知され始めたこともあるでしょうが、身体的な暴力以上に言葉や心の暴力が近年増加傾向にあるようです。

「その通り」ならモラハラにならないのか?

以前より認知度が上がってきたとはいえ、自分がモラハラを受けているかどうか判断するのは難しいのではないでしょうか。

たとえば、家事は女性がすることが多いですが、全員が得意なわけではありません。料理が苦手な人、掃除が苦手な人もいるでしょう。それでは夫に、「お前の料理はまずい」「部屋が汚い」と言われたらどう思うでしょうか。逆のパターンでは、妻から「男のくせにそんなこともできないの」などと言われた夫はどうでしょうか。

苦手なことに関して言われたら、「確かにその通りだから仕方ない」と考える人もいるでしょう。それがモラハラではないと思い込んでしまう理由かもしれません。しかし、いくら本当のことであっても、受けた本人が心に傷を負うようなものであればモラハラになる可能性があるのです。

判断が難しいのであれば、他の人に置き換えてみましょう。近所の人や友人、仕事関係の人に対しても同じような言い方をするでしょうか? 「家族だから」と家庭内だけで暴言を吐いたりするのであれば、やはり問題が存在すると考えられるでしょう。

モラハラの原因はストレスだけではない