2016年10月31日に行われた、日本電気株式会社2016年度第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:日本電気株式会社 執行役員社長兼CEO  新野隆 氏

2016年度第2四半期累計期間 決算概要

新野隆氏:社長の新野でございます。本日はお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。それでは、2016年度第2四半期累計期間上期の決算概要についてご説明申し上げます。

最初に上期の実績をご報告いたしまして、続いて、年間の業績予想、最後に4月に発表させていただきました、2018中期経営計画の進捗の状況についてご説明を申し上げます。

上期の実績は、7月末の時点の想定と比べまして、売上収益は弱かったものの、営業利益、当期利益はおおむね想定通りでございました。年間の業績予想については、変更はございません。

上記概況サマリー

では初めに、決算の概要についてご説明申し上げます。(スライド)4ページ目、上期実績の全体像を最初にご説明申し上げます。

売上収益につきましては、エンタープライズが増加しましたけれども、パブリックやテレコムキャリアが減少し、全体では前年同期比で減収となりました。

営業利益につきましては、エンタープライズが増加しましたけれども、テレコムキャリアやその他事業が減少し、前年同期比で減益となりました。

当期利益につきましては、Lenovo社との合弁会社の株式の一部譲渡に伴う譲渡益を約200億円計上しまして、さらに、第1四半期の実績でご説明申し上げました、日本航空電子工業を子会社化することを意思決定したことに伴う一過性の税金費用の減少分、約60億円程度でございますが、この寄与もありまして、前年同期比で増益となりました。

上記実績サマリー

(スライド)5ページ目をご覧ください。数字でご説明を申し上げます。

上期の売上収益は1兆2,011億円。営業利益は37億円。税引前利益につきましては、126億円。当期利益は131億円となりました。

フリーキャッシュフローにつきましては、470億円の収入となりまして、前年同期比に比べると376億円の改善となりました。これは、Lenovoの株式等の売却による収入増などによるものでございます。

セグメント別上記実績サマリー

上期の業績につきまして、セグメント別にご説明を申し上げたいと思います。(スライド)6ページ目でございます。上期の実績をセグメント別に表にしたものでございます。

前年同期比でエンタープライズが、増収増益となりましたけれども、その他のセグメントにつきましては、減収減益となりました。なお、表の(スライド)左側でございますけれども、第2四半期7〜9月の3ヶ月間では、パブリックが減収ではありますが増益。

それから、システムプラットフォームが増収増益ということで、1Qはかなり厳しい業績でございましたけれども、少し2Qになって上向いてきたということが言えるかと思います。

続いて、その中身についてご説明申し上げます。(スライド)7ページ目がパブリックでございます。売上収益につきましては、官公向けで前年同期にありました大型の売上が減少したこと、また、公共向けの消防・救急無線のデジタル化の需要の一巡によりまして、減少したことにより、前年同期に比べまして、16パーセント減少の2,821億円となりました。

なお、ITサービス関連が約10パーセントの減収、社会インフラ関係が約30パーセントの減収となりました。

営業利益につきましては、費用の効率化やIT関係の不採算案件の抑制などによりまして、売上が減少したことによりまして、前年同期比にくらべて約10億円減少の134億円となりました。

(スライド)8ページ目、エンタープライズです。売上収益につきましては、製造向けが堅調に推移したことなどにより、前年同期比に比べまして5.8パーセント増加の1,552億円となりました。

営業利益は、売上の増加に加えまして、システム構築サービスの収益性の改善などによりまして、前年同期比に比べて、33億円改善の132億円となりました。

続いて、テレコムキャリアです。売上収益につきましては、国内外の通信事業者の設備投資が低調に推移したこと、また、海外ビジネスでは円高で約150億円の影響を受けたことによりまして、前年同期に比べて、13.8パーセント減少の2,829億円となりました。

営業利益につきましては、売上の減少に加えまして、円高の影響を受けたこともありまして、前年同期比に比べて、85億円減少の43億円となりました。

(スライド)10ページ目、システムプラットフォームです。売上収益につきましては、昨年の第1四半期にサーバー関係の大型案件があったことなどから、ハードウェアが減少しまして、前年同期に比べて2.3パーセント減少の3,398億円となりました。

営業利益は、売上が減少したことによりまして、前年同期に比べて14億円減少の78億円となりました。

(スライド)11ページ目、その他の実績でございます。売上収益につきましては、携帯電話の端末事業をシステムプラットフォームに移管した影響に加えまして、スマートエネルギー事業の減少などにより、前年同期に比べて、6.8パーセント減少の1,411億円となりました。

営業損益につきましては、売上の減少などにより、前年同期に比べて、47億円減少の72億円の損失となりました。

当期利益増減(前年同期比)

(スライド)12ページ目、当期利益までの増減につきましては、営業利益が減少しましたけれども、金融損益等、その他法人所得税費用がそれぞれ改善いたしました。

金融損益等につきましては、金融費用で為替差損が悪化しましたけれども、金融収益で関係会社の株式売却益などがあり、全体では81億円の改善となりました。

法人所得税費用につきましては、117億円の改善となりましたが、その中には、第1四半期の実績でご説明申し上げました、日本航空電子工業を子会社化するという意思決定をしたことに伴う一過性の税金費用減少分が約60億円程度含まれてございます。

これらの結果、当期利益の合計では、前年同期に比べまして、45億円改善の131億円となりました。

業績予想サマリー

続きまして、年間の業績予想についてご説明申し上げます。(スライド)14ページ目でございます。

年間の業績予想は、冒頭に申し上げましたけれども、計画から変更はございません。当期利益500億円を達成し、6円配当の継続を実現したいと考えております。

年間予想における変動要因

(スライド)15ページ目は、年間予想における変動要因をあげてございます。アップサイド、ダウンサイド、それぞれあると思いますけど、主なポイントとして、大きく3点を記載させていただいております。

これらは、業績に影響を与えるものとして今後きちんと見極めていきたいと考えております。

1点目、レノボ社との合弁会社の株式の売却益です。これは、すでに、上期実績には約200億円が計上されましたが、これは年間予想には織り込んでおりません。

2つ目は、5月末に発表させていただきました、日本航空電子工業に対する公開買付けです。現在、実施に向けた準備を進めておりますが、本日時点ではまだ開始時期はまだ未定でございます。こちらも年間予想には織り込んでおりません。

3つ目は、今後の事業の進捗です。上期までの実績も踏まえまして、各セグメントごとの主な変動要因の見極めをきちんとやっていきたいと考えてございます。

中期経営方針

続いて、中期経営計画の進捗についてご説明を申し上げます。(スライド)17ページ目、これは4月にご説明した、中期経営計画における経営方針でございます。

課題を踏まえた変革を実行して、社会ソリューション事業への注力を継続するということで、大きく2点。収益構造の立て直しと成長軌道への回帰。この2つの取り組みについて、この上期での進捗状況をご説明申し上げます。

課題事業・不採算案件への対応

(スライド)18ページ目、まず収益構造の立て直しの1つ目。課題事業・不採算案件への対応の状況でございます。

まず、スマートエネルギー事業につきましては、足元の事業環境が電力会社の投資抑制、あるいは、競争の激化、さらには、補助金の打ち切りに伴う小型蓄電の需要の減少と、当初の想定に対して厳しいものとなりました。

この結果、上期のスマートエネルギー事業の売上収益は、前年同期比で50億円の減収、損益も20億円の悪化となりました。こういったなかで、上期の取り組みの状況でございますが、まずリソースの最適化ということを目指して、人員シフトをやっております。

上期では、約100名の人員シフト、これはグループ内でのシフトを行っております。下期も引き続きシフトを進めて、年間では前年度末の比率で15パーセントの人員の削減を計画しております。

さらに、国内の電力会社向けの事業を10月1日付でパブリックに移管いたしました。電力会社をお客様とする事業体を集約して強化をしてまいります。

小型蓄電ビジネスにおきましては、ハードウェアの自主開発の見直しの検討を進めております。

次に、不採算案件の抑制でございますが、この上期でIT関係の不採算案件が前年同期比で約50億円改善をいたしました。引き続き、新規案件の発生の予防強化に継続して取り組んでまいりたいと考えております。

業務改革推進プロジェクト

続いて(スライド)19ページ目、収益構造立て直しの2つ目、業務改革推進プロジェクトの進捗状況でございます。これは、子会社でありますNECマネジメントパートナーを核に全社で推進をしているところでございます。

まず、スタフ業務のワンマネジメント化。これは、NEC本体に加えまして、国内の関係会社のスタフ業務の集約を今進めておりまして、全体の90パーセントの進捗、現在、4,300名の体制になってございます。

さらに、ITマネジメントの一元化ということで、NEC、それから関係会社のIT資産約200億円をNMPに集約して一元管理をしております。

それから、海外の現法のスタフ業務の集約・共通化ということで、一部、中華圏ですでに進めておりますが、これを他地域に拡大するということで、国内外並行して進めてまいります。

2つ目、ワンマネジメン下での改革ということで、これは1つに集めたことによって、さまざまな横断的なテーマで、現在、業務改革の活動をしております。今、35テーマでいろいろ活動をやっております。

それから、とくに我々が得意としております、AIの技術、あるいは、ロボットを活用した業務の効率化。これは、主にコールセンターの業務、あるいは、定型業務の自動化に使われますけれども、こういったものも含めてさらに効率化を進めてまいりたいと思っています。

それから、10万人の働き方改革ということで、これはNMPのなかで、いろんな改革で成功した事例を、例えば、営業プロセスの生産性の向上、あるいは、その他のライン業務のプロセスにそれを展開して、グループ全体での効率化をさらに図ってまいりたいと考えております。

これは、中期経営の3ヶ年の目標として、スタフ業務の効率化で250億円、経費、IT費用の効率化で100億円、合計350億円の効果額というのを、この中期経営で計画をしておりますけれども、この上期でほぼ想定通りの約60億円の効果が実現いたしました。

内なる努力として、我々自身がしっかりとこの取り組みを積み上げて、効果を刈り取ってまいりたいと考えております。

開発・生産機能の最適化

(スライド)20ページ目、収益構造の立て直しの3つ目。これは本日発表をさせていただきました、ハードウェアの開発・生産体制の最適化でございます。

これまでNECはとくにネットワーク系の工場の統合、これは3工場の統合を2011年、2014年には、IT系の会社4社の統合ということを進めてまいりましたが、今回、ネットワーク系、IT系を統合した会社を、来年4月1日付で再編・統合しようというものでございます。

ここ(スライド)に書いてあります4社(NECプラットフォームズ、NECネットワークプロダクツ、山梨日本電気、NECエンジニアリング)プラス、日本電気通信システムの通信機の開発部門の一部門を統合していこうというものでございます。

この施策によりまして、もともとこの施策については3ヶ年で100億円の効果を出そうということが中期経営の目標でございましたけれども、この本施策によりまして、これは来年度、再来年度の2ヶ年で効いてくる施策でございますが、この施策によって、17年度、18年度の2ヶ年で約50億円の効果を刈り取っていきたいと考えております。

セーフティ事業への取り組み

続いて(スライド)21ページ目、ここからは、もう1つの経営方針、成長軌道への回帰の取り組みについてご説明を申し上げます。

まず、私どもの注力事業の1つであります、セーフティ事業でございます。セーフティ事業につきましては、体制強化への取り組み、あるいは、具体的事例の獲得などの進展がございました。

まず1点目は、ブラジルのITのセキュリティ企業Arcon社を買収しまして、今後、ブラジルでのITセキュリティ事業の拡大が推進できるということでございます。

2つ目、インドの個人認証ID制度に、我々の生体認証システムが貢献している。コロンビアのサッカースタジアムに映像監視システムを提供している。南オーストラリアの州警察に顔認証システムを提供している。

それから、バイオメトリクスの北米の拠点を、今回、ワシントンDCに設立をいたしました。最近では、オーストリアにセキュリティの監視拠点を設立して、グローバルな監視の体制を整えようということをやってございます。

当社の強みでございます認証技術、そして、セキュリティオペレーションセンターの運用ノウハウ、あるいは、政府等への納入実績をフルに活用しまして、さらなる安全安心の確保に貢献するとともに、この事業の拡大を加速してまいりたいと考えております。

AI(人工知能)の取り組み

22ページ目は、これはセーフティ事業も含め、いろんな先進の分野を支えるAI、人工知能に関する取り組みの一部をご紹介させていただきたいと思います。

この上期には、私どもが誇る世界ナンバーワン、あるいは、世界オンリーワンの最先端のAI技術部を「NEC the WISE」というブランドで発表させていただきました。

これは、いろんなデータの見える化、そしてそれを分析して少し先を予測して対処していくという、この一連の流れのなかで、私どものAI技術を活用して新たな社会価値を創造しようというものでございます。

さらに、AIを活用した、少し将来の価値創造・創出に対しては、大阪大学様、産業総合研究所様、そして東京大学様、いろんなところと共創をしながら、いろんな活動を進めております。

とくに、最近話題になっております、脳型コンピュータの研究ですとか、産総研様とは、自然災害等の非常にデータの蓄積が少ないものでも、シミュレーションとAIを融合した、新しい人の意思決定支援をやるようなシステム。そして東京大学様とは、これは最終的な社会実装をやるためのいろんな倫理、法制度、それから人材教育等、非常に幅広い範囲で共創活動を進めております。先端分野を支える高度なAI技術の開発および活用をさらに加速してまいりたいと考えております。

SDN/NFVの取り組み

23ページ目は、注力事業の1つでございます、グローバルキャリア向けネットワーク事業におけるSDN/NFVの取り組みでございます。

これまでなかなか、PoC(実機検証プログラム)はたくさんやっておるんですが、なかなか商用に結びつかないということでございましたけれども、この上期、ようやく進展があったと考えております。

ちょうど(スライドの)世界地図に丸が書いてあるところ、欧州、それから中近東、それから北米でティア1のオペレーターから5件のSDN/NFVの商用案件を獲得することができました。

申し訳ございませんが、まだお客様の名前は申し上げられませんけれど、5件の商用案件の獲得ということで、これからNFVの勢いに弾みがつくと期待をしております。

今回この案件が進んだというのも、1つはここに書いてございます、AVPと言っていますが、ソリューション体系の「Agile Virtualization Platform and Practice」といったものをネットクラッカーと共同で開発して、これを適用した効果だと考えております。

キャリアによる迅速な新サービスの導入のサポート、それから、その導入効果の見える化、さらにはコンサルティングの提供などにより、市場の立ち上がり、あるいは、事業拡大にさらにつなげていきたいと考えております。

GE社とのIoT分野における包括的な提携

(スライド)24ページ目は、(10月)26日に発表させていただきました、GE社とのIoT分野における包括的な提携についてのご紹介でございます。

これは、9月末にNECは「NEC the WISE IoT Platform」ということで、我々独自のIoTのプラットフォームを持っているわけなんでございますけれども、今回のGEとの提携というのは、大きくこの4つを意識したものでございます。

1つは、IoTのエコシステムを実現するということで、これは我々のサプライチェーンの中にですね、GEのIoTプラットフォームでありますPREDIXを導入する。あるいは、日本国内向けの共同マーケティングをやるといったようなことが入っております。

これは、いろんなIoTプラットフォームを我々がSIをしながら、お客様に対して一番いいソリューションを提供するという、そういったものの1つにこのGEのPREDIXを活用しようということでございます。

それから、両社のテクノロジーの融合によるIoT分野での新たな価値創造ということで、私どものNEC the WISE、こういったものの一部を彼らのマイクロサービスの中に埋め込む。そういったことも検討していきたいと思います。

それから、PREDIXの日本国内におけるサポート・トレーニング体制。これを我々がやっていこうということ。

そして、一番大きなところは、非常にITに強いNEC、OTに強いGE、この両社が組むことによりまして、サイバーセキュリティ領域でソリューションの開発、あるいは、マーケティングの推進を両社でやっていこうということでございます。

この提携を通しまして、日本企業向けのIoTソリューションの開発、導入、運用、保守にいたる一環した体制を構築してまいりたいと考えております。

当期利益500億を達成して6円配当を継続

最後でございますが、今年度ものこり5ヶ月となりましたが、上期の結果をしっかりと振り返って、これまで以上に取り組んでいきたいと考えてございます。

中間配当につきましては、見送りとさせていただきましたけれども、年間では、期初計画の当期利益500億円を確実に達成して、6円の期末配当を継続して実現していきたいと考えております。

以上で決算概要のご報告を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

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