2017年4月27日に行われた、日本電気株式会社2017年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料

スピーカー:日本電気株式会社 執行役員社長兼CEO  新野隆 氏

2016年度 決算概要

新野隆氏(以下、新野):社長の新野です。本日は多数の方々にお集まりいただきまして、厚く御礼申し上げます。2016年度の決算概要についてご説明いたします。

まず最初に、2016年度の実績についてご報告いたします。この実績は今週4月24日に発表した業績予想の修正値から大きな変更はありません。続いて2017年度の業績の見通し、最後に中期経営計画の考え方についてご説明したいと思います。

2016年度 概況サマリー

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まず2016年度決算の概要です。売上収益は、エンタープライズが増加しましたが、テレコムキャリア、パブリック、その他が減少して、前年度に比べて減収となりました。予想比は150億円のマイナスとなりました。

営業利益は、テレコムキャリアやパブリックが減収しまして、前年度に比べて減益となりました。予想比は費用改善等の効果があり、118億円のプラスとなりました。

当期利益は、レノボ社との合弁会社の株式の一部譲渡に伴う譲渡益などで金融収益が増加しましたが、営業利益の悪化に加えて法人所得税費用が増加することになり、前年に比べて減益となりました。予想日は73億円のプラスとなりました。

期末配当は、本日の取締役会で、期初からお約束していた6円を決定させていただきました。

2016年度 実績サマリー

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2016年度の実績サマリーです。2016年度の売上収益は2兆6,650億円、営業利益は418億円、税前は681億円、当期利益は273億円となりました。

フリー・キャッシュ・フローは990億円の収入ということで、前年度比333億円のプラスとなりました。売上収益は計画比で150億円下回りましたが、営業利益、当期利益、フリー・キャッシュ・フローは改善されました。

セグメント別 2016年度実績サマリー

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2016年度のセグメント別の実績サマリーです。前年度比については、上から2番目のエンタープライズが堅調でしたが、テレコムキャリア、パブリックが大幅な減収減益となりました。続いて、セグメント別のご説明をしたいと思います。

パブリック

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7ページ目は、パブリックです。売上収益は、第4四半期から日本航空電子工業を連結子会社化いたしましたが、消防・防災などの公共向けを中心として減少しまして、前年度に比べて減収となりました。

営業利益は、売上減に加えて、不採算案件が発生した宇宙事業での採算性の悪化や偶発損失引当金の繰入等の計上などにより減益となりました。

計画比では、社会インフラ領域を中心に売上収益が下回りましたが、費用効率化の徹底により、営業利益は若干上回ることができました。日本航空電子工業の連結子会社化の影響は、売上収益で480億円、営業利益で30億円です。

エンタープライズ

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8ページ目は、エンタープライズです。売上収益は、流通サービス業向けは減収しましたが、製造業向けが堅調に推移して、前年度に比べて増収となりました。営業利益はほぼ前年並みということで、計画比でも前年並みとなりました。

テレコムキャリア

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9ページ目は、テレコムキャリアです。売上収益は、通信事業者の投資の停滞および円高の影響が約230億円あり、前年度に比べて減収となりました。

営業利益は、売上減に加えて、円高の影響、またSDN、NFVや5Gなど注力事業への投資増、海洋システムの工期延長によるコスト増などがあり、前年度に比べて減益となりました。計画比では海外での売上収益が若干下回りましたが、営業利益は約30億円の改善となりました。

システムプラットフォーム

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10ページ目は、システムプラットフォームです。売上収益は、前年にあったハードウェアの大型案件が減少したことや企業ネットワークの減少により、前年度に比べて減収となりました。

営業利益は、売上の減少などにより前年度比で減益となりました。計画比では、とくに4Qに自治体あるいは学校ICT向けの一過性の需要増などで、売上収益が上回りました。営業利益につきましても、売上の増加に加えて費用効率化等により、(計画比で)約60億円の改善となりました。

その他

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その他の事業です。売上収益は、国内の電力会社向けの事業を下期からパブリックビジネスユニットに移管した影響も含めて、スマートエネルギー事業が減少しています。

さらに携帯電話端末事業をシステムプラットフォームビジネスユニットに移管した影響などにより、前年度比で減収となりました。

営業損益は、海外事業における構造改革などにより採算性が悪化しましたが、スマートエネルギー事業の損益改善により、前年度比で改善となりました。計画比では、売上収益が海外事業を中心に下回りました。

当期利益増減(前年度比)

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当期(2016年度)までの利益の増減を表しています。金融損益等が改善しましたが、営業利益が減少し、法人所得税費用が増加しました。

金融損益等は、関係会社の株式の売却益あるいは日本航空電子工業株式会社の段階取得に係る差益の計上などにより、全体では311億円の改善となりました。

その他の法人所得税費用は、前年には私どもの子会社NECモバイルコミュニケーションズの解散、また同社に対する債権放棄に伴い、税金費用が240億円減少しましたが、今年度は日本航空電子工業を連結子会社化する意思決定をしたことに伴う一過性の税金費用の減少もありましたが、合計では301億円の悪化となりました。

その結果、当期利益の合計では、前年度比で486億円悪化の273億円となりました。計画比では、営業利益の改善により73億円のプラスとなりました。

業績予想における特殊要因(前年度比)

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続きまして、2017年度の業績予想についてご説明いたしますが、業績予想の数字をお示しする前に、前年度からの主な改善あるいは悪化の特殊要因について、どのようなものを織り込んでいるか説明させていただきます。

改善の要素ですけれども、16年度第4四半期から連結子会社となった日本航空電子工業株式会社の連結子会社化の差分の9ヶ月分が今年度プラス要素になります。

同社の会計基準は日本基準であるため、当社の連結業績予想ではIFRSベースに組み替えた上で売上収益がプラス1,800億円、営業損益はプラス70億円を織り込んでいます。

さらに2016年度に発生した不採算案件あるいは構造改革の費用、そして偶発損失引当金繰り入れ等の改善により、それぞれ90億円、80億円、60円の営業損益の改善を見込んでいます。営業損益は、全体で約300億円の改善が見込めると考えています。

一方、悪化の要因ですが、今年度は昨年のコンプライアンス違反による指名停止の影響が出てくることを想定して織り込んでいます。

売上では600億円、営業損益では150億円の悪化を今回の数字に見込んでいます。これは主にパブリックとシステムプラットフォームの2つの理由で数字を織り込んでいるものです。

また消去・配賦不能の中には、構造改革費用の織り込み100億円、戦略投資の織り込み80億円を今回の見込みに織り込んでいます。

結果として、営業利益では改善要素はあるのですが、下の330億円の悪化要因も織り込んだ数字として、今回の予想になっています。

業績予想サマリー

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業績予想を数字でご説明いたします。通期の売上収益は2兆8,000億円を予定しています。前年度比では5.1パーセント増となっていますが、これは日本航空電子工業の連結化と、先ほど申し上げた指名停止の影響のマイナス分、これをプラマイすると実質的には昨年度からほぼ横ばいの数字のイメージです。

営業利益は500億円、当期利益は300億円、なお営業利益は先ほどのプラスマイナスの要因で500億円という数字にさせていただいています。

フリー・キャッシュ・フローは昨年大きく改善した投資キャッシュ・フローを中心に、190億円減少を見込んでいまして、800億円と推定しています。今年度は、当期利益300億円を達成して、年間配当6円の継続をやっていきたいと考えています。

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