2017年11月8日に行われた、D.A.コンソーシアムホールディングス株式会社2018年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料

スピーカー:D.A.コンソーシアムホールディングス株式会社 代表取締役社長 島田雅也 氏

2018年3月期第2四半期決算のポイント

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島田雅也氏:それでは、スライドに基づいて第2四半期の決算説明を行いたいと思います。

まず決算概要です。2Q累計売上高は934億24百万円。営業利益は35億30百万円とそれぞれ2ケタの増収増益です。

前年はDAC(デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社)連結、今期はD.A.コンソーシアムホールディングスということですけれども、ほぼ同じスキームでやっておりますので、売上高は前年比19パーセント増。営業利益は前年比1.7倍ということで、上期としては過去最高額です。

インターネット関連事業は、DAC・アイレップ・ユナイテッドをはじめ、 グループ各社が好調に推移し、2Q累計売上高は前年比19.5パーセント増、売上総利益は前年比24.4パーセント増と、利益率の向上を達成できました。5月開示の業績予想に対し、引き続き順調に進捗していると認識しております。

連結決算ハイライト

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連結決算ハイライトです。2Qも継続して2ケタの増収で、2Qの営業利益は前年比1.6倍となりました。売上総利益率の向上に対し、販管費率は維持しましたので、オペレーティングマージン率が累計で8.2ポイント向上しております。

通期業績予想の進捗率

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通期業績予想の進捗率です。先ほど申し上げたように、5月開示の通期業績予想では売上高2,000億円超、営業利益72億円、経常利益72億円と発表していますが、これに対して45〜50パーセントぐらいの進捗で、順調だと考えています。

売上高の推移

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売上高の推移です。インベストメント事業の寄与率というのは、売上においてはほとんどありませんので、基本的にはインターネット関連事業が伸びているということになります。

売上総利益の推移

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売上総利益の推移です。こちらにおいては、ややインベストメント事業が出てくるのですけれども、基本的には、粗利においてもインターネット関連事業の貢献が大きいと言えると思います。

博報堂DYグループ向け売上高

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主要顧客である博報堂DYグループ向け売上高です。

(売上は)前年同期比で124.7パーセントという数字になっています。その他が113.5パーセントですので、その他の広告会社についても伸び率はあるものの、やはり博報堂DYグループが好調で、牽引したということになると思います。

販管費の推移

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販管費の推移です。売上高販管費率は第2四半期で9.7パーセントということで、少し下がったように見えております。役職員数は着実に、500名弱伸びています。

成長への先行投資として、これからさらに人員の増強等を行なっていきますが、基本的に10パーセントを切るぐらいの販管費率で収まっているということが、営業利益等が好調な要因の1つにもなっているかと思います。

営業利益の推移

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営業利益の推移です。第2四半期で20億円を超える営業利益が出ております。オぺレーティングマージン率は31.1パーセントということで、かなり高い水準になっております。

こちらにつきましては、効率化の影響が多少あると見ていますけれども、一方で、人員等についてはまだまだ増加していかなければいけないという認識もございます。ただ、総じて高い比率を維持できるのではないかと思っております。

EBITDAの推移

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EBITDAの推移です。減価償却費およびのれん償却費が前年同期比で微増ですが、EBITDAについても順調に増加しています。

貸借対照表

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貸借対照表です。若干の変動はあるのですが、季節性による売上や支払い原価の変動ということで、売掛金・買掛金の減少、長期借入金の減少がございます。

キャッシュ・フロー計算書

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キャッシュ・フロー計算書です。無形固定資産についてはシステム開発関連、有形固定資産等については、関西オフィスの移転などが中心で、それほど特筆すべきことはありません。

主なグループ会社の動向

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主なグループ会社の動向です。DACグループ、アイレップグループともに、ほぼ堅調な動きを示しております。全体感として、売上高、営業利益ともに上向きです。

北京DACについては、特定クライアントの動向が大きく、現状苦戦中です。ただし、新たな差別化要素を構築中でして、次の期でクライアントを取り戻すことができれば、上向きになってくるかと思っています。

D.A.コンソーシアムホールディングスの事業領域

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広告事業の動向に入りたいと思います。D.A.コンソーシアムホールディングスの事業領域は、ホールディングスが親会社としてございまして、DACグループは媒体社・広告会社に向き合うパートナービジネスを担っております。

アイレップグループはクライアントビジネスとして、広告主の対応事業を行っています。

インベストメント事業をやっているのは、DACと株式会社ユナイテッドとなっております。

事業領域別の状況

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事業領域別の状況ですが、インターネット関連事業の中を、パートナービジネスとクライアントビジネスに分けています。基本的には、パートナービジネス側がDAC中心、クライアントビジネス側がアイレップ中心となります。

前年同期比で言うと、パートナービジネスが売上合計で123.9パーセント。売上総利益合計で145.4パーセントと、大きな伸びになっております。

一方でクライアントビジネスは、売上は前年同期比106.8パーセント、売上総利益で95.0パーセント。相関比較で言うと、クライアントビジネスの伸び率が低い、ないしは前年を切っているように見えるところがございますが、これには2つほど理由がございます。

1つは、アイレップの比較期間が、前年は1月から6月、今年は4月から9月ということで、比較の前提が違うということ。

もう1つは、今期、事業連携をすることによって、一部事業の粗利がパートナービジネスに寄っているような構造になっております。それによって、クライアントビジネスが、若干パートナービジネスと比較すると低く見えています。

【補足】 旧アイレップの取扱い額推移

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ただし、アイレップグループを旧来の事業指標に直した場合に(取扱い額の推移が)どうなるかというのを、こちらのページにお出ししております。

もし、去年の統合前のかたちのままだと想定すると、今年(2017年)の第2四半期累計でいうと、前年(2016年)の第2四半期累計と比して120パーセント(で成長している)ということになり、伸びています。

インターネット関連事業 スマートデバイス広告の売上高推移

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それから、インターネット関連事業の中で、スマートデバイスということに注目してきたわけですが、やはり順調に伸びております。

これについては、後ほどご説明しますが、コミュニケーションメディア等の影響が大きいのかなと思っています。

インターネット関連事業 広告取引手法別およびソリューションの売上高推移

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それから続きまして、広告取引手法別およびソリューションの売上高推移です。ソリューションは堅調に推移しております。また、広告の部分は予約型・運用型に分けております。

そして、折れ線グラフが運用型広告比率です。やはり運用型広告に偏るという傾向はあまり変わらずに、61.4パーセントという比率になっています。

ただし、資料をご覧いただくと、前年の第2四半期から運用型広告の売上がだいぶ伸びているわりには運用型の比率が上がっていない。つまり、(資料のグラフの)ちょっと色が薄い部分の予約型広告がけっこう伸びているということで、予約型・運用型の双方が伸びているということが、今回インターネット関連事業が好調だったことの背景にあるんじゃないかなと思っております。

インターネット関連事業 運用型広告の売上高推移

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それから、運用型広告の中での売上高推移です。今四半期ではDSP/SSP、あとSNSですね。ここが、やはり伸びてます。

サーチも伸びてはいるのですけれども、それに比してDSP/SSP・SNSというあたりが、かなり伸びている。

あとは、ディスプレイネットワークも着実に伸びているということで、総体的には全領域において伸びているということが、運用型広告の状況です。

パートナービジネス 業種別売上高(メディアサービス)

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パートナービジネスにおける業種別売上高です。元々シェアが大きい情報・通信。それから、自動車・関連品。ここの伸びが、この四半期はかなり大きいです。

これは、先ほど申し上げた博報堂DYグループの比率がかなり伸びたと。売上高がかなり伸びたと申し上げました。そういうこととの連関があるのかなと思っております。

博報堂DYは自動車のシェアがかなり高いので、自動車(・関連品の売上高)が堅調に伸びているということが、ここから言えるかと思います。大きな金額を持っている上位シェアの会社が、大きく(売上高を)伸ばしていただいたというのが、ここの状況です。

パートナービジネス 注力メディア売上高推移(メディアサービス)

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それからメディアサイドで、注力メディアとしてキュレーション・コミュニケーションメディアを挙げております。

キュレーションメディアは前年より伸びているのですが、(それ以上に)やはりコミュニケーションメディアが非常に大きくなってきております。ここには、LINE・Facebook・Twitter・Instagramといったメディアが入るわけです。ここの伸び率が、非常に大きいということがあります。

ここの(コミュニケーション)メディアは同時に、動画とかそういったものを盛んに取り入れておりますので、動画の拡がりで(コミュニケーションメディアの売上に)つながっているということが言えると思っております。

パートナービジネス 動画広告売上高推移(メディアサービス)

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続いて、その動画のお話です。この中で見ていただきますと、全体的には伸びています。伸びている中で、(2018年3月期第2四半期の棒グラフに)「18.2」という数字が見えると思います。これが、インフィード/インリードです。

インフィード/インリードというところで言うと、先ほどのコミュニケーションメディアのFacebook・Twitter・Instagram等がここに入りますので、これによる(売上高の)牽引がけっこう大きくなっているということが言えると思います。

もちろん、青いところのインストリームとか(黄色いところの)インバナーもそれぞれ、前年からするとかなり大きく伸びているんですけれども、インフィードの寄与がかなりあると思っております。

クライアントビジネス 商品別売上の成長推移

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それから、クライアントビジネスのアイレップサイドで、商品別ではどうなってきているか。全体ではサーチ広告も伸びているのですが、基本的にはやはり、ディスプレイ広告が伸びてきている。

とくにこの中で言うと、ソーシャルメディア、SNSですね。この売上が、だんだん伸びてきているということです。

ですので、Facebook・Twitter・LINEとか、そういったものが幅広く伸びてきているというところが、特徴です。

クライアントビジネス 業種別実績構成比

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それから、クライアントビジネスの業種別(実績構成比)です。元々(割合が)大きい交通・レジャーが引き続き大きな割合です。ただ、今期2Q累計で言えることは、情報・通信の割合が大きくなってきております。ここはゲーム系とか、そういったものが増えてきているということで、構成比が上がってきております。

特定の業種にあまりに偏りがあるかというと、代理店ビジネスでは時として偏るということがあるのですが、その偏りがない顧客基盤ということです。

これは前回も申し上げたのですけれど、パートナービジネス側では情報・通信は同じなのですけれども、自動車とかそういうものは、パートナー(ビジネス)側に多い。

それに対して、クライアントビジネスは、交通・レジャーとか外食・各種サービスとか、そういうものを手がけられているということで、バランスよく双方のスキームで顧客を得ているということが言えると思います。

2018年3月期方針

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今期の方針・トピックスについて、簡単にご説明したいと思います。

繰り返しになるのですが、今年は効率化によるシナジー効果ということで、事務所の再構成とかオフィス統合・システム代替による効率化(の実現)、ニアショア・オフショアの活用によるローコストオペレーションの徹底。

既存領域の競争力強化ということでは、運用体制やソリューションサービス体制の集約・最適化。アイレップは、クライアント向き合いのエージェンシー事業に特化し、収益向上を狙う。グローバルプラットフォームへの対応を強化して、サービス・プロダクトの充実による顧客対応力強化と。

成長分野への投資については、優良データホルダーとの連携強化など、データ利活用のさらなる促進。それからコンテンツマーケティングに関する取り組みの推進。グループ一体となったグローバル対応チームでのビジネス拡大。

コンテンツマーケティングについては、新たなプレミアムメディアと言いますか、優良なコンテンツと優良な広告を組み合わせ、高額の商品も含めて作っていくと。グローバルについては、収益貢献の強化ということをやっていきたいという狙いで、投資をしております。

2018年3月期2Qの取り組み①効率化によるシナジー効果

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効率化がどれぐらい行われているのかということについては、今の段階ではまだ「これだけ効率が上がりました」と言うことは難しいのですけれども、1つの試みとしては、先日アイレップで「アイクリエイティブデベロップメントセンター新潟(iCDC新潟)」を設立しました。

こちらは制作のための拠点ですけれども、たくさんのクリエイターを抱えて、クリエイティブ制作の効率化を図ろうということです。

それから計数的に言いますと、基本的には粗利の増加に比して、下にある重複上場の維持費用とか、前年の統合関連費用がなくなっているということについては、1つのコスト面での統合効果ということです。

あとは人件費や販管費の増加以上に、粗利が増加していると。こちらについては、多少生産性が向上している部分があると思っているのですけれども、売上ないしは売上総利益の伸びに比して、やはり人員数はまだ足りないのかなと思います。

少しひっ迫度合いが高いと思っていますので、まだ投資をしていこうと思ってはいますが、現状で言いますと、売上・粗利ほど人件費や販管費の増加がなかったということが、営業利益を押し上げている原因になっているということです。

2018年3月期2Qの取り組み②既存領域の競争力強化

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さらに既存領域の競争力強化ということで、2つほどご紹介したいと思います。1つは巷間で非常にテーマになっているインターネット事業ないしはデジタル広告の透明性なのですけれども、主としてAd Fraud、Brand Safety、Viewabilityという言葉が非常に頻繁に出てきます。

こちらについては、いろいろなテクノロジーであるとか、ソリューションないしは目視体制等を含めて、博報堂DYグループ一体で「Hakuhodo DY MQM_™」を提供開始しております。

クオリティのマネジメントをきちんとしていきましょうということで、対応を始めておりまして、種々の具体的な動きを取っております。

それからデータ連携で言いますと、日本発の最大のSNSであるLINEについて「AudienceOne®」とのデータ連携ができました。

「Data Provider Partner」ということで、これによって「AudienceOne®」のデータで作ったセグメントを、そのままLINEに配信できるという、特徴的な連携ができました。

各種プラットフォームにおいて、パートナー認定・各賞を獲得!

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各種プラットフォームにおいて対応を強めるという中で、DACと子会社のトーチライト、アイレップを通じて、LINE・Facebook・Twitter、Google・Yahoo! JAPAN・Criteo・Adobe Systemsといったところとのパートナーシップが進み、パートナー表彰やパートナー認定を受けまして、優先的な情報提供であったり、一部特定商材の独占的な供給ができる関係性になっております。

2018年3月期2Qの取り組み③成長分野への投資

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成長分野への投資ということで、データ流通推進については、データの流通を通して、ビジネス化していこうという動きもございまして、「データ流通推進協議会」の設立に発起人として参画させていただきました。

AI技術活用にも注目が高まっていますが、オープンイノベーションというかたちを取らせていただき、1つのLabを社内に設立しました。今、東大の先生方と「運用型広告の配信設定最適化」と「広告クリエイティブの最適化」におけるAI活用と、少し先の長い話になるかもしれませんけれども、このようなところの研究開発を試みております。

グローバルについては、タイのほうで、大手のMedia Intelligence社というインターネット広告企業と連携しまして、かなり強化をしました。これによりタイにおける売上が拡大してきております。

書いてはおりませんけれども、インドネシアについても、かなり堅調な結果になってきている状況です。

以上で第2四半期決算のご説明を終わります。ありがとうございました。

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