住友ゴム、円高影響で減収減益 海外市販用・新車用タイヤ販売は好調

2017年2月14日に行われた、住友ゴム工業株式会社2016年12月期通期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:住友ゴム工業株式会社 代表取締役社長 池田育嗣 氏

2016年度決算概要

池田育嗣氏:みなさまこんにちは、社長の池田でございます。本日はお忙しいところ、お集まりいただき誠にありがとうございます。それではただいまから、平成28年度の決算につきましてご説明いたします。

一年前に申しましたように、今回の期末決算より、当社グループは、真のグローバルプレイヤーとしてIFRS国際会計基準を適用いたしております。

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連結範囲の異動

まず連結の範囲でございます。討議中の新規連結は2社、除外は8社でございます。

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新規加入は、連結子会社で台湾のタイヤ販売会社と韓国のスポーツ販売会社の計2社でございます。除外は、タイヤ事業で昨年1月1日に、国内タイヤ販売会社のダンロップグッドイヤータイヤを住友ゴムに吸収合併いたしました。

また、中国の地域販売会社4社とその持ち株会社の計5社の清算が上半期中に完了いたしました。

その他、持分法適用会社2社の除外と合わせて、合計8社となりました。以上によりまして、連結子会社は4社減少の73社、持分法適用会社は2社減少して3社となっております。

これらの異動から連結決算に与える影響は軽微でございます。

2016年度 連結業績

次に、当期の業績でございます。

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(スライド)左側が日本基準の数値で、右側にIFRS での数値を表記いたしました。当期業績の進捗につきましては、まずはこれまでご説明してきました日本基準でご報告いたします。

当期の世界経済は米国では景気の拡大が継続し、欧州においても国や地域による格差はあるものの、緩やかな経済成長が見られました。

中国経済につきましては、成長率が鈍化していますが、高い経済成長率を継続しており、インド経済も、引き続き堅調に推移しております。

一方で、ロシアやブラジルなどにおいては、景気の低迷が継続しており、グローバルでの地政学的リスクの一層の高まりに加えて、英国のEU離脱決定に伴う欧州域内における景気の不確実性や、米国大統領選挙結果を踏まえての今後の政策に対する不安感が高まるなど、世界経済全体としては総じて低調に推移しました。

我が国の経済につきましても、期中における為替の円高進行による企業収益の先行き不安などにより、設備投資や個人消費が伸び悩み、引き続き低調に推移しました。

当社グループを取り巻く情勢につきましては、天然ゴム価格と原油相場が緩やかな上昇に転じ、期末にかけては高騰しましたが、年度を通しましては比較的低位で推移しました。

一方、為替につきましては、一部の新興国通貨を除いて、期中に円高が進行し、販売金額面で大きな影響を受けました。

このような情勢の下、当社グループは2020年を目標年度とする長期ビジョン「VISION 2020」の実現に向けて、低燃費タイヤなどの高付加価値商品のさらなる拡販を推進するほか、新市場・新分野に積極的に挑戦し、グループをあげて、事業の成長と収益力の向上を目指して、さまざまな対策に取り組みました。

その結果、当社グループの売上高は8,050億円、前期比5パーセント減。

営業利益は743億円、前期比4パーセント減。

経常利益は710億円、前期比10パーセント減。

当期利益は499億円、前期比11パーセント減と、主に為替の円高による影響により減収減益となりました。

中ほどに記載しております、第3四半期決算発表時の公表数値に対しましては、売上高と当期利益は未達成となりましたが、営業利益、経常利益については超過達成いたしました。

為替の円高による影響を除きますと、増収増益となっていた水準でしたので、まずまずの結果であったと評価しております。

IFRS基準では、売上収益が7,567億円。日本基準の営業利益を示します、事業利益は749億円。営業利益は733億円。当期利益は414億円でありました。

売上収益、事業利益の前期比は、日本基準とほぼ同様ですが、とくに当期利益においては大きく異なりますので、次のスライドでご説明いたします。

日本基準とIFRSの主要な差異

6番のスライドですが、日本基準とIFRSそれぞれにおける営業利益、事業利益の対前期の増減が上段で、下段に当期利益での対前期の増減を表示しており、その間の主な要因を中央に記載しております。

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対前期で持分法損益の減少や税負担の増加などの要因は共通していましたが、赤枠内が、今回の基準変更による差異として、日本基準ではプラス要因ですが、IFRSではマイナス要因として出ておりますので、上下で合わせて219億円の差が出たものでございます。

2015年のGY(米国グッドイヤー社)とのアライアンス解消に伴うもの特別的なものが大きく影響しております。

IFRS適用による影響 2016年度連結損益計算書

7番のスライドは、IFRS適用による影響を、当期業績における日本基準との比較でご説明いたします。

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売上収益は、日本基準の売上高から483億円少なくなります。主には、タイヤ事業において、従来、販売経費としておりました販売奨励金をIFRSでは売上から控除することになったもので、事業利益には影響ございません。

事業利益では、のれんの償却が停止することなどにより、6億円の増加となります。当期利益では、第1四半期において計上しておりましたGY社などの株式売却益がIFRSでは利益計上されなくなったことなどにより、86億円の減少となっております。

2016年度 セグメント別 連結売上収益・事業利益

ここからは、IFRS数値にてご説明をしていきたいと思います。11番のスライドがセグメント別の内訳でございます。

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まずタイヤ事業ですが、売上収益は6,484億円と、前期比5パーセント減。事業利益は679億円と、前期比8パーセント減となりました。

国内市販用タイヤは、夏タイヤでは、ダンロップブランドの長持ちする低燃費タイヤ「エナセーブシリーズ」、特殊吸音スポンジ「サイレントコア」を搭載した、快適で長持ちする低燃費タイヤ「LE MANS 4」などの拡販を推進いたしました。

またファルケンブランドでは、「Red Bull AIr Race Chiba 2016」に協賛するなど、ブランドの認知拡大に努めるとともに、プレミアム商品「AZENIS FK453」などの高性能タイヤに拡販を推進しました。

冬タイヤでは、ダンロップ市場ナンバー1の氷上性能を実現し、効きの長持ち性能とライフの長持ち性能を高次元でバランスさせたスタッドレスタイヤ「WINTER MAXX 02」を全国的に早期展開したほか、11月の首都圏を含む東日本の豪雪の影響もあって、出荷が好調に推移したため、売上収益は前期を上回りました。

国内新車用タイヤは、引き続き低燃費タイヤを中心とする高付加価値タイヤの納入拡大に努めましたが、自動車生産台数が前期を下回ったため、売上収益は前期を下回りました。

海外市販用タイヤは、北米、欧州をはじめ、中近東、アフリカ、中南米などで販売を伸ばし

ましたが、為替の円高影響により、売上収益は前期を下回りました。

海外新車用タイヤは、タイや南アフリカに加えて、昨年より納入を開始したブラジルで販売を伸ばしました。

また、北米、欧州においても、引き続き海外自動車メーカー向けを中心に納入を拡大したことにより、販売数量は前期を上回りましたが、これも為替の円高影響により、売上収益は前期を下回っております。

以上の結果、タイヤ事業の売上収益は前期を下回りました。

次に、スポーツ事業でございます。売上収益は728億円と、前期比6パーセント減。事業利益は43億円と、前期比63パーセント増となりました。

国内ゴルフ用品市場では、ゴルフ場入場者数が前期を下回るなか、主力のゴルフクラブ「ゼクシオ ナイン」は順調に販売を伸ばし、当期のゴルフクラブ、ゴルフボールにおいてシェアナンバー1となりましたが、ゴルフウェアでは当期よりデサント社とのライセンスビジネスに切り替えたため、減収となったことなどにより、国内ゴルフ用品全体としては、売上収益が前期を下回っています。

国内のテニス用品市場では、テニスラケットにおいてシェアナンバー1を確保しましたが、テニス用品市場は伸び悩み、売上収益は前期を下回りました。

海外のゴルフ用品市場においては、グローバルに「スリクソン」、「ゼクシオ」、「クリーブランド」のブランドで積極的に拡販に努めましたが、為替の円高影響により、売上収益はこれも前期を下回っています。

以上の結果、スポーツ事業の売上収益は前期を下回りましたが、円高による仕入れコストの減少などにより事業利益は大幅な増益となりました。

続いて、産業品他事業でございます。売上収益は、355億円と前期比8パーセント減。事業利益は27億円と前期比22パーセント増となりました。

制震事業では、住宅用制振ユニット「ミライエ」の販売が好調に推移し、年間目標である6,000トンの売上を達成しました。

また、熊本地震の際には、「ミライエ」装着住宅は1棟も倒壊せず、お客様から高い評価を受けました。

医療用部品についてはスイスのロンストロフ社を核として、欧州を中心に日本枠展開を進めています。

一方で、精密部品では、プリンター・コピー機の市況悪化の影響で減産になったことに加えて、為替の円高影響もあり、減収となりました。

体育施設や土木・海洋といったインフラ系商材においても物件の遅れなどにより、低調に推移しました。

以上の結果、産業品他事業の売上収益は前期を下回りましたが、経費の抑制などにより増益となりました。

2016年度連結事業利益 増減要因イメージ

続きまして17番のスライドは住友ゴムグループ全体で、前期からの事業利益の−40億円を要因別に展開したものでございます。

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まず、左から原材料価格が+265億円となりました。内訳は天然ゴムで+69億円。石油関連資材で+191億円。その他で+5億円でございます。

次の価格要因は−207億円であります。これは主に海外市場において、原材料価格低下と競争激化に伴い、実施した価格改定によるものでございます。

数量・構成他は、主に増販効果により+109億円となりました。また原価要因では生産性の改善をはじめとする原価低減に取り組んだことにより、直接原価で+27億円となりました。

一方で、一昨年10月に新たに米国工場を取得したことや、生産能力拡大のための増産投資に伴う、固定費の増加は−116億円となりました。

為替につきましては−87億円となりました。米ドルの適用レートは前期の128円に対して、当期は109円。ユーロは前期の134円に対して、当期は120円とそれぞれ円高になりました。

さらに経費の増加による−52億円、スポーツの+16億円、産業品他の+5億円を合わせて合計で−40億円の減益となったということになります。

2017年度連結業績予想

続きまして、今期2017年度の業績予想でございます。20番のスライドをご覧ください。

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今後の世界経済の見通しにつきましては、英国のEU離脱による英国EU域内における影響のほか、米国州政権での保護主義的な政策にともなうグローバルな影響など、世界的な景気の先行き不透明感が一層高まっており、高騰している天然ゴム価格や原油のほか為替の動向、地政学的リスクの顕在化など、景気の不確実性が一層増してくるものと予想しております。

我が国においても、財政問題への先行き不安や世界的な景気の先行き不透明感による消費マインドの冷え込みなどが懸念されております。

このような情勢のもと、2017年度通期の業績見通しは、次のように予想いたしました。

売上収益8,500億円、前期比12パーセント増。事業利益500億円、前期比33パーセント減。営業利益500億円、前期比32パーセント減。当期利益330億円、前期比20パーセント減となる予想であります。

上期1-6月につきましては、売上収益3,850億円、事業利益150億円、営業利益150億円、当期利益100億円となる予想であります。

2017年度セグメント別 連結売上収益・事業利益予想

続き増して、22番のスライドが2017年度の予想売上収益・事業利益のセグメント別の内訳であります。

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ご覧のとおり、売上収益はタイヤ、スポーツ、産業品他、それぞれの事業で増収となり、全体では前期比12パーセント増となる予想であります。

事業利益につきましては、タイヤ事業は前期比35パーセントの減益。スポーツ事業は主に原材料価格の上昇により30パーセントの減益。産業品他事業は増販の効果により12パーセントの増益の予想で、全体では33パーセントの減益となる計画です。

2017年度連結事業利益 増減要因イメージ

次に、23番のスライドが事業利益の通期予想を前期との比較で要因別に展開したものでございます。

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昨年10月より、急騰しました天然ゴムの価格が足元の水準で第4四半期まで続くという前提で、一番左の原材料価格が−551億円と原油価格の上昇の影響もふくめて今期は大きな減益要因となる予想であります。

一方で、原材料価格上昇にともなう販売価格の改定として+241億円を見込んでおります。

販売数量の増加により数量・構成他は+135億円となる見込みです。

また原価要因では、直接原価で+43億円、固定費の増加で−51億円となる見込みです。

為替は通期の適用レートで、米ドルが110円、ユーロが120円の前提で損益に対しては+3億円の増益要因と見ております。

これに経費の増加による−59億円、スポーツの−13億円、産業品他の+3億円を加えて、合計で−249億円の減益となる予想としました。

自己資本、有利子負債の推移

次に自己資本と有利子負債の推移を示します。26番のスライドでございます。

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左側に日本基準での過去からの推移、右側にIFRSでの前期末・当期末の状況を表にしております。

当期末のIFRSでの自己資本は4,293億円。自己資本比率は47.8パーセントと前期末から2.5ポイント向上しております。

また、有利子負債残高は2,042億円と前期末に比べ572億円の減少となりました。

これによりDEレシオは0.5倍と前期から0.1ポイント改善し、この指標は長期ビジョンの2020年目標を前倒しで達成いたしました。

キャッシュ・フローの推移

続きまして、27番のスライドが、キャッシュ・フローの状況でございます。

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過去からのトレンドで日本基準でご説明しますが、2016年度の実績は、営業活動によるキャッシュ・フローが1,282億円と在庫金額や支払い税金の減少などにより前期から大幅に増加しました。

一方、投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては−421億円となりました。

前期はグッドイヤー社から提携解消の対価として、2億7,100万ドルを受け取ったことなどにより、少額となっておりますが、当期は設備投資を抑制しており、14年以前と比べましても低水準の支出となっております。

営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリーキャッシュ・フローは860億円と前期から320億円増加して過去最高の水準となりました。

設備投資額、減価償却費(有形)の推移

設備投資の状況につきましては、28番のスライドにございますが、2016年度はトルコ工場などの増産投資を継続したことなどにより、総額496億円となりましたが、前期からは93億円の減少となっています。

また、減価償却費はIFRSベースで457億円と前期並みとなりました。

2017年度の設備投資につきましては、総額638億円とする予定であります。海外工場での能力増強を中心に、引き続き効率的な投資を行ってまいります。

これらの設備投資の結果、次の29番のスライドにありますとおり、2017年末のタイヤ生産能力は前期比で2パーセント増加し、月産6万2,800トンと予定であります。

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また、30番のスライドにありますように、年間の生産量は前期比4パーセント増の66万3,000トン。年間稼働率は89パーセントを予想しております。

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2016年度の業績は、為替の円高などにより、残念ながら減収減益となりました。2017年度の予想につきましても、原材料価格の高騰により非常に厳しい経営環境のなかで減益予想とせざるを得ませんでした。

今後もグローバルの市場環境の変化も早く、他社との競争関係もますます激しさを増すと予想しております。

このように、不確実性が高まっている経済状況のもと、当社グループは引き続き長期ビジョンの実現を目指して既存事業のさらなる成長と新たな収益源の創出により事業の拡大と収益力の強化に取り組んでまいります。

配当につきましては、決算短信の1枚目に記載しておりますが、当初予想のとおり、期末配当を一株あたり25円とし、すでにお支払いしております。中間の配当金35円と合わせて、年間55円とさせていただく予定であります。

次期の配当予想につきましては、中間が一株あたり25円、期末は一株あたり30円の年間55円とさせていただく予定であります。以上で平成28年度の決算説明を終わらせていただきます。

記事提供:ログミーファイナンス

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