2017年2月7日に行われた、旭硝子株式会社2016年12月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:旭硝子株式会社 常務執行役員CFO 宮地伸二 氏

2016年12月期 決算概要

宮地伸二氏(以下、宮地):CFOの宮地でございます。さっそく2016年の通期についてご説明いたします。まずは5ページをお願いします。

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決算の概要でございます。売上は前年から437億円減収の1兆2,826億円となりましたけども、為替の影響が1,000億円ほどございまして、これがマイナスに効いております。

これを除きますと、実質的には増収ということでございました。主な増収の要因でございますけども、化学品、および自動車用ガラスの出荷数量増によるものでございます。

営業利益は963億円。前年比で251億円。比率にいたしまして、35パーセントの増益となりました。とくにガラスや化学品が大きく伸びました。

増益要因につきましては、後ほど詳しくご説明いたします。親会社の所有者に帰属いたします、通期の純利益でございますが、474億円となりまして、45億円の増益となりました。

増益の主な要因は営業利益の増加に加えまして、主に子会社の一部で、業績回復に伴います、繰延税金資産の積み増しができまして、法人税と調整額の戻りが生じたものでございます。

セグメント別営業利益推移

6ページは年度ごとのセグメント構成別の移り変わりを示しております。

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化学品は過去最高益を更新し続けておりまして、ガラスも大きく業績を回復させました。電子セグメントも減益幅が縮小いたしました。結果といたしまして、3セグメントはバランスよく稼げるという構成になったと思っております。

16年のセグメント別の営業利益でございますけど、中期経営計画のなかで当面の目標は、ガラスは5パーセント、電子化学品は10パーセントと置いておりますけど、2016年の結果では、ガラスは4.7パーセント、電子は9.7パーセント、化学品は12.6パーセントということで、おおむねこの当面の目標も達成しつつあると思っております。

四半期営業利益推移

7ページでございます。第4四半期の営業利益についてご説明いたします。

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営業利益は341億円でございまして、前年同期、前四半期と比較しましても、いずれも大幅増益となりました。

前四半期との比較におきましては、すべてのセグメントで増益。とくに化学品セグメントの増益が大きく寄与いたしました。

ガラスセグメント 営業利益推移

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続きまして、セグメントごとのご説明をいたします。まずはガラスでございますが、第4四半期のガラス市場の営業利益は87億円になりました。

これは子会社の年金制度の改定益、オイルヘッジ等、25億円程度の一時的な利益を含んでおります。前年同期比では自動車用ガラスの出荷数は増加、欧州建築ガラスの値上げ等により、増益となっております。

前四半期比では、フランスの原発一時停止ということと、欧州の寒さが厳しいということから、一時的に天然ガス価格が上昇いたしまして、実質減益となっております。

電子セグメント 営業利益推移

続きまして電子セグメントでございます。

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第4四半期の営業利益は、85億円となりました。前年同期比では出荷数量の増加、コストダウンによりまして、大幅増益となっております。

前四半期比では、スマホ用の電子部材の出荷量増加により、増益となっております。

化学品セグメント 営業利益推移

化学品ですけども、第4四半期の営業利益の推移は過去最高168億円となりました。

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前年同期比では主に、クロール・アルカリ製品の出荷数増加によりまして、増益となりました。

前四半期では各種製品の出荷量増加、クロール・アルカリ製品の売値改善によりまして、大幅増益となりました。

通期業績の主要項目

では、決算の主要項目でございます。

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売上高、営業利益は冒頭のご説明のとおりでございます。税引前利益ですけれども、これは15年に計上いたしました年金制度改訂益。これが361億円ございましたが、これがなくなったことによりまして、減益となりました。

当期純利益につきましては、先ほど申し上げました法人税と調整額の減少もありましたことから、増益に転じております。

結果、営業利益率は7.5パーセント。ROEは4.3パーセントと向上いたしました。為替レート、原油価格はご覧のとおりでございます。

連結純損益計算書

損益計算書でございます。

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これはスライドの右下に注記がございますが、売上における為替の影響は、第4四半期でマイナス245億円、通期ではマイナス978億円でございました。

その他収支は四半期でマイナス146億円、通期ではマイナス275億円となりました。

通期、マイナス275億円の内訳ですけども、事業構造改善費用が113億円。これは主に、ガラスハードディスクからの撤退、および特殊ガラス等の構造改善をした結果でございます。減損損失は103億円となりました。

これは主にソーラー用のガラス基板の減損、損失が主なものでございます。その他、マイナス59億円となりました。

通期の法人税費用は142億円となりました。これは15年は税率変更によりまして、繰延税金資産を一部取り崩しましたことと、税効果を適用できない事業構造改善費用を計上したことによりまして、法人税と調整額が多くなりましたけども。

16年は収益を改善したために、繰延税金資産を計上したことによりまして、法人税費用が少なくなったということでございます。この結果、累計の親会社の所有者に帰属する当期純利益は474億円になりました。

営業利益増減要因分析(前年同期比)

13ページで営業利益の増減要因分析をご説明いたします。

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まず第4四半期の前年度同期でいいますと、140億円の大幅増益となりました。これはすべてのセグメントでの出荷増、原燃材料やコストダウンがありまして、液晶用ガラスの価格下落がありましたものの、大きく増益となりました。

数量構成差はプラス79億円でございまして、海外のクロールアルカリ事業、液晶用ガラス基板、自動車用ガラスの出荷が増えております。

売値差はマイナス72億円です。これは欧州建築ガラスの値上げ効果がありましたけれども、液晶用ガラス基板、円高の影響を受けたフッ素事業等がマイナスでございました。

原燃材料価格差はプラス65億円ということで、重油を中心に各種の原燃材料価格が下落したものでございます。コストその他差はプラス68億円。液晶用ガラス基板のコストダウンが大きく寄与しております。

営業利益増減分析(前四半期比)

続きまして、前四半期との比較でございます。

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前四半期も119億円のプラスということになりました。数量構成差はプラス34億円です。これは化学品はどの事業も数量が増加。日ア(日本とアジア)の建築用ガラスおよび自動車用ガラスも数量が増加しております。

売値差はプラス38億円でございますが、クロールアルカリ製品、電子部材の売値改善等によるものでござます。原燃材料価格差はマイナス3億円で大きな動きはございません。コストその他はプラス49億円です。化学品や自動車用ガラスでコストダウン効果がでました。

営業利益増減要因分析(前期比)

続きまして、通期の対前年比較でございます。

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販売価格の下落を、コストダウン、販売数量増、原燃材料価格下落等でカバーいたしまして、251億円の増加となりました。数量構成差プラス110億円ですけれども、主なものは日本、アジア、欧州の自動車用ガラス、化学品の海外クロールアルカリ事業、液晶用ガラス基板などでございます。

売値差はマイナス307億円でして、液晶用ガラス基板の価格下落、円高の影響もありまして特殊ガラスの価格も下落いたしました。なお、建築用ガラスにつきましては、欧州を中心にすべての地域で売値差プラスとなっております。

原燃材料価格差はプラス300億円でございまして、重油を中心に各種原燃材料価格は下落したことによるものです。その他コスト差は148億円のプラス、大きなものは電子セグメントのコストダウンでございます。

連結財政状態計算書

16ページはバランスシートでございます。

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前期末のとの比較でポイントのみご説明いたします。資産は現預金が増加いたしました。円高の影響により棚卸資産が減少。円高や減損などにより有形固定資産が減少となりまして、差引き98億円減少いたしております。

有利子負債の合計は、返済および円高もありまして348億円減少いたしました。結果、D/E比率は0.37ということになりました。

連結キャッシュフロー計算書

キャッシュフローはご覧のとおりでございます。

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営業キャッシュフローは2,036億円、投資キャッシュフローは1,136億円、フリーキャッシュフローは900億円ということになっております。

設備投資・減価償却等

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設備投資は1,260億円。主なものはインドネシアでの化学品の発電所の建設。同じくインドネシアの自動車用ガラス設備の移設、ディスプレイの中国移設などでございます。減価償却費、研究開発費はご覧の通りでございます。

ガラスセグメント(1)

ここからは、セグメント別・地域別の状況をご説明いたします。

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まずはガラスです。累計の売上は6,800億円で129億円の減収となりましたけれども、これはドル、ユーロに対して大きく円高に振れた振れたことが主な要因でありまして、この為替の影響を除けば500億円程度の増収となっております。

営業利益は四半期で87億円、累計で318億円。いずれも前年比で増益となっております。増益の大きなドライバーとなりましたのは、欧州の建築用ガラスの値上げ浸透、数量増、自動車用ガラスの日ア、欧州での数量増でございました。

ガラスセグメント(2)

ガラス事業のトッピクスです。

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北米での建築用ガラスにつきましては、引き続き好調に推移しておりまして、価格は10パーセント程度上昇いたしました。欧州の建築用ガラスにつきましても、出荷数量は西・中央で前年比横ばい、東欧では一桁後半パーセントの増加となりました。

このタイトな状況を受けまして、この第4四半期のクリアフロートの価格ですけれども、前年同期比較で中西欧で10パーセント強、東欧では50パーセント強ということで上昇いたしました。

自動車用ガラスにつきましては、南米、ロシアで自動車生産台数は減少いたしましたけれども、欧州、中国、北米で生産台数が増加しましたことから通期の当社売上も前期比で増加しております。

電子セグメント(1)

次に電子でございます。

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売上は、第4四半期687億円、通期で2,581億円でした。営業利益は第4四半期85億円、通期で250億円となりました。

対前四半期での増益理由ですけれども、スマートフォン部材の数量が増加したものによるでございます。

また液晶用ガラス基板の価格はやや下がりましたけれども、出荷数量はほぼ横ばいでした。コストダウンを含めますと、ほぼ横ばいの利益となりました。

液晶用ガラス基板の第4四半期の動向ですが、数量は引き続き旺盛な需要が継続しまして、前四半期比でほぼ横ばいとなりました。

電子セグメント(2)

16年の電子セグメントの主要動向ですけれども、テレビ用は期の前半に市場在庫が増加したということで、パネル生産台数が前年割となりましたけれども、一方でガラスの大型化が非常に進みまして、またそれに加えて、スマホの中型パネルの大型化もありまして、面積ベースでは、前年比1桁半ばパーセントの伸びとなったと推測しております。

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価格の下落は年間約10パーセントということで、前年と同程度の値下げ幅ということになりました。

またディスプレイ用特殊ガラスのうち、ドラゴントレイルの16年の出荷数量ですけれども、中国市場での販売数は伸びましたけれども、全体では減少ということになりました。

ソーラー用ガラスにつきましては、出荷が大幅に減少いたしました。

電子部材につきましては、下期から数量が増加してきましたけれども、通期では前年比減少ということになりました。

地域別業績 前年同期比較

29ページは、地域別業績前年同期比較です。

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アメリカが通期で前年から18億円改善いたしまして、64億円の黒字ということになりましたけれども、年金制度改定費が23億円ほどございましたので、実質的にはやや減益ということでございました。

ヨーロッパは107億円の改善でございまして、これは主に建築用ガラスの値上げ浸透、自動車用ガラスおよび建築用ガラスの数量増によるものでございました。

2017年 通期業績の見通し

33ページをご覧ください。

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ここからは今期の通期業績の見通しでございますけれども、売上高は1兆3,500億円、前期比で674億円の増収を見込んでおります。増収の主な要因は、化学品のインドネシアの能力増強が今年はフルに効いてくること、16年の末に買収を決定しました新たな企業が連結に加わるということから、化学品が主な要因となります。

営業利益は1,050億円、前期比87億円増を見込んでおります。引き続きガラスセグメント、化学セグメントが増益、電子セグメントもいよいよ減益トレンドに歯止めがかかることを見込んでおります。

2017年 通期業績の見通しの主要項目

34ページですけれども、売上高は上期6,500億円、下期7,000億円。営業利益は上期450億円、下期600億円を見込んでおります。その他収支は−100億円を予定しております。2016年は−275億円でしたので、175億円費用の減少を見込んでおります。

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16年比で大きく減少しておりますけれども、大きな構造改善がようやくひと段落したというところでございます。

一株あたりの配当金は前期から2円増配し、年間20円とする予定でして、この株主還元につきましては後ほどご説明いたします。

為替レートの前提はご覧のとおり、価格につきましても需給状況からさらにマイルドになると見ております。

当面の第1四半期でございますけれども、数量は前四半期で春節などの影響により1桁半ばパーセントの減少、近年の価格については、最も小幅な下落ということになると見ております。

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最後に化学品でございますけれども、化学品のインドネシアの能力増強がフルに効いてきますので、それに加えまして、フッ素製品も出荷数量増、昨年買収した企業の貢献、コストダウン等によりまして、過去最高益の更新を見込んでおります。

設備投資・減価償却費・研究開発費

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最後でございますが、設備投資の予定は1600億円です。主な投資は、化学品のインドネシアの子会社での自家発電設備建設、電子部材関連、新製品等でございます。

減価償却費は1,300億円。研究開発費は昨年より30億円増の425億円の予定となります。私からの説明は以上です。

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