各地で異様な「あおり運転」を繰り返し、特に茨城県の常磐自動車道では20代の男性会社員の車を一方的にあおった上で暴力行為に及び、先ごろようやく逮捕された宮崎文夫容疑者の事件。この一件は、あまりの理不尽さ、不可解さから世間に衝撃を与えましたが、同容疑者の知人や仕事関係者などの証言が数多く集まってくるにつれて、どうやら彼が普段から「ヤバい」一面を持ち合わせていたようだとわかってきました。

もしかしたら、みなさんの周りにも、そういった性格を隠し持っている人物がいるかもしれません。この記事では、そうした「突然、暴力的な行動に走る可能性が高い人」の特徴を紹介していきます。

知人が暴露した宮崎容疑者の「ヤバい」一面

宮崎容疑者の知り合いや元同僚がメディアに口々に話したコメントからは、彼は普段から少し危うい性格の持ち主であったことがうかがえます。

「名前を見て彼だと分かった時、ああ、やりそうだな、と思いました」(文春オンライン)
「ハンドルを握ると人格が変わるという話がありますが、宮崎容疑者はまさにそんな感じでした」(AERA dot.)
「新人研修中に黒いパンクロックのド派手なTシャツを着てきたり、金のネックレスをつけてきたりして、人事担当者から“ビジネスマナーがなってない”とさっそく怒られた」(週刊女性PRIME)

普段からこうした一面をのぞかせていた宮崎容疑者。ハンドルを握ったとたんに、いら立ちを抑えることができず、暴力的な言動・行動をしてしまう姿や、彼のプライドの高さとそのプライドが傷つけられたときの暴力的な反応が、周りの人たちには多少なりとも想像できていたようです。

宮崎容疑者のインスタグラムのアカウントも特定されているようです。彼の投稿には、BMWやポルシェなど高級車の写真や、ルイ・ヴィトンなどの高級ブランドの写真、窓際でサングラスをかけてポーズをとっている自身の写真などが含まれていました。元同僚は「普段から車と女の話ばかりしていた」と話していたそうですが、プライドや虚栄心、自己顕示欲の強い人物であったことがわかります。

また、元同僚によると、彼は怒られてもまったくこたえないような人物だったようで、「怒られた理由を理解していないのではないか」と思ってしまうほどだったといいます。

年をとるほど性格はなかなか変わらない!?

心理学的な見地から人間の性格を捉えた場合、性格は大きく分けて「遺伝的要因」と「環境的要因」の二つから成り立っているとされます。「遺伝的要因」とは、生まれつき備わった感情の傾向であり、先天的なものです。これに対して「環境的要因」とは、現在まで触れてきたさまざまな出来事や経験によって形づくられたものです。

環境的要因を変えれば、性格の変化を期待することはできますが、特に社会人になり、壮年から中年と歳を重ねるにつれて、周りで注意してくれる人も自然に減り、環境的要因の変化は青年期や少年期と比べてどうしても少なくなってきます。そのため、普段から特に「変えよう!」と意識していない限りは、性格はそう簡単に変わらないといわれます。

実感としても、「ヤバい人」のまま壮年期に入った人は、性格を変える何か大きな出来事がなければ、「ヤバい人」のまま中年期に入っていくことが多いのではないでしょうか。

では、そうした「ヤバい人たち」は、どんな特徴を持っているのでしょうか? そもそもあおり運転や暴力行為が、どんな心理状態から発生するのかから考えてみましょう。

「心理的な負荷」への耐性がない人ほど暴力的になりやすい

心理学の世界には、何らかのフラストレーション(欲求不満)が攻撃衝動を生み出すという「フラストレーション-攻撃仮説」と呼ばれる考え方があります。これは1930年代末に、米イェール大学の人間関係研究所にいた心理学者ジョン・ダラードとニール・E・ミラーによって唱えられたものです。

この説によれば、自分が望んでいる状況や行動を阻止されることによって生まれる「フラストレーション」が、今回の事件であればあおり運転や暴力的な行動などにつながる「攻撃衝動」を生み出しているとされます。

こうしたフラストレーションによる不快な気分は、攻撃的な行動をすることによって心理的な緊張をほぐす「カタルシス効果」を得ることで解消できます。つまり、他人の行動などによって自分の欲求が制限されると、そのストレスを「暴力的な行動をすること」によって解消しようとするのです。

たとえば、自分の思うように運転をすることができなかったり、物事が進まなかったりという「心理的な負荷(ストレス)」への耐性がない人ほど、攻撃行動を起こしやすく、あおり運転や暴力的な行動をしやすいということです。

キレやすい人の特徴

ストレスへの耐性が弱い人というのは、普段からキレやすかったり、常にイライラしたりしています。自らに与えられたストレスを周りにぶつけることによって解消しようとするからです。

こうした人の特徴として、たとえば次のようなことが挙げられます。

「プライドが高く、常に体面を保とうとし、周りの評価が気になる」
「自分の考え方や主張はいつも正しいと思っている」
「目上の人間と目下の人間とで接する態度がまったく違う」
「自分のことが大好きで、常に話題の中心になりたい」

このような特徴を持っている人は、ストレスへの耐性が低く、キレやすい人であることが多いようです。たとえば自分に関することだとちょっとした冗談も笑って流せない人、取引先と会食などをした際に取引先と話すときは丁寧なのに店員にはやたら偉そうな人などは要注意です。また、「ストレス耐性」とはちょっと違った観点では、食生活が乱れている人、特に甘い物をよく食べて血糖値が乱高下している人も、血糖値が低くなった場面でアドレナリンなどの興奮物質が分泌されることで攻撃性が高くなり、キレやすくなるといわれます。

宮崎容疑者の事件は、ちょっと常軌を逸していますが、あおり運転や暴力行為に至ってしまうようなキレやすい人の特徴は、思ったより身近なものではないでしょうか。「自分にも当てはまる……」という人は、ストレスに対処する自分なりの方法を探しておくべきでしょう。また、もし周りに当てはまる人がいたときには、少し距離をとったほうがいいかもしれませんね。

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